青森恐山、最果ての霊場への行き方と見どころ、周辺観光を紹介

Photo by 野沢菜月 in 2018.04.03

日本三大霊山の一つとしてあまりにも有名な青森県下北半島恐山

イタコさんがいて風車がカラカラ回ってて、なんとなく観光っていう言葉とはほど遠いというか恐れ多いというか、そんな気持ちになる人が多いのではないでしょうか。

実際に行ってみるとおどろおどろしいというよりはあの世をテーマにしたテーマパークというか、すごくきれいな場所だという事を知りました。そんな様子を紹介してみたいと思います。

気を付けるべきこと

写真提供:ソザイング

恐山は、観光といっても霊場です。やはりキャッキャとはしゃいだり遊び半分で行くような場所でも雰囲気でもない事はあらかじめ理解したうえで行った方が良いのだと思います。

私は特に霊感があるわけでもないので気にしませんが、霊感がある人が行くと辛いかもしれませんね。やはりなんだかんだ、そういう話には事欠かない場所であることは間違いありません。

それと、石ころや草など、間違っても持ち帰ってはいけない、とも言われています。場合によっては良くない物を連れて帰ってきてしまう事もあるようです。

下北半島の恐山、行き方は? 恐山までの道のり

Photo by 野沢菜月 in 2018.04.03

恐山に行くためには、車の場合は国道279号線(はまなすライン)を延々と北上する事になりほぼ1本道です。

そうそう迷子になるような場所でもないですし有名観光地だけあって看板も遠くから出ているのでレンタカーで走るのも悪くありません。

車がない、運転出来ない場合にはJR下北駅からシャトルバスが出ているようですが本数はあまり多くないようです。

私は、親戚のおばちゃんの唐突な思いつきで突然十和田から150km離れた恐山まで車で行きました。その日の朝になって突然「恐山に連れていけ」と言われたおじちゃん、かなりブツブツ言っていましたが、80近い高齢なのに元気よくほぼノンストップで走りました。

おじいちゃん、車を運転しながら若干やけになったのか「はすれ~はすれ~こうたろう~ひゃい♪」と変な歌まで歌いだす始末。東京から遊びに来た姪のために本当に申し訳ない事であります(笑)

無数の風車と素晴らしい海の景色

Photo by 野沢菜月 in 2018.04.03

25号線沿線(はまなすライン)には原発処理施設で有名な六ヶ所村があるんですね。

六ヶ所村は現在は風力発電をやっており、道路からはすごい数の風車が見えるんです。写真だとそう多くないですが、こういう風車が道路沿いに見え続けます。

おじちゃんが頑張ってノンストップで走行されるためあまり写真はとれませんでしたが。

Photo by 野沢菜月 in 2018.04.03

やがてはまなすラインに入ると今度は陸奥湾が見えてきます。陸奥湾を挟んで遠くに恐山がそびえているのが見えました!画像でもうっすらと島のようなものが見えるのがおわかりでしょうか。

これが陸奥湾の対岸から見た恐山です。

恐山の風車はまさにあなたの知らない世界

 

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むつ市の街並みを走りやがて恐山のふもとあたりから今度は一気に山道に。このあたりから生まれて初めて行く私はちょっと緊張してきます。なんといっても日本三大霊場、怖い噂ばかり聞こえてくる恐山です。

昭和の世代の方なら覚えているかと思いますが、その昔夏休みのお昼には「あなたの知らない世界」という視聴者の霊体験の再現動画を流す番組がやっていまして、カラカラとまわる赤い風車、まさに恐山のイメージがそれなんですよね。

 

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最近でこそ、「パワースポット」なんて呼ばれて怖いばかりではないイメージもついてきているようですが昭和世代の人間からしてみればやっぱりなんとなく怖い、霊現象がいつ起こってもおかしくない、そんなイメージがぬぐえない場所です。

山道を30分近く登ったような感じがしました。実際にはもっと短かったのかもしれませんが、いよいよ恐山に到着。

恐山のお寺さん手前あたりからいろんなオブジェが立っているのが見えてきます。車でそのまま通りすぎてしまったんですが、このオブジェがどうやら三途の川だったらしい。あの世とこの世の境目ということですかね。

