温泉文化の神髄がここにある!道後温泉が人々を魅了してやまない理由

日本と言えば温泉!

火山列島の日本には、北から南までいたるところにバラエティ豊かな温泉が湧き出しています。

そして日本人ときたらとにかくお風呂が大好きで、古くからお風呂屋さんと言えば人々の憩いの場、癒しの場でした。そんな日本人にとって、とりわけ特別で憧れの温泉のひとつが、道後温泉です。

今回はそんな道後温泉の魅力をご紹介していきましょう。

道後温泉本館

道後温泉本館

まずご紹介するのは、何といっても道後温泉本館!

松山を訪れる旅行客の実に8割がここを目指してくるという、まさに道後を象徴する場所です。松山に来たなら、道後温泉本館でお風呂に入らなきゃ意味がない!

でもちょっと待ってください。道後温泉本館でお風呂に入るなら、いくつか予習が必要ですよ

まずは基本情報

道後温泉本館には3種類のお風呂があります。

  • 石造りの浴槽に大きな湯釜が特徴の「神の湯」。
  • 神の湯よりも少し小さいけれど、最高級の花崗岩や大理石を使用した浴室「霊(たま)の湯
  • そして日本で唯一、皇室専用の浴室として建てられた「又新殿(ゆうしんでん)
霊の湯(男湯)
写真は霊の湯(男湯)

さらに、お風呂上がりの休憩所も3種類あります。

  • 開放感のある「2階大広間」。
  • モダンなしつらえの「2階広間」。
  • プライベートな時間を過ごせる「3階個室
2階大広間
写真は2階大広間

これらのお風呂や休憩所のどれを利用するかで、チケットが5つのコースに分かれるんです(又新殿は見学のみ。お風呂を利用することはできません)。

まとめるとこんな感じです。

コース

料金

利用可能施設

その他のサービス

霊の湯
3階個室

大人1,550
小人770

霊の湯・神の湯
3階個室休憩所

貸浴衣、貸タオル、お茶、坊ちゃん団子、又新殿観覧

霊の湯
2階席

大人1250
小人620

霊の湯・神の湯
2階広間休憩所

貸し浴衣、貸タオル、お茶、おせんべい、又新殿観覧

神の湯
2階席

大人840
小人420

神の湯
2階大広間休憩所

貸浴衣、お茶、おせんべい

神の湯
階下

大人410
小人160

神の湯

なし

又新殿観覧

大人260
小人130

又新殿観覧のみ

さて、この5つのコース、どれを選ぶかはご自身の予算や目的に合わせて決めれば良いのですが、私は絶対に「神の湯 2階席」以上をオススメします!

というのも、ただ温泉に入りたいだけなら、道後温泉本館に来る必要はありません。むしろ、泊まっているホテルや近くにある他の浴場のお風呂を利用したほうが、混雑もなくて快適かもしれません。

それでも人々がこの道後温泉本館を目指して松山にやってくるのはなぜか。

道後温泉本館は、お風呂上がりの時間もふくめて、この場所で過ごすことに自体に価値のある場所だからです!

そもそも道後温泉ってどんなところ?

日本の公衆浴場の文化は江戸時代前期(17世紀頃)から庶民にも広まっていきました。道後温泉本館が建てられた1894年頃にも、もちろん日本全国、あらゆる街に公衆浴場がありました。

ですが、当時からこの道後温泉本館は、日本全国にある他の公衆浴場とは一線を画していました。

道後温泉は長い歴史を持つ温泉です。様々な記録や出土資料によると、その歴史はなんと3000年前までさかのぼります。これは温泉大国である日本でも、屈指の古さです!道後の町は太古の昔から温泉と共に発展してきました。そんな歴史ある温泉を、明治時代の近代化とともにこの街の繁栄の土台にしようという願いによって建てられたのが、道後温泉本館なのです。

