阿寒湖といえばまりもでしょ?周辺ってアイヌコタンくらいしかないんじゃない?という印象しかわかない人って結構多くないでしょうか。実は私もその一人でした。
それが釧路在住の友人・伝吾さんの案内で徹底的に周辺観光をすることができてみると、こんなに色々な物があったのか!と、驚くほど充実の旅行が待っていました。
そんな地元を知り尽くした在住民ならではのおすすめスポットを、徹底的に紹介しちゃいます。
Contents
釧路観光と一緒に車で回れば充実!
この紹介は、釧路の紹介の後編になります。私たちが釧路の後で回ったコースを再度ご紹介しますね。
和商市場見物後、ノロッコ号で釧路湿原駅まで移動し伝吾さんと合流、その後車で湿原展望台→摩周湖~硫黄山~川湯温泉駅~屈斜路湖~鶴居村で温泉を堪能~釧路食堂~まなぼっと展望台から釧路の夜景を見物~ホテル
<三日目>
釧ちゃん食堂で朝食後、鮭遡上エリアとサイロを見ながらしばしドライブ~道の駅丹頂の里~アイヌコタンでランチ~阿寒湖~オンネトー~釧路空港
阿寒湖の観光船に乗らなくてもまりもに会える
通常、阿寒湖でまりもを見るとなると湖の中にあるチュウルイ島の展示観光センターが一般的ですよね。しかし観覧船って地味にお値段が高かったりしますよね。
実はまりもを見たいというだけなら観覧船に乗らなくても無料で見る事が出来るんです。
それが、阿寒湖畔エコミュージアムセンター。
ホームページなどを見てもまりものことは一切書いていませんが、実は水槽展示があり、まりもも展示してあります。

きっと観覧船の営業妨害になるといけないから書かないんでしょうね。
とはいえ観光船が悪いというわけではありません。阿寒湖の美しい景色を見ながら乗る船の気持ちよさは格別ですし、入り江の奥の方まで乗り入れ、滝口などの素晴らしい景色は船でないとみる事が出来ません。
また、チュウルイ島で見られるまりもは人間の頭ほどもある巨大なもの。それに春なら砕氷船も出ています。なので、観覧船も十分、いやそれ以上にお値段分以上の価値はあります!
しかし、まりもだけでいいんだどな~という人はエコミュージアムセンターで見る事が出来ますので、湖畔を散歩しながら行ってみる事をお勧めします。
阿寒湖の姿は夏と冬で全く違う
私たちがいった時期は9月初頭ですからまだ夏といっていい時期。この時期の阿寒湖は美しいグリーンの湖です。

しかし、阿寒湖一帯はとても寒い場所で、冬ともなればマイナス20度といったような気温になるため湖の姿は一変します。阿寒湖は全体が氷に覆われるのです。
氷の上ではワカサギ釣りを楽しむことも出来ます。

阿寒湖の周辺観光とグルメは?
阿寒湖のすぐそばにはアイヌコタンがあり、アイヌ料理を食べる事が出来るカフェがあります。私たちはせっかくならアイヌ料理を食べたいなと思っていたため、ランチタイムに阿寒湖に時間を合わせてもらいました。
アイヌコタンから阿寒湖温泉街まではだいたい徒歩5分程度ですので、そのままぶらぶら歩いて2か所の観光が出来るのです。ちょっとお得感ありますよね。
では、アイヌコタンも含め、車で回った阿寒湖周辺エリアの観光を、時系列を追いながら紹介していきますね。
霧で有名な摩周湖、本来有名だったのは摩周ブルーだった

山の中に位置する日本一透明度の高い湖
霧の摩周湖というフレーズはとても有名ですよね。昭和の時代には歌にもなったほど有名。確かに摩周湖は霧に包まれることも少なくないようです。
摩周湖は摩周岳、雌阿寒岳などの高山の間にあるカルデラ湖で、世界でも2番目に透明度が高いと言われていますね。そして、標高が高い事も手伝って大変寒いです。
ちなみに私たちが行った9月3日、摩周湖の昼間の気温は13度でした。

