参拝だけじゃもったいない!稲荷山と伏見稲荷大社を楽しみ尽くす方法

Writer
椿

広島生まれの東京在住アラサー。一番よく行く旅行先は京都。現在、着物、浮世絵、茶道など伝統文化にもハマりつつあります。旅行が好きですが人混みが嫌いで、どれだけ効率よく色々見られるかを毎回考えて旅行しているので、そんな視点で日本を楽しんでもらうための記事を書いていきたいと思います。

「京都といえば?」

もしこんな質問をされたら、多くの人は神社仏閣――更に言うと、朱塗りの鳥居がたくさんある神社をイメージするかもしれません。それほど、伏見稲荷大社は国内外を問わず、観光客に人気の場所となっています。ある旅行サイトでも5年連続1位を取り続け、海外からの観光客にも人気の場所であることは間違いありません。

しかし!ここ5年ほど毎年京都、そして伏見稲荷大社を参り続けている私としては、伏見稲荷大社にただ参拝するのではなく、稲荷山を含めて楽しんでほしいと思うのです(おこがましいですが…)

全国3万社の「おいなりさん」の総本社

伏見稲荷大社は主祭神の宇迦之御魂大神(うかのみたまのおおかみ)と他4柱の神様を併せて「稲荷大神」として祀っています。

元々は五穀豊穣および農業の神でしたが、それが転じて、現在は商売繁盛の神様として信仰されています。稲荷神を祀る神社は「稲荷神社」と呼ばれ、日本全国に約3万社あると言われており、その総本社(トップ)が伏見稲荷大社、ということになります。

「狐=おいなりさん」と思いがちだけど…

また、千本鳥居の他に伏見稲荷神社のイメージとなっているものとして、「狐」があります。間違われる方が多いのですが、稲荷大神(おいなりさん)が狐なのではなく、稲荷大神の眷属が狐です。そのため、伏見稲荷大社には通常狛犬がいる場所には狐がいますし、絵馬ではなく絵狐があります。狛狐には玉、鍵、巻物、稲穂を持つ4種類がいますので、探してみてください。

山そのものがご神体!

神社には神様が宿られる「神体」が必ずあります。神社に行って本殿にお参りするとき、正面に鏡を見かけることがあると思います。通常神体として鏡が置かれることが多いのですが、神社によっては自然そのものをご神体とすることがあります。例えば、岩や山です。有名なご神体の例として、富士山があります。

伏見稲荷神社のご神体は、本殿の後ろにそびえる稲荷山です。峰が三つあり、それぞれの峰の場所に神蹟(しんせき:昔神様を祀る祠があった場所)があります。これらの神蹟を巡ることを「お山巡り」や「お山する」と呼ぶことがあります。

伏見稲荷大社に来られる方の多くは、本殿や奥社奉拝所にお参りをして終わりにしてしまいます。しかし、伏見稲荷神社のパワーを感じることができるお山巡りにぜひ挑戦してください!(もしお山巡りに挑戦する場合は歩きやすい靴にしましょう!)

本殿

伏見稲荷神社の正面にある、朱塗りの大きな楼門をくぐると拝殿が二つあります。

写真の右側(手前)にあるのが「外拝殿(げはいでん)」、左側(奥)にあるのが「内拝殿(ないはいでん)」です。内拝殿は「本殿」と呼ばれることもあります(実際に伏見稲荷大社の公式サイトでも本殿とされています)

拝殿とは神社建築で、神職が着座し礼拝・祭祀を行う場所のことです。神社の中には拝殿を持つ神社もあれば、伏見稲荷大社のように2つもつ神社もあります。

伏見稲荷大社の参拝は、奥の本殿から始めます。

奥宮

本殿への参拝が終わり、石段を上がるとまた朱塗りのお宮が見えます。こちらは「奥宮」といいます。祀られているのは、本殿と同じく稲荷大神です。一つの神社に複数の社殿がある場合、「奥宮」と呼ばれるのですが、通常は「一つの神社が山のふもとと山頂に社殿を持つ」、といったように社殿が離れている場合にそう呼びます。

千本鳥居

世界的な伏見稲荷大社のイメージといえば、この「千本鳥居」です。

そもそも鳥居は、人間と神様の世界を分ける結界のようなものですが、江戸時代に願いが叶った際に「願いが”通った”」ということで、鳥居を神社に奉納する習慣が広まりました。

伏見稲荷大社にあるその多くの鳥居は願いが叶った人の数ということなのでしょう。

現在では、絵馬のように、願いを叶えるために鳥居を奉納する人もいます。小さいものであれば十分手が届く値段なので、記念に鳥居奉納をしてはいかがでしょうか。

奥社奉拝所

千本鳥居を抜けたところにあるのが、この奥社奉拝所です。一般には「奥の院」と呼ばれます。こちらは、稲荷山を遙拝(ようはい:遠く離れたところから神仏を拝むこと)できる場所です。そのため、稲荷山の三ヶ峰はこの奉拝所の背後にあるそうです。

