今日は何色に見える? 神秘的な五色沼はトレッキングがオススメ!

五色沼

磐梯山の北側の裏磐梯と呼ばれる地域には、大小300余りの湖沼群があります。

大きい湖は桧原湖、小野川湖、秋元湖、曽原湖などがあります。小さな沼は「五色沼湖沼群」と呼ばれ、磐梯朝日国立公園の中心地となっています。

標高800mほどで、夏でも下界より涼しく過ごしやすいです。

五色沼は、1888(明治21)年の磐梯山の大規模な噴火により、山が大きく崩れ、集落も埋没し、甚大な被害をもたらしました。その時に発生した岩なだれが、川をせき止めて湖や沼を作りました。

五色沼とは、正確には「五色沼湖沼群」と言い、毘沙門沼・赤沼・みどろ沼・竜沼・弁天沼などを含む、多くの湖沼の総称です。

そして、「5つの沼」というわけではなく、様々な色に見えることから「五色沼」と名付けられました。色が異って見える要因は、天候や季節、見る角度、太陽の角度、水中に含まれる火山性物質、水草などによると言われています

沼によって、コバルトブルー、ターコイズブルー、エメラルドグリーン、エメラルドブルー、パステルブルーなど、基本の色が違う上に、見る時間でも色が変わって見えるのです。

とても狭い範囲にある沼でも、水の色が違うって不思議ですよね。「神秘の湖沼」などとも呼ばれています。特に「青沼」は、水性絵具を所々に気ままに溶かしたような、不思議でキレイな色です。

今回は、五色沼湖沼群の代表的な沼を巡るトレッキングコースを歩いてみましょう。

四季折々の魅力がありますが、夏の避暑から秋の紅葉がわたしのイチオシです。

初心者でもラクチンな「五色沼自然探勝路」は、家族連れでも安心なコース

五色沼自然探勝路は全長約3.6kmで、片道約1時間10分~1時間30分程度です。高低差が少なく、比較的平坦なコースです。

探勝路の入口は2つあります。(五色沼入口と裏磐梯高原駅)それぞれに駐車場とバス停があるので、車を利用する場合でも便利です。

わたしは、「五色沼入口」からのスタートをオススメします。

まずは、「五色沼入口」バス停のすぐそばにある「裏磐梯ビジターセンター」でしっかり身支度とザックリお勉強をしてから出かけましょう。

裏磐梯ビジターセンター

ここでは五色沼のコース以外にも、裏磐梯にある各トレッキングコースについてスタッフのみなさんが実際に歩いて収集した情報が掲示されていますし、トレッキングコースの生きものの情報などについても解説してくれます。

予習して、お楽しみポイントを事前にチェックしておくといいですよ。

トイレに行って、天気に合わせて衣服や雨具を整えてからスタートです。

もし準備が足らなかった時でも、ここではレンタルの用意があります。天気が悪くてぬかっている時には長靴、じっくり観察用に双眼鏡、クマ鈴や傘も貸してくれます。

そうそう、裏磐梯はツキノワグマの生息域なので、散策の際にはクマ鈴を忘れずに。

では、五色沼に向けてスタートしましょう!

歩くつもりがなかったら、毘沙門沼だけでも楽める! ~五色沼のエッセンスだけならココだけでもOK!~

裏磐梯ビジターセンターから徒歩10分ほどで、「毘沙門沼」に着きます。

毘沙門沼

「毘沙門沼」はこのコースの沼の中でも一番大きく、コバルトブルーにも見えることがある湖面の向うに磐梯山が見える、絶好のビュースポットです。貸しボートもありますよ。

ちなみに、沼と磐梯山を一緒に写真に収めたかったら、ココ「毘沙門沼」か「瑠璃沼(るりぬま)」だけです。

五色沼の多くの沼は、磐梯山の山頂近くにある「銅沼(あかぬま)」から連なる地下水を水源のひとつとしています。この水には磐梯山の火山活動に伴って発生する硫化水素が沢山溶け込んでいるため、水が酸性になっている沼が多くあります。この酸性の水と各沼ごとに独自に湧きだしている深層地下水や生育していてるコケやプランクトンの状態などによって、様々な色に変化して見えます。

「毘沙門沼」には、硫酸イオンや塩素イオンが多く溶け込んでいることによって、コバルトブルーに見える事が多いのです。

湖畔には、レストハウスや売店もあり、ドライブ途中にちょこっと寄るだけでも楽しい沼です。

サクサク歩ける遊歩道は快適! ~弁天沼まで一気に歩こう!~

「毘沙門沼」から25分ほど歩くと、「赤沼」が現れます。

もっと5分ごとぐらいにジャンジャン沼が現れると思っていたら、ココだけはちょっと例外で時間がかかります。

「赤沼」は、沼の回りに生えているアシの根元が赤くなっています。これは、水の中の酸化鉄の沈殿物が付着しているのですが、赤沼の周囲の草木が赤い鉄錆色に染まっていることから「赤沼」と名付けられました。でも、水面の色は淡い緑色です。

