大都市・東京の北東に栄える浅草は、国内外から毎日多くの人々が訪れる、もはや我が国を代表する観光名所となりました。
浅草の入り口となるのは何と言っても雷門、その雷門交差点のすぐ向かい側にある、ぱっと見ただけでもユニークでモダンな造りの建物が、浅草文化観光センターです。
浅草という界隈に息づく空気、伝統、歴史、味わい、江戸っ子の気心…
ここ浅草文化観光センターは、日本の文化を世界の人々に紹介する、まさに東京のランドマーク的存在と呼んでいいでしょう。
その「ユニークでモダンな造りの建物」の情報に興味を抱いた、神奈川県在住で旅好きの私、加藤学が、11月16日快晴の日に、実際に足を運んでまいりました。
このユニークな建物には、昔の「江戸」から現在の「東京」、そして世界の中の「TOKYO」の姿が描き出されています。
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神奈川から東京スカイツリーそして浅草へ
まずは小田原駅から東海道新幹線にて41分で東京駅。広大な駅構内を移動する事約10分でJR総武線東京駅。そして総武線快速にて8分で錦糸町駅に到着。
天気もよかったので錦糸町駅からは徒歩約20分、まずは4年ぶりの東京スカイツリーへ。平日でも相変わらずの行列でしたが、それでもこの日は待ち時間約30分足らずでチケット購入。
そして超高速エレベーターを乗り継いで、一気に展望回廊へ!!!
この日は快晴とあって展望は抜群、そして足元に目を移せば…浅草寺と仲見世の浅草界隈が。

さらに仲見世を左に辿り、雷門あたりに目を移すと…

見えました。浅草文化観光センターです。
決して「目立った建物」ではないのですが、言い換えれば周囲の環境にうまく溶け込んでいるのでしょう。
「東京ソラマチ」で昼食後は、「とうきょうスカイツリー駅」から東武スカイツリーラインに乗り、わずか5分でいよいよ浅草へ。体力に自信があれば歩いて30分以内で移動出来るでしょう。
あふれかえる人々の波に押し流されるように、東武浅草駅前の信号を渡るとそこは「雷門東部通り」
そして3分もしないうちに目の前にはあの有名な雷門が…。

あれっ、浅草文化観光センターは?
あっ!

いつの間にか建物の前へ来ていたのです。
あっと言う間の出来事でした。
建物へ入るとまずはインフォメーション
早速、浅草文化観光センターへ飛び込みました。
すると、インフォメーションカウンターの前には既に外国からのお客様が数人、スタッフの熱心な説明に耳を傾けている模様。
この時たまたま外国の団体さんがいくつか入っていたようで、それだけ浅草は海外からも注目されている名所なのですね。
スタッフの話す英語は実に流暢でそつがなく、このみなさんが他にも中国語さらには韓国語も話せるとなれば、外国からのお客様はそれだけで安心して浅草観光が出来るでしょう。
まさにバイリンガルスタッフです。
さらには日本語版、英語版、中国語版、韓国語版のパンフレットや各資料、浅草はもちろん台東区一帯のガイドマップも充実している他、1階から2階にかけては、浅草についていろいろ調べる事が出来るパソコン検索器も揃っています。
また、1階の片隅には外貨両替場があります。お人形、お面、お菓子、コロッケなどなど、必ず何かを買いたくなる、食べたくなる浅草歩きのために日本円をぜひ入手しておきたいものです。
階段の窓外にはすぐそこに雷門が…。
浅草を歩く準備をここで整えていきましょう。
浅草文化観光センターってどんな所?
東京都台東区立浅草文化観光センターは、従来から存在していた2階建ての銀行の建物で、銀行が撤退した後の1985(昭和60)年に台東区が買い取って「浅草文化観光センター」となりました。
その後建物が老朽化した事から、2012(平成24)年4月にリニューアルオープンし、現在に至ります。
年中無休で入館無料、利用時間は9時~20時。(但しメンテナンス等で臨時休館する事があります。)
1階~2階は主にインフォメーション、3階は管理事務所と旅行団体支援スペース(立入不可)、4階は観光ボランティア事務室と小会議室、中会議室(立入不可)、5階は大会議室(立入不可)、6階からは再び立入可能となり「多目的スペース」、7階には「展示スペース」、そして8階には喫茶室「アサクサミハラシカフェ」(有料)と屋上展望テラスがあります。
また、一般観光客用トイレは地下1階にあって大変清潔に保たれている他、2階には授乳室もあります。
建物内の移動手段は、地下1階から地上8階までエレベーターが通っていますが、団体のお客さんが多人数入った時は満員となってしまうため、その際は健康のためにも階段を使用しましょう。
6階の多目的スペースにはこんな案内がしてあります。