設計を担当したのは松山城の城大工の家系で、3階建の壮麗な構えに西洋建築の技法やギヤマン(ガラス)の装飾を取り入れるなど、まさに歴史とモダンの融合した日本一の浴場です。

振鷺閣(しんろかく)
真っ赤なガラスがひときわ目を引く、振鷺閣(しんろかく)

道後温泉本館は多くの文人たちも魅了してきました。

中でも有名なのは、日本が誇る文豪・夏目漱石が絶賛し、作品「坊っちゃん」にも登場させたことや、スタジオジブリのアニメ映画千と千尋の神隠し』で「油屋」のモデルとして取り入れられたことでしょう。特に「坊っちゃん」は、道後の町とは切っても切り離せないものとなり、街を歩いているとあちこちで「坊っちゃん」と名のついたお土産や施設を目にすることができます。

その後何度か改修や増築を経てはいますが、道後温泉本館は100年以上たった今でも、当時の風格を残しています。そして100年以上たった今でも、ずっと変わらず庶民に愛される公衆浴場として営業を続けているんです。まさに、お風呂の生きた博物館です。

道後温泉本館でお風呂に浸かるということは、日本の温泉の歴史と文化そのものに浸かるという事なんです!!

ただ温泉に入るだけではなく、古い日本建築ならではの館内を歩いたり、風呂上がりの休憩所でお茶を飲みながら外を眺めたりといった時間すらも貴重な瞬間にしてくれる。これこそが道後温泉本館の魅力なのです。

道後温泉
Photo by zamojojo – 道後温泉

おさえておきたいポイント

合わせて、道後温泉本館を利用する際の注意点とアドバイスをまとめておきます。ぜひ参考にしてください。

  • 神の湯には石けん・シャンプーの備え付けがありません。
  • どのコースもバスタオルはついていません。

⇒自分で用意していくか、館内で別途レンタル(有料)または買うことができます。もしも周辺のホテルに泊まっているなら、各ホテルに持ち出し可能なタオルと石けんが入った「湯かご」が用意されているので、ぜひ活用しましょう!

  • いつも大混雑の本館。狙い目の時間帯は?

平日の午前中が比較的ゆったり!夕方になるにつれ混雑してくるので、お昼前くらいが狙い目です!ちなみに午前と言っても、1番風呂は人気なので、開店直後は混んでいることも多いです。写真を撮りたいなら、夜、灯りが煌々とともった姿も素敵なのでオススメですよ!

  • ちょっとでもお得に入りたい!

⇒周辺のホテルに泊まっているなら、フロントに割引チケットを用意している所も多いです。本館に行く前に、ぜひ確認してみましょう!

  • 姉妹館を利用するのも一つの手

⇒建築や歴史には興味がない、お風呂に入れればそれでいい、混雑はきらい、新しくてきれいな方がいい。そんなときは、姉妹館の椿の湯飛鳥乃温泉(あすかのゆ)を利用するのもいいですよ。もちろんお湯は本館と同じものなので、そこは心配なし!

椿の湯

椿の湯

椿の湯は1953年に建てられた別館。利用料は400円とリーズナブルで、地元の人が日常的に利用するような浴場です。2017年にリニューアルされているのできれいですよ。

穴場が好きな人やローカルな雰囲気が好きな人にはオススメ!

飛鳥乃温泉

飛鳥乃温泉

飛鳥乃温泉は2017年にオープンしたばかりの新館。

こちらも本館と同じように、利用するエリアによっていくつかのコースに分かれます。料金は入浴だけでも600円と本館よりも高いですが、石けんやシャンプー、ドライヤーなどのアメニティもそろっていて利用しやすいです。外観や内装も、愛媛の伝統工芸と最先端アートをコラボレーションしたもので、日本らしくも華やかで楽しめる作りになっています。

しかも、こちらには本館では入ることのできない又新殿を再現した特別浴室もあるんです!ぜいたく気分を満喫したいならぜひオススメです!

