女一人だって心配なし!ツアーとレンタル登山用具を使って富士登山を楽しもう!

富士山
Photo by Ludovic Lubeigt - 富士山

富士山、といえば日本人ならほぼ誰もが知っている日本一高い山であり、世界でも日本を代表するシンボルです。とはいえ「日本一高い山なんて簡単に登れないのでは?」と思っていませんか?

毎年、筆者の周りでは「毎年富士山の山開きのニュースを聞くたびに登ろうと思っているんだけど、結局行かない」「登るのが相当きついと思って行けない」という会話があります(笑)

筆者は昨年、プライベートがボロボロだった際に、ふと思い立って富士山に一人で登ってきました。今回はその時の体験を元に「女性でも」「一人でも」「気軽に」富士山に挑戦できるということをお伝えします!

なんと富士山は世界〇〇遺産だった!?

文化遺産 富士山
Photo by Tsubaki in August 14, 2017

富士山といえば標高3776mを誇る日本一高い山です。その優美な姿から日本国外でも日本のシンボルとして扱われています。

文化的な側面としては、葛飾北斎の「富嶽三十六景」に代表されるように、昔から芸術作品に描かれ、影響を与えてきました。

宗教的な側面としては、富士山は昔から霊峰とされ、山頂部には浅間大神が鎮座すると信じられていました。これが徐々に浅間信仰(富士信仰)に発展していきます。

2013年には「富士山―信仰の対象と芸術の源泉」として世界文化遺産に登録されました。世界自然遺産ではなく、文化遺産としての登録が行われた理由として、富士山は火山としては平凡であったこと、屋久島等とは異なり固有の生態系なども持っていないこと、またゴミ問題もあったため、自然遺産としての登録が難しかったと言われています。

一方で、既に話した通り、信仰や芸術といった文化的な部分で影響力が大きかったので、後ほど説明する富士本宮浅間大社を含めて、文化遺産の方が適しているとされたのでしょう。

初心者はツアーと登山用具レンタルを利用しよう!

標高が高いため、夏の時期を除くと雪が積もっており気温も低く、一般人の登山は山開きが行われる7月から9月の第一週目まで可能です。それ以外のシーズンは、万全な準備をしない者の登山は原則禁止されています。

もちろん、山開きのシーズンであっても、登山の準備はしっかりと行いましょう。初心者の方は、山小屋の手配などなれない部分があると思いますので、ツアーを利用すると便利です。

筆者の登山の際はツアーを利用したのですが、同じツアーの参加者で外国人の方がTシャツとジーパンだったので、ガイドさんに「登山用具をレンタルしてでも準備してもらわなければ登山を許可することはできない」と言われていました。

実際に登っていると、六合目では晴れているのに、七合目では雨なんてことは頻繁に起こります。現在は登山用具一式をオンラインでレンタルし、登山前に受け取ることもできますので、必ず準備をして山に入るようにしましょう!

道は一つだけじゃない!実は色々ある富士登山ルート

富士山を登る上でルート選びは大変重要です。自分の登山スタイルやルートの特徴から、ルートを決めましょう。軽くですがルートの説明をします。詳細は富士登山の公式サイトにある「登山口と登山ルート」をご覧ください。

①吉田ルート

富士スバルライン五合目を出発点としたルートです。標高差が少ないけれど、山小屋が多く、救護所が2か所あり、また登山と下山でそれぞれ専用道があるため迷うこともありません。

初心者向けのルートと言えますが、その分大変混雑します。特にご来光を見るための列が夜明け前から作られ、渋滞が起こります。

なお、富士山の観光客の半分がこの吉田ルートを使っていると言われています。

②須走ルート

須走口五合目を出発点としたルートです。吉田ルートに比べると、富士山の高山植物をよく見ることができます。また、山小屋は少ないので経験者向きのルートと言えるでしょう。

ただし、8合目で吉田ルートと合流するため、登る際の混雑は避けられません。

③御殿場ルート

吉田ルートや須走ルートよりも低い標高からスタートするため、距離・標高差が他の2つよりも大きい、経験者向けの難関コースです。

距離が長いですが、7合目から上にしか山小屋はありません。

④富士宮ルート

今まで紹介した3つと比べると一番距離が短く、標高差が少ない初心者向けのルートです。

ただし、登山道が同一なので混雑はします。また、傾斜がかかるため、高山病になりやすく、注意が必要です。

「筆者はこの富士宮ルートを使用しました。」

⑤プリンスコース

あまりメジャーではありませんが、5つの目のコースがあります。2008年に皇太子殿下が富士山登頂の際に利用したコースで、富士宮ルートと御殿場ルートの2つを混ぜたようなコースです。