お守り、絵狐、願掛け鳥居、御朱印の購入もできます。また、社殿の裏には「おもかる石」という、「願った後に石が軽いと願いが叶う」という石があります。土日はかなり人気なので、持ってみたい方は朝早くに行くと良いでしょう。なお、「おもかる石」自体は他の神社やお寺で見られる場合もあり、伏見稲荷大社特有のものではありません。

四つ辻

さて、奥社奉拝所から三ツ辻へ進むと、右に行けば稲荷山へ、左に行けば本殿へ向かいます。完全に個人の感覚ですが、日本人観光客はここで本殿へ帰り、外国人観光客は四ツ辻の方向へ進むことが多いです(もちろんどちらが良い悪いではありません。傾向として面白いなと思っているだけです)

三ツ辻から四ツ辻までは階段が多く、まさに登山ですが、四ツ辻まで登りきると売店があり、一息つくことができます。また、この四ツ辻は稲荷山での絶景スポットの一つでもあります。

ここで腹ごしらえをしたら、三ノ峰に向かって出発しましょう!

三ノ峰~一ノ峰

四ツ辻から一ノ峰までは所要時間は約30分ほどです。それぞれの神蹟に参らずノンストップで行けばもう少し短い時間で一ノ峰(山頂)に到着します。

三ノ峰の下之社には白菊大神、間ノ峰の荷田社には伊勢大神(天照大御神)、二ノ峰の中ノ社には青木大神(佐田彦大神)、一ノ峰の上社には末廣大神(大宮能売大神)が鎮座しています。

四ツ辻からは人の数がぐっと減ります。私が登った時も夜近くだったせいか、人は少なく、たまにすれ違う参拝客はほとんどが外国人観光客でした。ちなみに、伏見稲荷神社は24時間出入り自由ですし、夜も照明がついています。社務所に用事がなければ、朝早くもしくは夜遅くに稲荷山登りをしても良いでしょう。

御劔社

では頂上でお参りが終わったら、下山していきましょう。三ノ峰側から登ってきた方は反対側から降りていきましょう。まず、御劔社(みつるぎしゃ)・薬力社が見えます。

御劔社も神蹟の一つであり、社殿の後ろに御劔石(雷石)があります。この御劔石の左には、焼刃の水と呼ぶ井戸があり、名刀・三日月で有名な三条小鍛冶宗近が稲荷大神の力を借りて、名刀・子狐丸を鍛えたと言われています。

眼力社

逆さ狐の一風変わった手水舎があるのが眼力社です。その名前の通り、眼に関する病を治癒してくれるそうですが、他にも「先見の明を授かる」といったご利益もあり、眼の病気を患った方だけでなく、起業家や経営者の方にもリピーターがいるという場所です。

私もいつも前を通り過ぎていたので、次回伏見稲荷大社に参拝したときはローソクとお供え物を持って参拝したいと思います(笑)

御膳谷奉拝所

稲荷山の一ノ峰、二ノ峰、三ノ峰の三ヶ峰を遙拝する場所です。昔から三ヶ峰の神様にお供え物する神聖な地でした。現在でも変わらず由緒ある場所で、毎年1月5日には大山祭(山上の儀)が行われます。

おまけの荒木神社

ここまで終わると、荒神峰を通って三ツ辻に戻ります。

ここから本殿に戻ることはもちろんできますが、本殿に戻らずに道案内に沿って、石段を下っていくと、荒木神社があります。

荒木神社は、伏見稲荷神社とは異なり、荒木大神を主祭神としている神社です。荒木大神がどのような神様かは調べても出てこなかったのですが、この神社の境内には他にも神様がおり、腰痛に聞く足利稲荷大明神や、縁結びをつかさどる口入稲荷大神がいます(上記写真は口入稲荷大神の人形です)。なお「口入」とは「仲介人」のことで、私もここで参拝した後、見事彼氏ができました…(照)

終わりに

稲荷山に入ると登山が辛いのでは?と思われる方がいたかもしれませんが、標高も200m程度で2~3時間あれば一周散策することができます。

山に入ってみることができる社殿は、伏見稲荷大社の始まりに関わっているせいか、本殿や奥社とは違った厳かさを感じさせます。

伏見稲荷は、今回紹介できませんでしたが、表参道を使うか、裏参道を使うか、稲荷山に入るか入らないか、三ツ辻から寄り道してみるかどうか…など、行く度に色々な発見をして楽しむことができる、大変奥深い神社です。

伏見稲荷に行ったことがない人には興味を、行ったことがある人には「次はココに行ってみたい!」と思える何かがこの記事で見つかれば嬉しいです!

アクセス

  • 表参道を利用する場合…JR奈良線「稲荷」駅
  • 裏参道を利用する場合…京阪電車「伏見稲荷」駅

※スズメやウズラの丸焼きで有名な商店街があるのは裏参道です。