日本一の富士山を登らずに楽しめる3つの名所を紹介

神奈川県箱根芦ノ湖スカイラインからの富士山
神奈川県箱根芦ノ湖スカイラインからの富士山 Photo by Manabu Kato in January 5, 2017

私たち日本人の誇りであり、心の拠り所であり、自慢であると言っていい富士山。

その標高は3776.3mを誇る、もはや言うまでもない日本一高い山ですが、高さだけでなく、その眺めの美しさ、素晴らしさ、崇高さ…どれをとっても私たち日本人にとっては日本一の山でしょう。

そして誰もがその日本一高い頂上へ登ることを夢みますが、富士山の頂上へ登るには、長い時間と体力が必要な厳しい道のりが待っています。

でも富士山に登らなくても「富士山を楽しむ」ことはできます。

そこで今回はその楽しみが存分に味わえる場所として、山梨県の「河口湖」、数多くのアトラクションが待つ「富士急ハイランド」、富士山の成り立ちや歴史、自然を学べる「ふじさんミュージアム」の3つを選んで、神奈川県在住で旅好きの私・加藤学が、前回の浅草に続いて足を運んでまいりました。

そこに見えたのは、人々から尊ばれる富士山の姿です。

車を飛ばして晩秋の河口湖へ

11月25日、神奈川県箱根町内の自宅を午前8時に出発、マイカーをひたすら西へ飛ばし、須走から東富士五湖有料道路を約15分で富士吉田インター、9時頃には早くも富士河口湖町へ。

しかしこの日はイベント開催のため利用不可の駐車場が多く、9時20分頃ようやく河口湖大橋南側付近にある町営無料駐車場に停めることができました。

河口湖は「日当たり良好!!」

11月も下旬を迎え、厳しく冷え込んだ朝の河口湖でしたが、太陽の上昇と共に気温は上がり風も微風。湖畔の紅葉が燃えるような美しさを見せています。

紅葉
Photo by Manabu Kato in November 25, 2017

「山梨ロマン街道」と呼ばれる湖畔の道を歩くこと15分、船津浜の「遊覧船のりば」に到着。

河口湖往復の遊覧船に乗ります。チケットを買ったらすぐ乗船、約20分間の船旅へ出かけましょう。

e1512900559822.jpeg
Photo by Manabu Kato in November 25, 2017

河口湖を行く遊覧船の名前は「アンソレイユ号」

「アンソレイユ」(ensoleille)とはフランス語で「日当たり良好!!」という意味。

まさに今日の河口湖は秋の日当たりいっぱいの観光日和です。

湖上から見える富士山
Photo by Manabu Kato in November 25, 2017

そして、見えました富士山。

湖上からは遮るものがないため、より雄大な姿が眺められます。

今日は富士山も「ensoleille!!」

富士山がもたらす限りない自然の魅力

河口湖は、山中湖、西湖、精進湖、本栖湖と同じく富士山の大噴火によって形成された「富士五湖」の一つで、山中湖に次いで2番目に大きい湖です。

東西に長く周囲は約20km、最大水深14.6m、水面の標高は833mで、箱根の芦ノ湖よりもさらに110m高い場所にあります。
(ちなみに山中湖を除く4つの湖はすべて富士河口湖町に所属しています)

河口湖では晴天時、特に朝方には、白雪をまとった富士山の姿が湖面に鏡のように映る「逆さ富士」が見られることがあります。

富士山の美しさに多くの人々が惹かれ、平成に入ってからは温泉が次々に掘られてホテルや旅館が建ち並び、富士河口湖温泉郷というリゾート地としてさらに賑わいを見せるようになりました。

湖上を行くアンソレイユ号からも、湖岸の温泉街が手に取るように眺められます。

アンソレイユ号はやがて河口湖大橋をくぐります。

1971(昭和46)年4月に完成したこの橋は全長約500m。

河口湖に唯一架かる橋で、地元の観光と生活になくてはならない橋です。

橋の向こうに見える尖った山は十二ヶ岳(標高1683m)

非常に険しい山で多くの登山者に人気があります。

十二ヶ岳(標高1683m)
Photo by Manabu Kato in November 25, 2017

ここ河口湖では、遊覧船の他にも、インストラクターが付いてのカヌーやモーターボートで湖上へ出ることも可能です。

湖の北岸にある自然体験活動施設「カントリーレイクシステムズ」では、河口湖や富士山周辺の自然の中で、カナディアンカヌーやマウンテンバイク、キャンプ、フィッシングなど、子どもから大人までが様々なアウトドア活動を体験できます。

自然を思う存分楽しみ堪能すると共に、環境教育や野外活動を行う指導者の教育育成プログラムも用意され、学校団体や企業団体研修の場としても利用されています。

河口湖の、富士山の自然を体験したい方、カントリーレイクシステムズに来たれ!!!