さぁ、サクサク行きますよ。

ここから3分も歩けば「深泥沼(みどろぬま)」が目に入ります。

赤沼

3つの色の水を持つ沼で、この色の違いは微妙な水質や水深の違い、水草の繁茂の違いが原因と言われています。

このように、一つの沼でも場所によって水質や色が変わる沼もあるんですよ。

更に5分もあるけば「竜沼(たつぬま)」があるはずですが、実際にはその姿をなかなか見ることができません。木々が鬱蒼としているので、夏は見づらいと思います。

このコースで二番目に大きな「弁天沼」は、「深泥沼」から15分ほど、「竜沼」からは10分ほどの所にあります。

「毘沙門沼」を出発してから、ずーっと木々の中の遊歩道を歩いてきたので、視界が開けると清々しく感じます。ここからは、遠く吾妻の山並みにも見ることができます。

下の写真のように、「弁天沼」は綺麗な青々とした水面が魅力的です。

弁天沼

その水の色は、見る時間帯によって色が異なるだけでなく、同じ時間帯でも西側から見た水面と東側から見た水面の色が全然違うことがあるので、ぐるっと遊歩道を歩いて回りながら確認してみてください。ちょっと感動ですよ。

さぁ、もう少し! ~柳沼まで来たら、もうゴール!~

「弁天沼」から6~7分も歩けば、「瑠璃沼」に到着です。

「瑠璃沼」は、五色沼湖沼群の中で最も神秘的だと言われています。普段は鮮やかなコバルトブルーの水面が時間ごとに色が変化することや、場所に寄っても色が異なること、更に、透明度の高いことなど、多くの人が神秘的に感じるのわかります。

水質は硫酸イオンの他にも、カルシウムを多く含んでいるそうですよ。

「瑠璃沼」は、天気が良く水面が静かな時は、水面に磐梯山が写り込み「逆さ磐梯山」状態の写真が撮れるそうです。

瑠璃沼

「瑠璃沼」からたった3分で「青沼」に到着です。

わたしの個人的ランキングでは、一番神秘的なのが「瑠璃沼」ですが、いちばん水の色がキレイなのは「青沼」です。

小さい沼ではありますが、このコースの中でも一番特徴的な水の色をしています。天候などで濁ると、「青」に少し「白」が入ったような、誤解を恐れずに言えば、たぶんこんな色の入浴剤があるんじゃないかなぁ、と思う色です。(総じて、五色沼の水の色を「バスクリン色」と呼ぶ人もいます。)

水面上から見える湖底は「ウカミカマゴケ」という水草に覆われているので、これが太陽光に反射して個性的な青に見えるのだそうですよ。

下の写真は、水が濁っていない日のものです。

青沼

最後の沼は、「青沼」から10分ほどで到着する「柳沼」です。

ここまで「瑠璃沼」「青沼」と個性的な青い水面を見てきたので、何か物足りなく感じてしまうかもしれません。

逆に、この沼の美しさは空や周囲の木々の色を美しく反射するところです。特に秋の紅葉シーズンは美しいですよ。

ここまでくれば、ゴールの「裏磐梯高原駅」はすぐそこです。

柳沼

五色沼自然探勝路をコースタイムでおさらいしましょう。

五色沼入口(裏磐梯ビジターセンター)→(10分)→毘沙門沼→(25分)→赤沼→(3分)→みどろ沼→(5分)→竜沼→(10分)→弁天沼→(6分)→瑠璃沼→(3分)→青沼→(10分)→柳沼→(5分)→裏磐梯高原駅