いよいよ来たぞ~!と言いたくなるような感じです。

写真提供:青森県観光協会

恐山のイタコさんは常駐ではない

この日、残念ながら有名な「イタコ」さんたちに会う事は出来ませんでした。イタコさんはどうやら恐山の「大祭」と呼ばれる行事の時にお越しになるだけのようなんですね。

期間は7月と10月の年2回だけとあちこちに書かれているんですが、おばちゃんの話ではいつもいるわけじゃないけれどあったかい時なんかには敷地のあちこちにイタコさんが出てきてるんだよね~との事でした。

その日は結構な強風、なおかつ肌寒かったのも理由だったのか、誰もいませんでした。

いよいよ恐山菩提寺へ

Photo by 野沢菜月 in 2018.04.03

恐山菩提寺の入り口で入山料500円をお支払いし入ります。

入った瞬間からもう何かの境界線を越えてしまったような、異様な雰囲気が漂っています。あたりには硫黄の香りが漂っていて、地獄の入り口近くに温泉があるわけなんですが、そこが後で書く、混浴の温泉。

ここにはいろんな名前の「地獄」があります。その地獄を順番に見ていくことになります。入った最初にいきなり無間地獄なんて書かれてます。ええ・・・いきなり無間地獄ですか、そうですか。

恐山の温泉の効能がすごいらしい

 

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恐山には実は温泉があり、一般のお客さんでも入る事が出来るお風呂が4つあるんだそうです。宿坊のお風呂もあるようですが、中でも花染の湯という温泉は混浴ですがものすごい効能なのだとか。

中国の安徽省黄山というところにある名湯・朱砂泉に匹敵するのは日本ではこの恐山の花染の湯だけなんだそうです。

見た目は掘っ立て小屋でしかないんですが実際中の温泉は熱い源泉だけですごく熱いので加水して入るんだそうです。混浴という事で残念ながら入らなかったんですが入ってみたかったな…。

ちなみに昔は身を清めるために参拝者はみんな入っていたそうです。

恐山の地獄めぐり

Photo by 野沢菜月 in 2018.04.03

敷地内には順路が分かるように看板が立っていて、そこを歩いていく感じ。火山岩で足元が悪いので意外とゆっくりしか歩けずそれなりに時間がかかります。

なので実際に行く時には歩きやすい靴でいかれる事をお勧めします。蛇も出るそうなのでサンダルはやめておいた方がいいでしょう。

少し歩くと風車・・・そうそう、これです。これがイメージだったやつ!
いよいよあの世に来ちゃったと思わせる、そんな光景です。

地獄の合間に仏さんがあちこちに立っている

Photo by 野沢菜月 in 2018.04.03

見た時には正直、いわれだとかそういったものもきちんと確認していなかったので、ただただぼーっと見ていたにすぎなかったんですが、お地蔵さんや仏さんなどがあちこちに立っています。

あちこちから強い硫黄のニオイと一緒にガスも噴き上げているところがあるようで、まさに地獄という感じがします。強い風が吹く中、カラカラと回る風車の音も手伝い、この場所の尋常でない感じをさらに盛り上げているように思えてきます。

この時ちょうど、遠くの方から救急車の音のようなサイレンが聞こえてきたんですよね。最初は気のせいだと思っていたのが、帰りに実はとんでもない事実を知らされることになるのですが。