富士山よりも高く上がれ! 河口湖の花火大会

河口湖で開催されるビッグイベントと言えばやはり湖上で行われる花火大会でしょう。

毎年8月1日の山中湖を皮切りに、富士五湖エリアで5日間開催される祭事や花火大会。

そのフィナーレを飾るのが8月5日の「河口湖湖上祭」で、全国の花火師さんによる花火競演や特大スターマインなどなど、夜の闇に黒々とそびえる富士山もびっくりしてしまうような大輪と音響、色彩の大花火大会です。

また夏だけでなく、毎年1月14日~2月19日までの土・日曜日と、2月23日の「富士山の日」には

冬の湖上に花火が打ち上げられます。真っ白に雪をまとった富士山が暗闇の中に見守っているでしょう。

景色も人も様々な河口湖の船旅

出港してから約10分。アンソレイユ号は湖の中央部で折り返します。

弁財天が祀られています。

河口湖に浮かぶ無人島「うの島」
Photo by Manabu Kato in November 25, 2017 – 河口湖に浮かぶ無人島「うの島」

河口湖にも世界の人々が訪れます。

国際観光地「Lake Kawaguchi」
Photo by Manabu Kato in November 25, 2017 – 国際観光地「Lake Kawaguchi」

そして再び河口湖大橋をくぐり、風を切って走るモーターボートとすれ違いながら、約20分の船旅を終えて、船津浜に帰港します。

みなさんそしてアンソレイユ号、お疲れ様でした。

ここで…富士山ミニ知識

側火山(そっかざん)
Photo by Manabu Kato in November 25, 2017

河口湖から富士山を見ると、右へ続く山裾の上にいくつかの小さなコブのような山があるのがわかります。

これらは側火山(そっかざん)と呼ばれ、昔の富士山の大噴火の際に、頂上以外の場所で噴火が発生してできた小さな火山です。

富士山は全国でも特に側火山が多く、70以上あるとされています。

弓射塚、長尾山、片蓋山などと名称が付けられ、いちばん右が大室山(標高1468m)です。

富士急ハイランドにこだまする絶叫!!

河口湖の風と水しぶき、そして富士山の眺めを楽しんだら、国道139号線を富士吉田市方面へ車を走らせること10分弱、富士急ハイランドへ移動します。

「カチカチ山ロープウェイ」で上った天上山山頂からの眺め
Photo by Manabu Kato in November 25, 2017

これは「カチカチ山ロープウェイ」で上った天上山山頂からの眺めです。

正面には富士山、そして左手前には巨大ジェットコースターが輝く富士急ハイランドが望めます。

富士急ハイランドは東京オリンピックが開催された1964(昭和39)年、富士山の北麓にオープンした大型遊園地で、その範囲は富士吉田市から富士河口湖町に及びます。

巨大ジェットコースターの「FUJIYAMA」、加速度世界No.1コースター「ド・ドドンパ」、大回転コースター「ええじゃないか」、43mの高さから121度の角度で急降下し7回に及ぶ回転が続く大型コースター「高飛車(タカビシャ)」という4つの代表的な、いわゆる「絶叫型アトラクション」が大人気ですが、近年は家族向けや、人気アニメや人気ゲームのキャラクターにちなんだアトラクションが次々に登場してきた他、園内はもちろん隣接施設にかけて多数のアトラクションやショッピング施設、レストラン、カフェ、温泉施設などが完成して、今や我が国を代表する一大テーマパークとなっています。

他では味わえない「アトラクションから眺める富士山」

富士急ハイランドHP、アトラクション内『アトラクションから見える!富士山絶景鑑賞ポイント
出典元:富士急ハイランドHP、アトラクション内『アトラクションから見える!富士山絶景鑑賞ポイント』

これは、巨大ジェットコースター「FUJIYAMA」からの富士山の眺めですが、この他にもアトラクションからの富士山ビューポイントは多数あります。

富士山の美しさに「ああっ…」と出た感嘆の言葉は、やがて「アーッ!!!」という絶叫に変わるに違いありません。

FUJIYAMA
Photo by Manabu Kato in November 25, 2017 – FUJIYAMA
高飛車(タカビシャ)
Photo by Manabu Kato in November 25, 2017 – 高飛車(タカビシャ)

ちなみに私は…アトラクションはちょっと遠慮させて頂きました。どうぞみなさん、私の代わりに思いっ切り絶叫してくださいね!!!