ボーっとしたり、写真を撮ったりする時間は含んでいません。

のんびり歩くなら、その分余裕を持ってスケジュールしてくださいね。

五色沼の他にはどこに行こう? ~アウトドア三昧なら桧原湖へ、寛ぎたいなら温泉へGO!~

五色沼自然探勝路のゴール、裏磐梯高原駅のすぐそばに、桧原湖があります。ここまで見てきた沼とは違って、大きいですよ。大きな遊覧船もあります。

桧原湖は、五色沼の誕生と同じく磐梯山の大噴火によって川がせき止められてできました。この時、桧原村が水没して消滅しました。

現在でも水位が低下すると、水没以前の集落にあった山神社(大山祇神社)の鳥居や参道脇の並木の跡が現れることがあるそうですよ。

桧原湖

桧原湖で遊ぶなら、

  • 遊覧船
  • 釣り(バスフィッシングやワカサギ釣り)
  • ボート
  • カヌー
  • 自転車

と、いろいろな遊びができます。

その中でもわたしのおすすめは、カヌーです。

ガイドさんが丁寧に教えてくれるので、初心者でも安心なプランがあります。チャレンジできる時間や難度に応じていろいろなプランがあるので、挑戦してみてはどうでしょう。

自転車は、「裏磐梯高原ホテル」「アクティブリゾーツ裏磐梯」「休暇村裏磐梯」でレンタサイクルがあります。

実は、わたしのMTBデビューは桧原湖一周コースでした。アップダウンがあるのでそこそこ体力が必要ですが、ポンコツ女子でもちゃんと完走できましたよ。

のんびり温泉で寛ぐなら、裏磐梯高原駅から近いところでは次の2か所のホテルで日帰り入浴ができます。

裏磐梯レイクリゾート

桧原湖の眺めが良い、開放的なお風呂です。

HP : http://www.lakeresort.jp/hotspring/

【時間】

  • 9:00~10:30(最終入場9:30)
  • 13:30~21:00(最終入場20:00)

【料金】

  • 大人(中学生以上)1,200円
  • 4歳以上小学生まで800円 幼児(3歳以下)無料

※フェイスタオル・バスタオルのレンタルを含む

裏磐梯高原ホテル

五色沼のひとつ「弥六沼」を眺めながら入れる露天風呂があります。

HP : https://urabandai-kougen.com/spa/

【時間】

  • 13:00~15:00(最終受付14:30)

【料金】

  • 大人1,500円

※フェイスタオル・バスタオルは備え付け

五色沼までのアクセス

五色沼に行くためには、まずは猪苗代を目指しましょう。

自動車でのアクセス

  • [東北自動車道] 浦和I.C から郡山JCT経由 磐越自動車道 猪苗代磐梯高原I.Cまで 約2時間30分
  • [東北自動車道] 仙台宮城I.C から郡山JCT経由 磐越自動車道 猪苗代磐梯高原I.Cまで 約1時間30分
  • [磐越自動車道] 新潟中央I.C から猪苗代磐梯高原I.C まで 約1時間30分

猪苗代磐梯高原I.Cからは、国道115号線、国道459号線を利用し、約25分で裏磐梯エリアに到着です。

鉄道でのアクセス

東京、仙台からは東北新幹線を利用します。

  • [東北新幹線] 東京駅 →郡山→(常磐西線)猪苗代 約2時間
  • [東北新幹線] 仙台駅 →郡山→(常磐西線)猪苗代 約1時間25分

JR東日本公式HP

高速バスによるアクセス

東京から猪苗代までは、高速バスが平日であれば1日に4便あります。この路線は、会津若松または喜多方行きで、途中の猪苗代に停車するバス便が少ないのが難点です。

約4時間30分と時間は少しかかりますが、運賃は2,500円~4,800円です。

夜行バスもあるので、朝からしっかり活動したい人にはおすすめです。

会津バス公式HP

猪苗代駅から裏磐梯エリアへのアクセス

猪苗代駅からは路線バスがあります。

磐梯東都バスで30分程度です。

磐梯東都バス公式HP

まとめ

五色沼と途中に立ち寄りたい周辺スポットをご案内しましたが、最後にポイントを整理しましょうね。

  1. 五色沼は、1888年の磐梯山の大規模な噴火により作られた「五色沼湖沼群」という多くの湖沼の総称
  2. 五色沼の名称は、「5つの沼」ではなく様々な色に見えることから名づけられた。
  3. おすすめトレッキングコースは五色沼自然探勝路で、全長約3.6km、片道約1時間10分~1時間30分程度の平坦なラクチンコース。
  4. スタートに先立ち、「裏磐梯ビジターセンター」で身支度と勉強をしっかりと。
  5. 沼の水の色は、時間や見る方向によって違うので、いろいろな角度から見てみよう。
  6. ついでに行くなら、ゴールの向かい側にある桧原湖でしばしのんびり。その後は、温泉やカヌーなどのアクティビティで楽しもう。

実は、裏磐梯エリアはウィンターリゾートも魅力的です。

スキーやスノーボードなら、優雅にのんびり派にはグランデコ東急ホテルに泊まってグランデコスノーリゾートがいいですし、ガッツリ滑るなら猫魔スキー場がオススメです。

五色沼の近くでは、スノーシューでスノートレッキングも楽しいです。レンタル・ガイド付きのツアーもあるので、トライしてみてはどうでしょう。(お問い合わせは、前述の「もくもく自然塾」「アウトドアスポーツクラブバックス」まで)

Sunrise over a Frozen lake
Photo by George N – Sunrise over a Frozen lake

火山が作った五色沼周辺は、磐梯山登山やトレッキング、カヌーやスキーなどのアウトドア三昧かと思えば、自然の中でゆったりと寛げるリゾートホテルがあったり、遊び方に振り幅があります。

十分自然に囲まれていますが、そこそこ開発されているので不自由すぎることもありません。何も考えずに自然に身を委ねるには、最高の場所です。

みなさんも、是非一度来てみてくださいね。