「あしかがフラワーパーク」は絵画のように美しい花のテーマパーク

Wisteria at Ashikaga Flower Park
Photo by Manish Prabhune - Wisteria at Ashikaga Flower Park

東京から電車や車でおよそ1時間半、CNN「世界の夢の旅行先10か所」に日本で唯一選ばれた「あしかがフラワーパーク」があります。

一番の魅力は、樹齢150年にもなるシンボルツリー「奇跡の大藤」。春になると1,000㎡にも広がる薄紫色の花を、頭上に楽しむことができます。さまざまな花が咲き乱れる春が一番のおすすめですが、冬のイルミネーションも人気で、いつ訪ねても楽しめる演出がされています。

絵画のように美しい風景に出会える「あしかがフラワーパーク」、その魅力をご紹介します。

一番おすすめの時期は春。花の香りに包まれて夢の世界へ。

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Photo by Bethany Ciullo – 06cavesCliffsTunnels_ashikaga

日本では寒い冬が終わると、草木がいっせいに芽吹く春を迎えます。「あしかがフラワーパーク」でも、一番おすすめしたいのがこの季節。

特に、シンボルツリー「奇跡の大藤」が満開を迎える4月中旬から5月中旬がおすすめです。樹齢150年の大きな藤の木は、1,000㎡にも広がる“藤棚”に薄紫色の可憐な花を咲かせます。そのスケールの大きさには、きっと圧倒されると思います。

また、夜にはライトアップされ、その幻想的な姿を一目見ようと、多くの人が訪れています。

あしかがフラワーパーク
Photo by inazakira – あしかがフラワーパーク

藤の花は、ほかにも350本以上あり、長さ80mにもなる白い藤のトンネル、黄色い藤のトンネルなど、同じ藤でもいろいろな花色を楽しむことができます。5,000株を超えるツツジをはじめ、広大な敷地には色とりどりの花が咲き乱れ、花の香りに包まれた園内は、まるで夢の世界です。

Japanese wisteria
Photo by tanaka_juuyoh – Japanese wisteria

多くの人が訪れる時期ですが、ゴールデンウィークと言われる連休と重なると、さらに混雑が予想されます。せっかくですので、ゆっくり楽しめるよう、ゴールデンウィークとずらして訪ねてみることをおすすめします。

冬は幻想的なイルミネーションのお花畑が出現

花が少ない冬でも、「あしかがフラワーパーク」には多くの人が訪れています。

そのお目当ては、きらきらと輝く光のお花畑。10月下旬から2月上旬まで「光の花の庭」というイルミネーションが開催されています。

Ashikaga flower park
Photo by Hetarllen Mumriken – Ashikaga flower park

長崎県のハウステンボス光の王国、北海道札幌市のさっぽろホワイトイルミネーションと並び、日本三大イルミネーションにも選ばれています。ハウステンボスのスケールの大きなイルミネーション、雪とのコントラストが美しいさっぽろイルミネーションも素敵ですが、花にこだわった「あしかがフラワーパーク」のイルミネーションはここでしか見ることができません。

シンボルツリー「奇跡の大藤」も、イルミネーションで再現されます。25万個のLED電球を使い、花びらの細部までこだわって表現されているため、まるで本物の藤の花であるかのようなクオリティの高さです。

花の世界の宮殿をイメージした「フラワーキャッスル」、水辺に浮かぶ睡蓮の花を再現した「光の睡蓮」、「光のバラ園」、日本の四季を表現した「光の壁画」など見どころがたくさんあります。また、園内の池にイルミネーションが映り込む水鏡効果が活用され、さらに美しい世界が創り出されています。クリスマスや新年など、時期によって違った演出を楽しめるので、期間中何度も足を運ぶ人も多いそうです。

いつ行っても楽しめる「あしかがフラワーパーク」の魅力

日本は四季が移り変わるので、やはり花の少ない時期や、端境期があります。

そこで、花の開花状況によって入場料を安くしたり、どの季節でも楽しめるように工夫がなされています。

1月上旬から2月下旬

1月上旬から2月下旬は、冬も終わりに近づく「早春」。春を告げる可憐な花を楽しむことができます。黄色が鮮やかな福寿草、浮世絵にもよく描かれた梅の花など、決して華やかな花ではないですが、寒い中で一生懸命に咲く姿に、日本人が愛情を感じてきた花たちに出会えます。

3月上旬から4月中旬

3月上旬から4月中旬は、日本の代名詞とも言える桜、20,000株をこえるチューリップ、白くて小さな花が滝のように咲くユキヤナギが満開を迎えます。

5月中旬から6月上旬

藤やツツジが終わった5月中旬から6月上旬は、バラ、シャクナゲ、クレマチスなど、色とりどりの花が咲く「レインボーガーデン」が見ごろを迎えます。

6月

6月になると、日本では降水量が増える梅雨の時期になります。200,000本の花菖蒲と、1,500株の紫陽花が、青と白の涼やかな花を咲かせます。

Iris ensata var. ensata
Photo by tanaka_juuyoh – Iris ensata var. ensata

雨のなかで見る花菖蒲や紫陽花も、また風情があって良いと思います。

7月上旬から9月下旬

7月上旬から9月下旬は、池に浮かぶ睡蓮の花が見ごろを迎えます。スイレンは昼に咲く種類と、夜に咲く種類があるので、昼と夜でまた違った表情を楽しむことができます。

10月下旬から11月上旬

10月下旬から11月上旬には、300,000本のアメジストセージの紫の花畑が広がります。秋風のなか、このお花畑で結婚式を挙げるカップルもいるそうです。バラも楽しめる時期です。