スタートは富士宮口五合目で、六合目から富士宮ルートを離れ宝永山へ向かい、御殿場ルートへと進みます。駿河湾等の景観を楽しむことができ、混雑も比較的少ないことから、メジャーではありませんが初心者向けのルートと言えます。

スタミナがある初心者にオススメ!富士宮ルート

富士宮ルート
Photo by Tsubaki in August 14, 2017

既に述べたように、私はツアーを利用しました。登山初心者だったのと、ツアーにすれば山小屋の予約等をやってもらえたのが理由です。また、富士山下山後に近くの銭湯に連れていってもらえたのもよかったです。

富士宮ルートは、多少傾斜があっても混雑はなるべく少ないほうがよいなと思って選びました。

都内から出ているツアーの場合、新宿駅から高速バスで五合目まで向かうのが一般的ではないかと思います。

筆者の場合は富士宮口五合目に到着したので、登山前に着替え、食堂で腹ごしらえをして(下記写真参考)、ガイドから軽く説明を受けて入山しました。

食堂で腹ごしらえ
Photo by Tsubaki in August 14, 2017

登山中ですが、私は一人でのツアー参加でしたが、周りは当然友達や家族での参加が多かったです。

とはいえ、富士宮ルートの登山道は上下山道が同じなので狭く、一列で歩いていたため、話をしながら和気あいあいと登るというよりも、皆さん黙々と登るという感じでした。

高い山なので、樹が生い茂って色とりどりの花が咲いている…ということはなく、山の自然よりも登山中には気づかなかった背後の景色(雲海など)の方に感動しました(下写真参考)。

雲海
Photo by Tsubaki in August 14, 2017

私は登山初心者ですが、どうやらスタミナはあるらしく、あまり大きく疲れることもなく、八・九合目まで登ることができました。

ツアーの一組がご家族の体調不良(高山病)で登山を断念していました。高山病はどんなに運動をしていて健康な人でも、なるときはなってしまうそうなので、できるだけ体調を整えて登山しましょう。

登山中は水分補給をしっかり行い、ガイドに言われた通りに休憩をとってください。

ちなみに、富士山の山小屋での飲み物を買うと結構なお値段しますので、ペットボトル3,4本くらいは持っていくことをお勧めします

登頂までもうすぐ!しっかり身体を休めるための山小屋の過ごし方

九合目の山小屋
Photo by Tsubaki in August 14, 2017

ご来光を見る方は八もしくは九合目の山小屋で夕食を食べ仮眠を取ります。

山小屋は基本的に寝袋に雑魚寝という形になります。ツアーの場合は山小屋予約も含まれているはずなので自分で予約する必要はありません(ツアーを予約する際は念のため確認しましょう)。

私の場合は、夜食つきということもあって、カレーが出てきました。普通のカレーなのですが、富士山で食べるせいなのか、九合目で寒いせいか、とても美味しく感じました。なお富士山の山小屋ではお酒もおいてありますがほどほどに(でも甘酒は身体が温まるのでお勧めです)。

「ちなみに私が持って行ってよかったのは、アイマスクと足を休めるシート、水でのすすぎが不要な歯磨きシートです。」

雑魚寝の部屋はドアではなくカーテンによる仕切りだったので、寝る際に明かりが入ってくるのが気になる人はアイマスクを、九合目で疲れた足を速く回復させるには足を休めるシートを、洗面所が若干混み気味になるので(また、富士山でのお水は貴重なので蛇口からたくさんは出ないのです)歯磨きシートは持って行ってよかったと思いました。

仮眠を終えて頂上へ向かう際に、下から登ってくる人たちのヘッドランプが登山道に沿うように灯っていて、夜の富士山に映えて印象的でした(下記写真)。

下から登ってくる人たちのヘッドランプ
Photo by Tsubaki in August 14, 2017

お鉢巡りする?郵便局に行く?神社に行く?頂上での過ごし方

富士山の頂上
Photo by Tsubaki in August 14, 2017

富士山の頂上は、登山道のように一列で歩く必要がなく、また皆休憩のために足を止めるため、一番混雑しています。

頂上には何があるの?ご来光を見るだけでは?と不思議に思われるかもしれませんが、そもそも富士登山で言われる「頂上」「山頂」とは既に紹介した各登山ルートを登り切った地点のことを指すことが多く、本当の頂上(標高3776m地点)は「剣ヶ峰」と呼ばれます。

