一生に一度は行きたい!「世界遺産・軍艦島」その歴史と魅力

Photo by hitomi in October 6,2013

軍艦島―――テレビや雑誌で見たり聞いたりして「行ってみたい!」と思ったことのある方は多いのではないでしょうか?

どうして「軍艦島」というんだろう?
行き方はどうすればいいの?
廃墟って聞くけど、観光できるのかな?

軍艦島は2009年から観光客も上陸できるようになりました。また、映画『進撃の巨人』のロケ地になったことでも有名です。

廃墟ブームあって、その不思議な魅力に興味を持った方も多いのでは?私もその一人です!

ある秋の穏やかな日に軍艦島へ上陸してきた私が、世界遺産「軍艦島」の魅力をご紹介いたします!

クルーズで行こう!「軍艦島」の上陸へ挑む

軍艦島は無人島のため、船の生活航行はありません。島全体が県の管理下なので、個人で無許可の上陸は禁止されています。観光として上陸するには、周遊クルーズへ事前に申し込む必要があります。人気のツアーですので、予約はできるだけ早めに取ることをオススメします。

クルーズへ出発するとほどなく、「タロとジロ」で有名な映画「南極物語」にも出てきた「南極観測船・宗谷」が作られた造船所の横を過ぎ、軍艦島を目指します。

長崎は造船の町です。海上には巨大な造船ドックがいくつもあり、それらを海から見学するのもまた貴重な体験です。

またこのクルーズ、必ず軍艦島へ上陸できるとは限りません。当日の天候、波の状況などで上陸ができないと判断されることもあります。

私が乗った船の一つ前の便は、残念ながら上陸できず引き返したそうです。その場合は、島の近くまでできるだけ近づき、周辺を細かく回っていただいてそのまま帰港することになります。

Photo by hitomi in October 6,2013

これは運となってしまう部分もありますが、比較的春と秋の上陸率が高いようです。日を遮るものがまったくないので、真夏は熱中症に注意してください。

そして、欠航は珍しいことではありません。波が高くなりやすい11~3月は欠航も多くなるので注意するなど、できるかぎり上陸の可能性を高めておきたいですね!

できるなら欠航で周遊もできないことを避けるために、軍艦島に行くための日を何日か候補に組み込んでおくのもいいかもしれません。私は10月ごろ運よく上陸し、気候も穏やかでとてもよい時間が過ごせました!

軍艦島の周遊・上陸クルーズを運営している会社がいくつかあり、運営会社によって船の規模も違うので、ご自分に合ったプランをぜひ探してみてください。

軍艦島周遊・上陸クルーズ情報

軍艦島コンシェルジュ
https://www.gunkanjima-concierge.com/
軍艦島上陸クルーズ
http://www.gunkanjima-cruise.jp/
軍艦島ツアー
http://www.gunkanjima-tour.jp/

Photo by hitomi in October 6,2013

無事に桟橋から上陸することができると、同船のみなさんと共にガイドさんが案内してくれます。

観光客が歩く道は整備され歩きやすくなっており、柵が設置されています。

島の南東にある桟橋から上陸し、南へぐるっとまわり、西側へ見学コースが伸びています。このコースをはずれたところへ行くことはできませんが、絶好の撮影スポットも用意され、かの「日本初の鉄筋コンクリート造りの集合住宅」も見えるコースです。

同じクルーズのたくさんのお客さんと同行しますので、撮影ポイントを確保するのは難しいこともありますが、私はできるだけ前に出て(そして後ろの方の邪魔にならないよう体勢を低くして)、他の方が映りこまないようにシャッターを切りました。

そうしてより一層、軍艦島の廃墟の魅力を際立たせる写真が撮れたと感じました。やはりこの寂寥感を少しでもカメラに収めたい! と思ったためです。

Photo by hitomi in October 6,2013

時を忘れる、異世界のような空気

軍艦島は無人島ですので、人の気配は感じられません。また「緑」も雑草以外ほとんどありません。見渡す限り廃墟と岩肌です。

耳を澄まして聞こえてくるのは。島に打ち付ける波の音、上空を飛ぶ鳥の声だけ。鼻をくすぐる潮の香り。

私が軍艦島に上陸した日はとてもよい天気でした。心地よい風に身を任せていると、遥か上空にはトンビがゆったりと旋回しており、きれいな声で鳴いているのが聞こえました。

「絶海の孤島」といった雰囲気で、しばし日常を忘れるぐらい不思議な場所です。

このような場所は日本中を探してもそう多くはないと思います。異国のような、いや異世界のような非日常の雰囲気を味わうには最高の場所です。

Photo by hitomi in October 6,2013

軍艦島は「炭鉱の島」。当時の人々の暮らしを肌で感じて

軍艦島の正式名称は「端島(はしま)」と言います。コンクリートで切り立った島のぎりぎりにまで建物が並び、その人工的な姿が当時の軍艦「土佐」に似ていたことから、そう呼ばれるようになったとのこと。

約100年前、ここは炭鉱で栄えた島でした。江戸時代から明治時代にかけて見つかった炭鉱が開発され、もともと小さかった端島はコンクリートで囲み、拡張されて面積を広げました。とは言え、広さは東京ドームわずか1.3個分。

大正時代において、日本初の鉄筋コンクリート造りの集合住宅が建設されたのが軍艦島です。島が栄えるにつれ人口が流入し、昭和30年代には5000人以上の人々が暮らし、人口密度が世界一となりました。そこは「もっとも人がひしめき合う場所」だったのです。

住宅・学校・病院、商業施設、遊技場……島の施設は充実し近代化していきました。炭鉱で働く人々の賃金も上昇し、さらに人が増えます。軍艦島は暮らしやすい島となりました。

しかし昭和40年代に入り、主要エネルギーが石炭から石油へと移行していったことにより炭鉱は衰退していきました。島では度々炭鉱事故やガス爆発事故なども起こり、炭鉱の縮小と共に人口も減少していきました。

昭和49年についに炭鉱として閉山し、全ての住民は軍艦島を去ったのです。

島のいたるところに立ち並ぶ廃墟は、当時の人々の暮らしをわずかに伝えてくれます。「わずか」というのは、この島に人が住まなくなって50年も経っていませんが、やはり風雨や波による建物の劣化がとても激しいのです。

世界で一番人がひしめく場所として栄えた島も、人が去ってしまえばその遺構と歴史だけを今の私たちに残してくれます。まるで時が止まってしまったか映画のセットのような風景ですが、しかしここにはかつて、確かに多くの人々が暮らしていたのです。

できるなら、島を訪れる前に島に関する歴史や知識を少しでも予習していくと、よりリアルに当時のことを想像できるかもしれません。

Photo by hitomi in October 6,2013

まとめ

  1. 世界遺産・軍艦島に上陸するという貴重な経験
  2. 島全体が廃墟という、廃墟マニアにはたまらない魅力
  3. 当時の人々の暮らしを想像し、かつての日本における炭鉱産業の重要さを知る
  4. 日本でここにしかない景色を体感できる

「廃墟に言いえぬ魅力を感じる」という人ならぜひ行っておくべき場所です!この小さな島に本当に5000人も暮らしていたの? とその興味はますます大きくなるはずです。

また、島の建物全体に劣化が進んでおり、危険と判断されいつ上陸が禁止となってしまうとも限りません。

そうなって「あの時行っておけば…」とならないよう、ぜひ軍艦島への周遊・上陸してその魅力を体感してください!

Photo by hitomi in October 6,2013