今この記事を読んでくださっている方々の中で、「天空の城ラピュタ」というスタジオジブリの名作をご存知の方も多いのではないでしょうか。
空に浮かぶ伝説の天空の城を目指して、少年と少女が大冒険を繰り広げるお話ですが、実は日本に「天空の城」と呼ばれるお城が存在します。
その名は「郡上八幡城」。
岐阜県にあるこのお城は規模こそ小さいものの、雲海の中にぽっかり浮かび上がる姿はまさにラピュタそのものです。
まるで小さいころに見聞きした冒険譚のような景色を一目見ようと訪れる人が絶えません。
しかし、国内での知名度はまだ高くはありませんので、知る人ぞ知る穴場といえるでしょう!
また、このお城がある郡上という町は名水の街としても有名で、京都にも負けない古い町並みを、透明な清流がそよそよと流れる大変美しい町です。
あのラピュタも、美しい水が街の水路を巡っていましたよね。
今回は、郡上八幡城と郡上の街の見どころをご紹介します!
「天空の城」郡上八幡城とは?

幻想的なポスターで一躍有名になった郡上八幡城ですが、実はこのお城、昭和に入って再建されたものなんです。
もともとは戦国時代の末期に築城されたもので、明治時代に近代化を目指す政府のお触れによって廃城となってしまったのです。
「再建されたものかぁ…。」とがっかりした方もいらっしゃるでしょうがご安心を!
この天守は全国的にも珍しい「木造」で再建されており、現存する木造再建城としては日本で最古のものなんですよ!お城の中を歩くと、「ギシッ…ギシッ…」と木がきしむ音が他のお城に比べて大きいので、少し怖くなるぐらいです。
しかし1933年に再建されてから80年以上その姿を保っているので、その技術に驚く外国人観光客も多いです。
かつて日本を代表する作家である司馬遼太郎が「日本で最も美しい山城」とたたえたこのお城の魅力は、天守からの城下町の風景です!城自体は小規模でありながら、坂道を片道20分も歩く価値があったと思える景色ですよ。
また、一説によると「内助の功」で有名な山内一豊の妻・千代がこのお城の出身であるといわれています。このお話に関しては高知城の記事で詳しく書いてありますので、興味のある方はぜひ読んでみてください!
さて、雲の上に突如出現したようなお城の姿をカメラに収めたいと思った方も多いでしょう。この奇跡の1枚を写真に撮るには、いくつかの条件がそろわないといけません。
- まず、明け方と日中の気温差が大きいこと。
- よく晴れた日であること。
- そして、空気中の湿度が高いこと。
季節としては秋~冬の早朝が狙い目だそうです。
また撮影スポットに関してですが、インターネットなどで検索すると「国道256号線の堀越峠付近がおすすめ」という情報がたくさん出てきますが、実はこの場所、車の駐停車禁止地区なので注意してください!!
三脚を使っての撮影も禁止です。
というのも、この辺の道はとても狭い山道なうえに急なカーブも多いので、ここに車を停めてしまうとほかの車が対向車を見通すこともできず追い越しもできないため非常に危険なのです。
地元の方々の生活を守るのはもちろん、自分の安全のためにもこの点は絶対に守ってくださいね。
この写真を撮るためには郡上の宿に一泊することになると思うので、宿の人に翌日早朝のタクシーを手配してもらい、その時にどう動くのかを相談してみましょう。
堀越峠でいったんおろしてもらってまた迎えに来てもらうのか、別の撮影スポットに連れて行ってもらうのか、その日の天候などにも配慮したアドバイスをもらうといいですよ。
名水の街をそぞろ歩き

郡上は宗祇水という、名水百選の第一号に指定された名水スポットを持つ「名水の街」として有名な場所です。
ちなみにこの宗祇水、もちろん今も飲用として利用することができます!
街中には水路が張り巡らされていて、透明な水がせせらいでいる様子を眺めながら散策すると心が落ち着いてリラックスできますよ!
郡上には「やなか水のこみち」と「いがわこみち」という有名な路地があり、いずれも歴史を感じる古い町並みと水路のコラボレーションが非常に趣深いスポットです。
いがわこみちの水路には鯉が気持ちよさそうに泳いでいるので、その様子をぼんやり眺めて涼むのもいいですね。