周辺観光

道後の楽しみは温泉だけではありません。お風呂上がりに周辺のお散歩もいいですよ。

見どころはたくさんあるのですが、そのいくつかをご紹介しましょう。

道後ハイカラ通り商店街

道後ハイカラ通り商店街

道後温泉本館の目の前からのびているのが、道後ハイカラ通り商店街です。

お土産屋さんやお菓子屋さん、飲食店に工芸品、たくさんのお店が軒を連ねています。眺めて歩くだけでも楽しいですし、買い物やおやつタイムにも最適ですよ。

四国は県を越えるとがらりと特産品が変わるのですが、愛媛の定番と言えばやっぱりみかん。それからタルトに坊っちゃん団子。母恵夢(ぽえむ)という名前の洋菓子も、地元の人たちに愛されているお菓子です。

他には、お土産さんに入るとタオル製品をたくさん見かけます。愛媛は日本一のタオルの産地で、中でも松山からほど近い今治のタオルは、高品質なブランドタオルとして全国に知られています。お土産にぴったりですよ。

そして商店街を抜けた先にあるのが、からくり時計

Clock tower
Photo by coniferconifer – Clock tower

8:00~22:00まで、毎時ちょうどに動きます。

ギミックがたくさんでとってもかわいくて楽しいんですが、どんなふうに動くのかは、ぜひ現地に行って自分の目で確かめてみてください!

湯神社

湯神社
Photo by Wei-Te Wong – 湯神社

道後温泉本館のすぐ隣、ちょっとした高台の上にあるのが湯神社です。

道後温泉の始まりの伝説に関係する神さまを祀っていています。本館を見下ろすように鎮座しているので、本館の様子がよくわかりますよ。本館周辺のにぎやかさとは打って変わっておちついた雰囲気なので、ほっと一息つくにはうってつけの場所です。

道後公園(湯築城址)

ハイカラ通り商店街から少し歩いた先にあるのが道後公園です。

ここは14世紀に当時の愛媛を統治していた河野氏によって築城され、16世紀まで愛媛の政治と文化の中心となっていた場所でした。現在はお城はなく、当時の濠や土塁の姿をそのままに残しつつ、公園として整備されています。緑が多く広々としていて、こちらも散策にはうってつけです。地元の人たちが散歩している姿もたくさん見られます。

小さな丘になっているので、上まで登ると松山の町が一望できて、とても眺めがいいんです。

古い武家屋敷を再現したエリアや資料館もあり、これらは無料で見学することができるので、ぜひ足を運んでみてください。

手湯・足湯

道後温泉周辺は手湯や足湯が設置されている所も多いです。無料で利用できるので、ちょっと歩き疲れたな、なんてときにはここでちょっと一休みすると、すっと疲れもとれますよ。

その他

他にも、道後温泉本館から歩いて数分のエリアには、ぎやまんガラス美術館伊佐爾波神社円満寺、近代俳句の創始者である正岡子規の記念博物館、さらに足をのばせば石手寺といった見どころがあります。

1日2日では足りないくらい、充実した時間が過ごせますよ!

最後は坊っちゃん列車に乗って

Botchan Train
Photo by Hirokazu Tanaka – Botchan Train

道後を満喫したら、最後は商店街の目の前から出発する坊っちゃん列車に乗りましょう。

明治時代に実際に松山の町を走っていた蒸気機関車をモデルにした、レトロな趣のある電車です。座席も運転士さんも煙突から出る煙までもが再現されていて、最後まであなたの旅を素敵に演出してくれますよ!

まとめ

3000年という長い時間の中を温泉とともに生きる街、道後。

道後温泉は温泉を愛し、お風呂を愛する日本人の心にどっぷりと浸れる場所です。

さあ、次はあなたも神の湯・霊の湯で、体の芯まで温泉の恵みを堪能してきてくださいね!