登山者の中には、頂上から更に歩くお鉢巡りコースや剣が峰にはいかない人もいます。「せっかく来たのだから…」と思うかもしれませんが、火口周りを歩くため結構急な部分もありますので、天気や自分の体調を相談してくださいね。

また、日本最高峰記念碑(上写真参照)は行列ができていて、一緒に写真を撮るのに時間がかかりますのでお気をつけください。

富士山の頂上にある観光ポイントは以下の二つです。

  • 富士山頂上浅間大社奥宮
  • 富士山頂郵便局

なお、どちらも大変混んでおり、お守りを購入する・御朱印をいただくために行列ができていますし、郵便局も登山証明書やオリジナルハガキセットが購入できるため行列ができています。ツアーで時間が限られている場合はどちらかしかいけないと思いますので、登頂前に決めておきましょう。

筆者は御朱印のために富士山に登りたいと思っていたので、迷わず奥宮に進みました。というわけで奥宮について説明します。

奥宮
Photo by Tsubaki in August 14, 2017

富士山頂上浅間大社奥宮は「富士山本宮浅間大社」の奥宮(一つの同じ神社であっても離れている社殿のこと)です。

駿河国一宮という、静岡で最も由緒ある神社とされており、全国に1300社ほどある浅間神社の総本社です。富士山をご神体とし、木花之佐久夜毘売命(このはなのさくやひめのみこと)という女性の神様を祀っています。

同時に祀られているのは、夫神である瓊々杵尊(ににぎのみこと)と、父神である大山祇神(おおやまづみのかみ)です。

木花之佐久夜毘売命は妊娠した際に、瓊々杵尊に不貞を働いたのではと疑われ、「あなたの子であればどんな過酷な状況であっても産まれてくるはずだ」と自分の産屋の周りに火を放ち、その中で出産しました。そのため、安産・水徳の神様として祀られています。

また、孝霊天皇に富士山が大噴火をした際に、姫神を祀ることで、水徳により富士山が鎮火したのが浅間大社の始まりと言われています。こちらの神社も世界文化遺産の構成要素の一つです。お時間がある方はふもとにある本宮にも行ってみてください(むしろそちらに行ったことがある人の方が多いかもしれませんが…)

奥宮では奥宮の御朱印がいただけますし、富士山が描かれている限定御朱印帳も販売しています。他にもお守りなどもありますが、とにかく混雑していますのでできるかぎり欲しいものを事前に調べ、お金はちょうどを別にしてすぐ取り出せるようにしておくと良いかもしれません。

観光客が増えた富士山。でも一方で問題も…

富士山に行くと決めてから、ちょうどアルピニストの野口健さんに富士山の清掃ボランティアを始めたきっかけ等を伺う機会がありました。

たくさんのボランティアによって清掃され綺麗になり、ようやく世界遺産として認められた富士山ですが、私が登山に行った日にもまだまだゴミがあちこちで見られました。

話を聞くと、近年増えた外国人観光客が捨てていくのだそうです(もちろん、すべての外国人観光客が悪いわけではありません)。これから登山に行く方々はどうか自分でもって入った食べ物のゴミを富士山に捨てず、きちんと持って帰ってほしいと思います。

アクセス

富士山へのアクセスの仕方は各ルートによって異なります。バス、タクシー、マイカーでそれぞれのルートの登山口まで行くことができます(一部マイカー規制がありますので、公式サイトをご確認ください。御殿場ルートのみマイカー規制がありません)

吉田ルート

富士急行線河口湖駅・富士山駅から登山バスを利用。または、バスタ新宿(新宿高速バスターミナル)より高速バスを利用。

須走ルート

JR御殿場線御殿場駅、または小田急線新松田駅(一部期間のみ)から登山バスを利用。

御殿場ルート

JR御殿場線御殿場駅から登山バスを利用。

富士宮ルート

JR東海道本線三島駅、またはJR東海道新幹線新富士駅・東海道線富士駅・身延線富士宮駅から登山バスを利用。または、JR静岡駅より高速バスを利用(一部期間のみ)。