目の覚めるようなブルーが印象的な浄土ヶ浜

写真提供:青森観光協会

様々な地獄を通過すると、山の中のカルデラ湖宇曽利山湖に出てきます。

砂浜には「浄土ヶ浜」と書いてあり、賽の河原なんかもあります。静かで湖の青と砂浜の白のコントラストがすごい。こんな美しい場所があったなんて思いもしませんでした。

Photo by 野沢菜月 in 2018.04.03

これが賽の河原。浄土ヶ浜にもあちらこちらに積み上げられた石がありました。

輪廻転生?再生?あの世からこの世に戻ってくる

Photo by 野沢菜月 in 2018.04.03

浄土ヶ浜を通り過ぎ、川を渡ると「胎内くぐり」と名付けられた上り坂に出くわします。

このあたりの作り方がうまいというか、あちこちの地獄で罪を償った魂がまた新たな生命として生まれ変わってくる、そんなイメージなのでしょうか。

まだ続く地獄を横目に胎内くぐりを登りきると「はし塚」なるものがあり、出口です。

なんとも不思議な感覚でした。戻ってきたんだ~というような気持ち。

恐山のお土産屋さん

Photo by 野沢菜月 in 2018.04.03

菩提寺の外に出ると食事処があり、その横には小さな土産物屋さんがありました。そこには地蔵さんやお坊さんなどのお人形が置いてあったり数珠なども売っていました。が、個人的に一番気になったのが「恐山」という文字Tシャツ。

正直なところこれが一番買いたかったのですがおばちゃん曰く「そういうおふざけはここではやめなさい」とピシャリ。

ああ、そうだよね、霊場なんだもんねと思いながら、お菓子を買って出てきましたが、このお菓子ですら恐山に来ないと入手が出来ないであろう一品。なにせ本州の北の最果ての霊場ですから、訪れる人も決して多くはありません。

運よく行けた人はせめてお菓子だけでも購入してお土産にしたら話題になりそうですね。

恐山は「帰ってくる場所」

恐山の宿坊や外の食事処ではうどんが食べられるそうなのですが、おばちゃんがお弁当を用意してきていたため私たちはここではお食事をすることもなく、帰りも遠いのでということで車を走らせながらおにぎりを頂く事にしました。

その帰りの事です。山道を下っていると数台のパトカーと救急車が。

あとで聞いた話ですがこの日、途中の山道で自らお亡くなりになっている方のご遺体があったんだそうです。行方不明になったため数日前から捜索していたんだそうです。

青森の人にとっては亡くなった魂は恐山に帰るといいます。もしかしたらその方も帰ろうとしていたのかもしれません。

少し足を延ばせば大間のまぐろも楽しめる

写真提供:大間町観光協会

私たちはまっすぐ帰ってきましたが、せっかくここまでお越しになられるならぜひもう一つ行った方がいい場所がありますね。

それは大間。マグロです!

Photo by 野沢菜月 in 2018.03.03

写真は残念ながら大間のマグロではありませんが、大間崎まで行けば実際にマグロを食べられるところもあるようです。

大間まで行くにはさらにはまなすラインを北上するだけ。車だとだいたい1時間くらいで到着出来ます。

青森からの帰りには立ちより温泉も安くておすすめ

青森まで遠路はるばる観光した帰りには、是非立ち寄り温泉を楽しんでいただきたいですね。恐山の温泉もさることながら、それ以外でも青森は全体的にどこにいっても良質な温泉が沢山あります。

例えば新青森駅から新幹線でお帰りになるなら駅から徒歩5分ほどで行けて銭湯くらいの金額で早朝から入れる、まちなか温泉などもおすすめ。

高速バスで青森まで来られるなら到着してここに入れば移動の疲れを癒せますね。

Photo by 野沢菜月 in 2018.04.27

三沢方面から帰るならば、JR三沢駅から歩いてすぐの場所にやはり500円ほどで入れる立ちより湯がありますよ!

Photo by 野沢菜月 in 2018.04.27

まとめ

  • はまなすラインを北上するだけなので車で行くのはわかりやすい
  • はしゃいだりふざけてはいけない
  • 敷地内の石などは持ち帰ってはいけない
  • 温泉は大変すばらしい効能を持っている
  • 敷地内は地獄をめぐる「あの世のテーマパーク」
  • お土産物屋さんのラインナップがすごい

恐山で最も恐山らしい風景を見る事が出来るのはやはり大祭の期間中なのだと思いますが、シーズン外の時期でもあまり人が多くもなく静かに参拝出来るため人込みを避けてゆっくり観光したい方にはピッタリだと思います。

ただ恐ろしいだけではなく美しい、他ではそうそう見る事の出来ない最果ての霊場に是非一度は訪れてみてはいかがでしょうか。