花の開花状況

花の開花状況は、ホームページに写真で紹介されていますので、チェックしてみてください。

Web Site : http://www.ashikaga.co.jp/parkdayori/flower.php

ある樹木医と、シンボルツリー「奇跡の大藤」の物語

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Photo by Hetarllen Mumriken – IMG_1525

日本には、樹木の保護をする専門技術者“樹木医”という仕事があります。あしかがフラワーパークにも、この樹木医は欠かせない存在です。

パークのシンボルツリー「奇跡の大藤」は、じつはほかの場所から移植されてきました。

移植当時、樹齢はすでに130年、繊細な藤は幹を傷つけると枯れてしまうため、とても困難で前例のないプロジェクトとされました。多くの専門家が依頼を断る中、プロジェクトを引き受けたのは日本初の女性樹木医、塚本こなみさん。2年という準備期間を経て、斬新な手法で移植を成功させました。

そしてこの塚本さんは、樹木医として藤の木を育成するだけではなく、パークの運営も担うようになります。花の開花状況によって入場料を変動制にするなど、お客様のニーズに答え、赤字だった経営を1年で黒字化し、パークの再生にも成功しました。

塚本さんが目指すパークの姿は、「もう一度来たい、この美しさを誰かに伝えたいと思わせる感動分岐点を超えるパーク」だそうです。そうした思いを実現するため、園内の花々は、日々手間と時間をかけて管理されています。そうしたスタッフの細やかな手仕事によって、絵画のように美しい風景が生み出されているのですね。

ひと足伸ばして、着物で寺社巡り

「あしかがフラワーパーク」で幻想的な花の風景を楽しんだあとは、ひと足伸ばして、日本の伝統文化や歴史にふれる街歩きはいかがでしょうか。

電車でひと駅の「足利駅」には、かつて日本の将軍だった足利氏ゆかりのお寺など、歴史ある史跡が残されています。街歩きには、足利名産の着物「足利銘仙」のレンタル&着付けがおすすめです。足利銘仙はモダンな柄が特徴の着物で、最近は日本の若者にも人気があります。

USAGIYA
Photo by haru__q – USAGIYA

足利駅から歩ける歴史あるスポットでは、「史跡足利学校」と「鑁阿寺(ばんなじ)」がおすすめです。

足利学校

足利学校は、日本で最も古い学校として知られています。16世紀には3,000人もの生徒がいて、イエズス会の宣教師フランシスコ・ザビエルによって世界にも紹介されました。

昔の日本人がどんなところで勉強していたか、知ることができます。

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Photo by sayo ts – DSC_3506

鑁阿寺

鑁阿寺は、お寺ですが、日本100名城にも選ばれています。というのは、もともと足利氏の屋敷であったため、周囲にお堀と土塁がめぐらされた中世の武家屋敷の姿を見ることができるからです。

広い境内には、国宝の本堂をはじめ、歴史的な価値の高い建造物が数多くあります。侍がいた頃の昔の日本を想像しながら、のんびり散策するのも面白いかもしれません。

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Photo by sayo ts – DSC_3616

日本の歴史や文化にふれながら、着物姿で街歩き。

きっと素敵な旅の思い出になるはずです。

「あしかがフラワーパーク」のアクセス情報、入園料など

アクセス

  • 電車でのアクセスは、JR両毛線「あしかがフラワーパーク」駅で下車、徒歩1分です。
  • 東武伊勢崎線「足利」駅からはシャトルバスで30分です。
  • 車でのアクセスは、東北自動車道「佐野藤岡IC」・北関東自動車道「太田桐生IC」・「足利IC」・「佐野鹿沼IC」からそれぞれ20分以内です。無料駐車場を利用できます。

入園料

当日朝7時に決定します。ホームページでも確認できます。
(花の咲き具合によって変動します。)
大人300円~1,800円、子供(4歳~小学生)200円~900円

開園時間

通常期 9:00~18:00(※ふじのはな期間を除く)
夏季・冬季 10:00~17:00(※イルミネーション期間を除く)
ふじのはな物語期間 7:00~21:00(18:00)
光の花の庭期間 15:30~21:00(※土日祝は21:30)

休園日

12月31日、2月第3水曜と木曜

JR Ashikaga Flower Park Station
Photo by kzaral – JR Ashikaga Flower Park Station

まとめ

草木がいっせいに芽吹く春、暑い夏、紅葉の美しい秋、雪の降る冬。日本は季節がはっきりしていているからこそ自然が豊かだと言われます。そんな日本の四季を、たっぷり体感できる「あしかがフラワーパーク」。シンボルツリーの大藤が満開を迎える春、花のイルミネーションが楽しめる冬、どの季節に訪れても楽しめるよう、演出がされています。

園内は、花の香りに包まれ、美しい絵画のなかに迷い込んだような錯覚を覚えるかもしれません。まるで1本の映画を観たような感動があると、言う人もいます。誰かに伝えたくなる美しさに、きっと出会える「あしかがフラワーパーク」。東京からも日帰りで行ける距離ですので、ぜひ訪れてみてください。

La vie en violet
Photo by Takashi .M – La vie en violet