札幌の中心部にある、「緑の四角いスポット」。これは「北海道大学附属植物園」。
通称、「北大植物園」として親しまれているスポットで、街中にいながらにしてちょっとした森林浴を体験できます。
四季折々に表情を変える植物や、北方の貴重な資料を見学して歴史に触れてみませんか?
「北大植物園」とは
正式名称を「北海道大学附属植物園」と言うとおり、そもそもは北海道大学が北方資料や開拓史資料、そして北海道固有の動植物を研究するために設置した施設です。
学術研究の場ではありますが、その植物・資料を見学してもらおうと一般市民にも解放しています。
季節ごとに見頃を迎える様々な動植物や、貴重な資料の数々に触れて「知のフィールドワーク」が出来る場所なのです。
季節を感じつつ緑と親しむ
「植物園」なので、何と言っても緑が1番の名物。「ガーデン」とは違い、あえて手入れしすぎず、なるべく自然のままに生かした北海道固有の植物を観察できます。
特に、四季を通じて見頃を迎える花々は、「観賞用」に作られた園芸植物とはまた違った、野生の美しさを見せてくれます。
HPには散策のモデルコースが紹介されているので、それを参考に周ってみると良いでしょう。
植物園基本情報
所要時間:30分~1時間程度
筆者のおすすめポイント1:「バラ園」

色鮮やかなバラは、香りも楽しめる
筆者のおすすめは6月ごろ見頃となる「バラ園」です。
正門からまっすぐ、ローンや自然林を抜けたところにあるバラ園は、奥まったところにあるだけにまるで「秘密の花園」のよう。
のどかな中に鮮やかな色と香りのバラが咲く、初夏の風景が広がります。特に、「バラのアーチ」はロマンチックで、何度も来たくなるポイントです。
筆者のおすすめポイント2:「温室」
寒い時期には育成が難しい、熱帯の植物を観察できるのがこの温室です。
バナナや食虫植物など、一風変わったエキゾチックな植物が見られるのが面白いです。
札幌の真ん中に南国のジャングルが出現したかのような空間で、季節によっては甘いような香りがするのが筆者のお気に入りです。
また、冬季間で唯一温室だけは解放されているのも、嬉しいポイント。
貴重な北方資料で歴史と文化を知る
屋外で植物の魅力を堪能するだけではなく、様々な北方文化の資料に触れて歴史探訪できるのも植物園の魅力の一つ。
博物館や資料館など、資料を収めた建物そのものが文化財のためレトロなデザインで目を楽しませてくれる上、古代の文化からアイヌの文化資料、自然史など、北海道の歴史を深く知るために欠かせない資料を見学できます。
筆者のおすすめポイント:竪穴式住居跡
木立の間にぽつんとある、「凹み」。
一見すると何がどうすごいのか分からないような、直径2~3mほどの大まかに円形状をした跡です。
見過ごされてしまいそうなスポットですが、実は「擦文文化の竪穴式住居跡」なのです。
擦文文化とは、縄文時代に北海道古来の「オホーツク式文化」から、本州の「土師器(はじき)」に似た土器・鉄器に移り変わる頃に成立した文化のことで、土器を木べらなどでこすった跡があることから「擦文」と呼ばれています。
7~12世紀あたりまで、この文化様式が継続していました。
北海道と本州の文化融合の史跡ということで、この竪穴式住居は大変貴重なものなのです。
植物園散策・見学時時のポイント

春先~初夏に咲くスミレの一種
探索をもっと気持ちよく、そして有意義なものにするために、いくつか気をつけたいポイントがあります。
元々は観光設備ではないために、サービスの充実にはどうしても限界があります。「学習の機会」であるということを意識したいですね。
有料である
ごく安価ではありますが、入園料が発生します。
一般(高校生以上)は420円かかるので、お財布は忘れずに行きましょう。
靴、服装は歩きやすいものを
園内は、出来るだけ自然そのままの地形を残すため、あえて「道を整備しない」施設となっています。
そのため、ヒールや平たい革靴などでは土が入ったり引っかかったりして歩きにくいです。
地面をしっかり踏め、多少泥がついても平気なスニーカーなど歩きやすい靴で入りましょう。
また、動植物が肌に触れることを避けたいならば、長袖が良いです。
屋外が中心のため、脱ぎ着が簡単なウインドブレーカーなどの上着があると便利です。
園内の動植物には強く触らない、傷つけない、採集しない
前述のとおり、植物園は「学術研究の場」であることを忘れてはいけません。
生息している動植物は「研究のための資料」ですので、綺麗な花々や、貴重な植物はつい持ち帰りたくなりますが、摘んだり拾ったりするのはNG。
実物を持ち帰る代わりに写真に撮るなどして、そっと触れるだけにしましょう。
また、撮影機器も三脚の使用は制限されています。
もし、「この道具で撮影して良いか分からない」と疑問があった場合は、事前に園に相談しましょう。
花粉などアレルギーがある場合は入園を避ける
植物なので花粉が発生するのは当たり前のこと。
もし花粉などにアレルギーがある場合は、その植物の時期を避けて入園しましょう。
植物ごとの見頃は植物園のHP内「花ごよみ」で随時確認できます。
入園・開館時間はきちんと確認を
特に、冬場は植物があまり見頃でない上に雪の影響から、園自体が閉鎖されることもあります。
入園可能になるのはおおよそ4月から9月までと、10月から11月までとなっています。
ただ、バードウォッチングなどのイベントは冬季でも行われることがあるので、「冬の植物園を見たい!」という場合は参加してみたいですね。

冬季でも、自然に触れるイベントに参加できる
レストラン、喫茶店がない
食事を提供するレストラン・喫茶店などのサービスはありません。
緑に囲まれて飲食したいのならば、休憩所への持参や園内に設置の自動販売機を利用しましょう。
ゴミは園にポイ捨てなどせず、きちんとゴミ箱へ入れるか持ち帰って処分します。
駐車場がない
園の環境保持のため、駐車場は設置されていません。
もし車で訪れる場合は、近隣の駐車場を利用する必要があります。
ただ、植物園は札幌駅などの最寄りから徒歩10分〜15分くらいの場所にあり、各地方からアクセスしやすくなっています。
利用時にはぜひ、地下鉄など公共交通機関を利用しましょう。
「北海道大学植物園」と探索のポイントまとめ

- 都心にある「緑のスポット」である
- 北方特有の植物を季節ごとに楽しめ、史跡めぐりも
- 大学の運営・管理する「研究の場」である
今回の記事では、「北海道大学植物園」の魅力と探索時のポイントをご紹介しました。
植物園は都心にありながらも珍しい植物を観察したり、史跡を見学できる素敵な憩いの場です。
利用時の注意点やマナーには気をつけながら、四季を彩る花々を楽しみましょう。

フリーランスの記事ライター、翻訳家。一人旅が趣味なことと、地元が北海道のため、北海道の観光に関する情報に強み。どこにでも一人で行きながら、地元ならではだからこそ分かる北国の楽しみ方をどんどん積極的に発信していきます。