日本を知るふじさんミュージアム

富士急ハイランドから、国道139号線さらに国道138号線を車で移動すること約15分。左側やや奥に、ふじさんミュージアムが見えてきます。

ふじさんミュージアム
Photo by Manabu Kato in November 25, 2017

入館するとすぐに…

マネキ
Photo by Manabu Kato in November 25, 2017

「マネキ」という旗が迎えます。

その昔、富士山を神として崇拝する人々が行った「富士講登山」の団体に、自身の家を宿泊所として提供した御師(おし)と呼ばれる人々が、その団体が再度訪れた時に、宿坊にこの「マネキ」を掲げて歓迎したのです。

鳥居をくぐるとそこには美しく気高い富士山が…

初めて訪れた私も「マネキ」に迎えられて入館しました。建物は奥へ奥へと続きます。

1979年(昭和54)年3月に「富士吉田市郷土館」として創設し、1993(平成5)年4月に「富士吉田市歴史民俗博物館」と改名しリニューアルオープン、そして2015(平成27)年4月に展示を一新すると同時に「ふじさんミュージアム」として新たにオープンし現在に至ります。

富士山は「神の領域」と呼ばれています。

それに相応しく展示スペースの入り口では「鳥居」をくぐります。

そして…

  • 富士山とはどんな山なのか?
  • 人はなぜに富士山へ登りたがるのか?
  • 昔から今にかけて人はどのようにして富士山へ登ったのか?
  • 富士山はなぜ神として尊敬されるのか?
  • 富士山にまつわる昔話や伝説は?
  • 富士登山者とそれを歓迎する御師たちの活躍ぶりは?
  • 富士吉田市に400年以上にわたって伝わる豪快な祭りとは?
  • 富士山と共に歩み栄えてきた富士吉田市の歴史は?
  • 人々は富士山と共にどう生活してきたのか?

これらのテーマを、CG映像やパソコン検索器、タッチパネル、映像シアター、さらには「プロジェクションマッピング」と呼ばれるダイナミックなアニメーションシステムで学ぶことができます。

「楽しく学べる」がこのミュージアムのメインテーマ。

子どもたちにとっては夏休みの自由研究の場にぴったり、富士山好きな人にとっては1日中過ごしても飽きることはないでしょう。

ふじさんミュージアムから国道138号線を隔てた向かい側には「富士山レーダードーム館」があります。

1999(平成11)年までの35年間、激しい風雨と極寒の富士山頂で、日本の気象観測を続けてきた実物のレーダーがそのまま博物館になっていますので、ここにもぜひ足を運んでみましょう。

日本最高峰・富士山剣ヶ峰頂上
Photo by Manabu Kato in September 11, 2010 – 日本最高峰・富士山剣ヶ峰頂上
富士山レーダードーム館
Photo by Manabu Kato in November 25, 2017 – 富士山レーダードーム館

秋の太陽はいつの間にか山陰へ沈み、富士山は夕暮れの佇まいを見せていました。

富士山 夕暮れの佇まい
Photo by Manabu Kato in November 25, 2017

旅のまとめ

2013年、富士山は世界文化遺産に登録されました。

これからの数年間、富士山は「Mount.Fuji」として嫌が応にも世界から注目され、その分国内外から富士山を訪れる人々はますます多くなるでしょう。

河口湖で、富士急ハイランドで、ふじさんミュージアムで見えたのは、たとえ頂上へ登らなくても人々からその美しさ、気高さに驚き、感嘆し、憧れ、崇拝される富士山の姿と、常に生活の中に富士山がある人々が築いてきた文化でした。

それは同時に日本人の文化の歩みとも言えます。こうなれば富士山は、日本人にとって日本一の山に留まらず世界一の山です。

富士山の「Mount.Fuji」としての世界からの注目度に、私たちは世界一の自慢で応えてゆきましょう。