摩周湖は実は湖ではなく水たまり!?
実は摩周湖は湖ではなく、水たまりだって、ご存じでしたか?日本の河川法という法律では湖の定義は「川が流入している事」なのですが摩周湖はどの川にもつながっていないため、法律上は「水たまり」という事になるんですって!
一般的な水たまりのイメージとあまりにも違いますよね。
摩周湖のお土産
展望台近くには土産物屋さんがありますね。一番ある意味有名なのは「霧の缶詰」。まぁ中には実際に何かが入っているというわけではないのですが(笑)
ここでは熊肉やアザラシ肉、エゾシカ肉などの缶詰も売っていて買いました。伝吾さんいわく、アザラシの焼肉は「これがもう、なまらうまい!」んだそうです。
自宅に戻ってから食べてみましたが、アザラシってもっとプルプルした肉かと思ったんですが実は赤みのわりとしっかりしたお肉でした。食べると体がホカホカしてあったまります。
独特の香りがあるので好き嫌いは分かれるかもしれませんが、私はかなりハマりました。
特撮ヒーローが戦っていそうな硫黄山

摩周湖から雌阿寒岳を見ながら車を走らせると、やがて見えてくるのが硫黄山。
ここは明治時代には現役の硫黄採石場だったそうですが今は活火山であることと、硫化ガスが出る事、落石の危険があることなどから山自体への立ち入りは禁止されていて、ふもとまでしか立ち入ることが出来ません。
しかし、ふもとまでくっきりと目に焼き付く見事な硫黄の黄色と、立ち込める硫黄の香り、そして高温のお湯が噴き出すさまは、特撮のヒーローが怪人と戦っている様子が目に浮かぶような風景です。
硫黄山のふもとにはレストハウスがあり、ここでは温泉卵が販売されています。
熱々のゆで卵に店で備え付けてあるガムテープをぐるぐると巻き、机にたたきつけて殻を割ってからテープをはがすと面白いように殻が付着し、剥がれてくれます。
熱々のゆで卵、美味しいですよ。

駅舎がかわいい川湯温泉駅
硫黄山駐車場から摩周国道を降りると、真っ赤な屋根の駅舎、川湯温泉駅が見えてきます。この駅は無人駅で普段は電車も止まらないそうです。

駅舎の中には待合室に足湯がありました。また改札が木でできていてとってもいい雰囲気。
近くに自動販売機などもあるので、ドライブの途中の休憩にもいいですね。改札の内側、ホームには木彫りの熊も飾ってあり、北海道ムードいっぱいでしたよ。

半世紀前の石炭黄金時代を偲ぶ、雄別炭鉱跡地
北海道最恐の心霊スポット!?
県道667号線を山に分け入ると、巷で「北海道最恐の心霊スポット」などと噂される、有名な場所があります。それが雄別炭鉱跡地。
「幽霊とか、見えちゃう人ですか?僕、一度も見たことなくって。だから一度見てみたいんですよね。もし何か見えたら教えてくださいね」そんなことをいいながら伝吾さんが連れて行ってくれた雄別炭鉱跡地。

ここには昭和40年代まで炭鉱があり、最盛期には1万人もの人が住んでいる町だったんだそうです。しかし炭鉱が閉山され、人がいなくなってからは病院の跡などを中心に「心霊スポット」として騒がれるようになったとか。
実際にはただ炭鉱が閉山されたためにゴーストタウンになってしまったというだけで根拠はないそうです。とはいえ、まぁ傘が落ちたままになっていたり、妙に生々しい生活感があって、実際に昼間でもちょっと怖いんですけどね。
廃病院は実はGoogleのストリートビューでも見る事が出来るのですが、炭鉱町がどれほど景気が良かった場所だったのかがよくわかります。何しろ昭和40年前半頃の時代にして、3階建てコンクリートのバリアフリーだったのですから。
それにしてもわずか50年人が離れただけで、自然というのは完全に街なんて飲み込んでしまうものなんですね。