そう、他の施設にありがちな「飲食不可」ではないのです。
但し事前に問い合わせを…。
見て体験する江戸っ子の文化と心
6階にある階段状の多目的スペースは、主に外国の方向けに、日本舞踊、長唄、三味線、お座敷あそびなど、日本や江戸の伝統文化を体験出来るプログラムが定期的に開催されており、実際にプロの講師の方が、浴衣や着物の着付け、お座敷での所作、そして日本舞踊の基本的な振り付けを教えてくれます。
もちろん解説は英語で!! 浴衣姿で楽しむ外国の方を見ているのはとても微笑ましいものでしょう。

7階にある「展示スペース」では、地元の職人さんが作った手作りの伝統工芸作品の数々が紹介されている他、実際の職人さんによる実演、さらにはその歴史まで展示されています。
江戸時代は身分や職業によって人の住む場所が決められ、江戸城のすぐ外側には武士や大名の住む「山の手」、それを囲むように町人が住む「下町」があり、ここ台東区も大勢の人々が住む下町として栄えてきました。
このあたりは芝居小屋や寺社仏閣さらには昔ながらの伝統のお祭りも多く、それらを手掛ける伝統工芸職人の方が現在も多く活躍しており、まさに「粋でいなせ」な江戸っ子の魂は今も生き続けているのです。
さらに、台東区は近くに隅田川が流れている事から材料の運搬もしやすく、これも伝統工芸が栄えてきた大きな理由でしょう。


どちらも伝統工芸作品です。
浅草の風情と新しい東京の眺めを楽しもう
センター最上階には、喫茶室「アサクサミハラシカフェ」と、風も心地良い展望テラスがあります。
こじんまりとしたカフェながらメニューはなかなか多彩、スイーツやドリンクを味わいながら、ぜひこの景色を見てみましょう。
すぐ目の前には仲見世の賑わう界隈と奥には浅草寺、振り返れば東京の新名所となった東京スカイツリー…浅草の風情に懐かしさを感じるならば、東京スカイツリーには新しい時代を感じるでしょう。
つい先程までいたスカイツリーは遥か空の上、あそこからは豆粒のように見えた浅草も、ここからは伝統と風格いっぱいに大きく見えますね。


そしてこんな光景に出会いました。

外国の方が自らガイドとして、観光客のみなさんを案内しているのです。
浅草はもはや、国際観光地「ASAKUSA」となっているのでしょう。
浅草の知識豊かな外国の方が活躍する…これも浅草文化観光センターの果たす新しい役割と言えます。
海外建築情報誌にも好評のユニークなデザイン
センターで一時を過ごした後は、再び外へ飛び出します。信号を渡り、雷門を抜けて、浅草寺へ向かいましょう。
東京スカイツリーと同じく私にとっては4年ぶりの浅草。
浅草が初めての人も、久しぶりの人も、常連の人もみんないっしょに仲見世を進み、浅草寺へ到着します。
再び仲見世を折り返す頃には、いつしか秋の太陽も西へ傾き、浅草は夕暮れの佇まい…。
ああ…仲見世の通りからも浅草文化観光センターは目立ちますね。

2012(平成24)年4月に、東大教授で建築家の隈研吾(くま けんご)氏のデザインが採用されてリニューアルオープンしました。
隈氏は木材を使用する「和」のデザインを特徴的に手掛けており、「和の大家」と呼ばれています。
8階建てで高さ約39m。
浅草文化観光センターのこのデザインは、公益財団法人日本デザイン振興会から、社会全体の発展と価値観の創造に貢献したとして「グッドデザイン賞」を受賞しており、その功績は、海外の建築系情報誌にも掲載されて好評を得ているとの事。
スカイツリーから眺めた時は確かに目立たない建物でしたが、ここでは逆に周囲の環境に溶け込みつつ、その存在をうまくアピールしている感じがします。
いよいよ2020年、浅草に世界が集う
浅草文化観光センターには「探せる・見せる・支える」というコンセプトがあります。
今回、初めてセンターを訪れ、スタッフの方の熱心な対応ぶりに多くの人々が知りたい浅草を探せ、今も生き続ける江戸っ子の気質が浅草の歴史と人情を見せ、飲食可のスペースや広まる浅草の知識が人と地域を確かに支えている事を実感しました。
そして迫り来る2020年の東京オリンピック・パラリンピックはこの浅草も熱戦の舞台となる事は間違いありません。
浅草文化観光センターはこれからますます活躍の場を広げる事でしょう。
最後に、センター内にあったボードメッセージと五輪ロゴマークを掲載します。


アクセス情報
【台東区立浅草文化観光センター】
●場所…雷門交差点向かい側
【アクセス】
●東武スカイツリーライン・浅草駅から徒歩5分
●東京メトロ銀座線・浅草駅から徒歩1分
●都営浅草線・浅草駅から徒歩2分

旅行大好きなアラフィフ男子。生活拠点は国際観光地として有名な神奈川県箱根町、訪れる人々から道や名所について尋ねられる事も珍しくありません。観光名所はもちろん、その地の自然や地理、歴史などの話も含めて、皆様に楽しく伝えられればと思います。