郡上は歴史を感じる古い町並みと水路が今も残されており、今なおそこで暮らしている人たちがいます。
観光客もそれほど多くはなく、豊かな水と暮らす人々の様子をリアルに見ることができるので、「観光地感」を感じる京都より、いい意味で「生活感」を肌で感じることができますよ。


夏になると子供たちが近くの川で遊ぶ様子が見れますし、お店や家の前に今も現役の井戸がある街です。
都会で育った私にとっては、「日本に今もこんな街が残っていたんだ…。」と感動する街並みです!
わざと迷い込みたくなる細い路地もたくさんあり、歩いている間中わくわくが止まりません。
また、名水の街とあって、地ビールや豆腐、蕎麦や水まんじゅうなんかもおいしいですよ!
アクセスと周辺情報
郡上八幡城へ行くには、東京方面からも大阪方面からもまずJR名古屋駅へ向かいます。
そしてJRの特急に乗って「美濃太田(みのおおた)」駅で長良川鉄道に乗り換え、「郡上八幡駅」で下車します。
駅からお城までは10分程で着きますよ。
大阪駅、名古屋駅からは郡上八幡まで「濃飛バス」という高速バスも運行していて、所要時間は電車と変わらず、しかも運賃は電車の半額程なので、リーズナブルに旅行を楽しむなら高速バスがおすすめです!
また、郡上は食品サンプルの街としても有名です!
まるで本物のようなサンプルの作成体験などができる「さんぷる工房」も人気のスポットとなっていますので行ってみましょう。
お土産の食品サンプルキーホルダーも本物そっくりなので、友達を驚かせたい方におすすめです!
料金と、絶対に見逃せないイベント情報

郡上八幡城の入場料は大人(高校生以上)310円、小・中学生は150円と激安です!
また、郡上は日本三大盆踊りの一つに数えられる「郡上踊り」も有名で、なかでも文字通り夜通し踊り続ける「徹夜踊り」は参加すべきです!
郡上踊りは毎年7月中旬から9月上旬まで開催されているのですが、徹夜踊りは8月13~16日の午後8時~翌朝4時か5時まで実施されます。
この期間は会場周辺のお店も遅くまで営業していたりするので、疲れた時にちょっと一服、なんてのもいいですね♪
近くの水路に足をつけて休憩する人も多いです。
古い町並みの中で浴衣を着て踊る人たちに交じって観光客も飛び入り参加できる素敵なお祭りです。
郡上踊りには10曲程の曲目があるのですが、この「かわさき」という踊りの振り付けを覚えていればなんとかなります!
また、郡上踊りでは下駄のカラコロという音がとても美しく響き、踊りには欠かせない重要なアイテムになっています。下駄屋さんは郡上の街にたくさんありますので、そこでお気に入りの一足を買いましょう♪
徹夜踊りは明け方になると参加者全体の一体感が高まり、振り付けや下駄の音がぴったりそろうようになってきて、すごく爽快です。
この時期に行かれる方はぜひご参加くださいね!
まとめ

今回ご紹介した郡上八幡城と郡上の街は、規模や知名度もそれほど高くはないものの、古い町並みに暮らす人々のリアルな生活感をその目で見られるという日本でもかなり珍しいスポットです。
しかし幻想的なポスターのおかげで近年この街の人気も高まってきているので、より近くで人々の生活や街並みを楽しみたいならまさに今が狙い目です!
天空の城から見下ろす名水の街も絶景ですよ。
壮大な冒険譚に心を輝かせたかつての少年時代の気持ちがよみがえる、そんな街です!
ぜひ郡上で新たな冒険の1ページを開いてください♪

旅行大好きアラサー女性。拠点は関西。お気に入りの旅先は国内なら新潟と高知、海外ならモロッコとスペイン。のんびりリラックス旅、観光重視アクティブ旅、なんでもござれ。色んな人がワクワクした気持ちになってくれたらいいなと思っています。