写真は、ただの山の中に見えると思うんですが、実はこのあたり一面が50年前は開けた炭鉱町で、映画館や学校、病院などが並んでいた場所だったのです。
深く入っていきませんでしたが、今も樹木を分け入ると廃屋があちこちに残っています。廃墟などがお好きな方はお車で行ってみてはいかがでしょうか。ただし山の中で熊も出るので、むしろそちらが要注意とのことです。
心霊スポット入り口の秘境ラーメン
雄別炭鉱跡地に向かう道の途中に、もう閉店してしまっているラーメン屋さんがありました。
このラーメン屋さんはかつて営業していたときには「秘境ラーメン」と言われてたいそう人気で、また大変に美味しいラーメンだったそうです。店主さんが結局戻ってこなくなったようで、それ以来閉店したままなんだそうです。心霊とかではないんですけどね。
これがそのラーメン屋さんです。

本当に湖!? 広すぎる屈斜路湖
屈斜路湖は大変広いのですが実は湖全体が温泉の源泉なんだそうです。「砂場」と呼ばれている場所があり、かるく砂を掘るとあったかいお湯が出てきて簡単に露天風呂を作る事ができるそうです。
屈斜路湖のほとりにはこちらにも土産物屋さん。土産物屋さんの傍らには「くっしー」も。

残念ながら行った時には天候が悪くなっていて強風と寒さで砂場の露天は断念したのですが、大波がうねる姿は湖というより海にしか見えない感じでした。
日本一美しい村、鶴居村
野生の丹頂鶴に出会える
道道53号線をひたすら南に向かうと、日本一美しい街と呼ばれている鶴居村に到着します。
ここでは道端の草むらにごく普通に野生の丹頂鶴がいるのを見つける事が出来ます。

ところで、丹頂鶴というと頭のてっぺんが真っ赤な姿を連想すると思いますが、実は丹頂鶴の頭の赤って、毛じゃないってご存知でしたか?実はあの赤は皮膚。細かい肉の塊が露出しているのです。
鶴が興奮したり怒ると頭の血流がよくなり赤い場所が大きくなりますが、リラックスしているときには赤はほとんど目立ちません。
日本一美しい村にある美人の湯
鶴居村には立ちより湯などもあって、気軽に温泉に入る事が出来ます。このあたりの温泉は「モール系」と言われる、茶色いぬるっとしたお湯で、美人の湯とも言われています。
日本一美しい村にピッタリな感じですよね。私たちも立ち寄り湯であったまりました。

丹頂の里レッドベレー

道道274号線の途上に道の駅「丹頂の里・レッドベレー」があります。ここにも立ち寄り温泉があります。
最近はキャンピングカーで来る人が多いようで、駐車場にはたくさんのキャンピングカーが止まっていました。
お土産コーナーでは、たんちょうソフトというソフトクリームが売っていますが、丹頂鶴の頭になぞらえ、真っ白なソフトクリームに真っ赤なパプリカのソースがかかっているんです。
デザートにパプリカ!?と一瞬驚いてしまいますがさわやかで濃厚なミルクにピッタリ合ってて美味しいですよ。夏に訪れた時には是非食べてみてくださいね。

釧路のお土産もここで買う事が出来ます。伝吾さんのおすすめは「Mrシシャモ(本シシャモのオスを干物にしたもの)」、「キクイモパウダー」「エゾシカジャーキー」とのこと。
Mrシシャモはオスししゃもの干物ですがお酒のつまみにとても美味しくて帰った後に通販で再度購入したほどでした。キクイモパウダーは「飲むインシュリン」と言われている健康食品。毎日パウダーをお味噌汁などに入れて飲むとコレステロール値下げる効果があり、ダイエットにも効果があるとか!
エゾシカジャーキーはわんちゃんのおやつにあげると毛づやがすごくよくなると、愛犬家に大人気だそうです。
アイヌコタンでアイヌの文化に触れる
まりも国道を北上していくと阿寒湖に着きますが、阿寒湖の温泉街からすぐ近くにアイヌコタンがあります。国道の入り口にも大きな木製の看板があってわかりやすいです。
アイヌコタンに入ると、そこは一気に別世界。異国という文字がまさにピッタリです。

中には十数件の土産物屋さんがありますが、そのうちの1件のおじさんが「ムックリ」というアイヌの楽器を演奏してくれました。
ランチはアイヌ風のお料理を出してくれるカフェで。鹿肉やメフン(鮭の血合いで作った塩辛のようなもの)、山菜汁や薬草茶など、独特のお料理を楽しめます。
エゾシカ丼やエゾシカのカレーもあり、どれも美味しいですが、ジビエや薬草の香りなどが苦手な方はカレーの方がいいかもしれません。

アイヌコタンの最も奥まった場所には資料館などもありました。
今ではもう作る事も無理と言われている驚くほど細かい刺繍の「アツシ」が飾られていました。アツシはアイヌの民族衣装で、葦で作られた織物です。
劣化を防ぐために写真の撮影が出来ませんでしたが、それは見事なつくりでした。アイヌシアターではムックリの演奏やアイヌ舞踊も見る事が出来ますよ。
阿寒湖のコロポックルに出会える足湯
アイヌコタンを出て阿寒温泉街を歩くと、あちこちの土産物屋さん全部に足湯や手湯があり、自由に使う事が出来るのですが、その中にコロポックルに会える足湯があるんです。

この時、湖畔を結構歩いたので足が痛くてかなりつらかったんですがこの足湯に30分ほども浸かっているとビックリするくらい痛みが引き、足が楽になりました!
阿寒温泉、効能がすごそうですね。次に来るときにはぜひ阿寒温泉に泊まりたいと思いました。
カムイが住む湖、オンネトー
オンネトーは雄阿寒岳の近くにある小さな湖なのですがここがまた本当に美しいのです。鏡のような湖面に紅葉が写る見事な風景を撮影していますと、湖のわきで絵を描いているおじさんがいました。
このおじさん、なんとオンネトーの魅力に取りつかれて東京から移住し、近くに住んで毎日オンネトーを描いているのだとか。「毎日見ても同じ景色になる事は一度もない」と仰っていましたが、実際1時間もいないうちに何度も表情を変える、不思議な湖でした。
ここにはカムイがいるのかもしれないなぁ・・・と、本気で思いました。

阿寒湖エリアの動物たち
阿寒湖エリアや釧路周辺を走っていると、道路沿いにいろんな動物に出会う事が出来ます。まず、野生でなくても牧場の牛たちがのんびりと草を食べている風景を見るだけでも都会の人間には感動ですよね。
川では時期とタイミングが良いと、鮭の遡上に出会えることもあるそうです。この川も鮭が遡上してくるコースとの事でしたが、この時はまだタイミングが早かったのか、鮭に出会う事はできませんでした。

運がいいとキタキツネなどにも会えるようです。
私たちもちょっと細い道に入り込んだところで、夕暮れに遠く走るエゾシカの群れに出会う事が出来ました。写真だとほんとに、ほんっとに遠くなのですが、車のドアの開閉の音に敏感とのことで、これ以上寄せて撮る事ができませんでした。

遠くの方にエゾシカが見えますでしょうか。実はよーく見るとさらに奥の方にかなりの数のシカがいたんです! なかなか感動的でした。
サバンナのような動物たちの姿、そして夕暮れに溶けていく町並みは日本ではないどこか異国に来たような気分になれます。日本にいることを忘れてしまいそうな、そんな風景が当たり前のようにそこにありました。
まとめ
- 阿寒湖で無料でまりもを見る事が出来るスポットがある
- アイヌコタンではアイヌ料理が食べられるランチがある
- 日本一透明な摩周湖
- 海のように広い屈斜路湖には自分で露天風呂を作れるエリアがある
- 日本一美しい村には美人の湯がある
- 阿寒湖にはコロポックルに出会える足湯がある
- オンネトーにはカムイが住んでいる
阿寒湖エリアは、レンタカーでの観光を強くお勧めします。
基本的にこのあたりは幹線道路の数もそう多くなくて迷子にならず走りやすいと思いますしドライブしながら野生動物やのんびり草を食べる牛を眺めるのはとても癒されます。
山や湖を沢山走って、大自然を満喫してみてはいかがでしょうか。

旅行大好きなおばちゃんライター。ローカル線をこよなく愛している鉄子ですが温泉巡りやグルメ探訪も大好き。すでに社会に出た息子二人とは友達のような関係。ただいま気ままな一人暮らし。全都道府県に友達を作って日本一周するのが当面の夢ですが体力の衰えとの勝負なのでそろそろ鍛えなきゃなーと画策中。