大内宿ってどんな所? 大内宿の魅力と周辺観光スポットをご紹介!

大内宿

大内宿は、南会津の山の中にある宿場町です。およそ450mの往還の両側に、道に妻を向けた寄棟造で茅葺き屋根の民家が建ち並んでいます。

大内宿本陣跡には「下郷町町並み展示館」があり、当時の生活空間が再現されています。

今回は、ちょっと前に遊びに行ってきたばかりのわたしが、大内宿の生い立ちやグルメ情報、是非立ち寄りたい周辺の観光スポットを紹介します。

大内宿とは何?~誕生の歴史とキレイに保存された理由~

江戸時代の町並みを今に残す大内宿は、江戸と会津や米沢などへ向かう大名や旅人、商人の宿駅として重要な役割を果たしていました。その会津と日光(今市)を結ぶ会津西街道は、1640年ごろに当時の会津藩主である保科正之によって整備されました。

しかし、その後江戸幕府によって五街道以外を利用することに対する取り締まりが厳しくなり、参勤交代をはじめ多くの人々は白河経由で奥州街道を利用するように。また、地震や大雨による土砂崩れによって、会津西街道は何か所も寸断されてしまったのです。

その後、寸断された部分を回避して作られた新しい街道が利用されるようになりましたが、不幸なことに大内宿はメインストリートから取り残されてしまいました。

近年になると、鉄道は東北本線から磐越西線経由で都心から会津までが結ばれ、大内宿を通ることはありませんでした。さらに大川沿いに延びた会津線も、大内宿から遠いところを通ります。

大内宿はすっかり、高度経済成長から取り残された集落となってしまいました。

しかし、道路や鉄道からすっかり遠ざかってしまったおかげで、大内宿は近代化されずに昔の風情がそのまま残されることになったのです。

1965年頃になると、この地域の生活や建築物の調査などのために、外部の研究者がたくさんに来訪するようになり、旧宿場の街並みが再評価されました。研究者によって新聞で紹介されたり、大河ドラマのロケ地になったりと、外部に知られることによって観光客が訪れるようになり、街並みの保存活動が盛り上がってきました。

1981年、ついに大内宿は国の重要伝統的建造物群保存地区として選定されました。旧宿場としては、長野県の妻籠宿、奈良井宿に続いて全国で3番目の選定です。

今度は逆に、アスファルトで舗装された道路を土の道路に戻したり、街道沿いを無電柱化したり、昔の風情に戻す作業を行いました。

現在では30軒以上の茅葺き屋根の民家が並び、多くの人が訪れる観光地になったのです。

大内宿の四季~イベント狙いならこの日に行け!~

会津の山の中にある小さな宿場町にも、四季折々のイベントがあります。

シャッターチャンスを狙って訪れてみるのもいいですよね。

桜が咲き始めるのは、4月20日頃。満開はおおよそ1週間後です。

ゴールデンウィークには、宿内にはこいのぼりが飾られます。

「青い空に泳ぐこいのぼり、映えますねぇ。」

毎年7月2日の半夏(はんげ)の日には、「大内宿半夏祭り」が行われます。

大内宿には、後白河天皇の第2皇子・高倉以仁王(もちひとおう)の霊を祀った「高倉神社」があり、その神社で神事を行った後、白装束に黒烏帽子(えぼし)姿の村の男衆らが神輿を中心に粛々と行列をつくり、家内安全や五穀豊穣を祈願します。

半夏祭りの動画は、こちらからどうぞ。

8月には、盆踊り。そして9月1日は、見逃せない防火訓練の日です。この日は午前10時から3分間、一斉放水します。

木造家屋を守るため防火施設のチェックと訓練を行っています。

必ず防水対策をして臨んでください。

防火訓練の模様は、こちらの動画でお楽しみください。

秋〜冬

秋の紅葉のシーズンが終わると、家々は雪囲いを始めます。

そして冬。お正月飾りを施して、雪の中で年神様を迎えます。

2月の第2土曜、日曜には、「雪まつり」が行われます。雪化粧をした大内宿は昼間もキレイですが、雪まつりの夜はとても幻想的です。冬の花火は、空気が澄んでいてとっても美しいです。

雪まつりの様子は、こちらの動画でチェックしてくださいね。

大内宿でのグルメって何?~この2つはチェックすること!~

南会津の山の中にある大内宿の飲食店では、そば屋さんが多いですね。

多くのお店で「ねぎそば」が提供されています。

「ねぎそば」は、そばの器にネギが1本添えて出されますので、このネギを使ってそばを食べます。

このネギは、薬味代わりになるので、かじりながら食べましょう。

もちろん、食べづらかったらお箸もありますので、そちらでどうぞ。

この「ねぎそば」の由来は、少なくても2つあります。

1つ目は、この土地では古くからそばは祝いや献上品として使われてきた食べ物でした。そんな大切なものに対して「切る」というのは縁起が悪いと考え、ねぎを切らずに使ったのが始まりだったという説です。

「ところでみなさん、「そもそもそばって包丁で切っているから、縁起が悪いのでは?」とお思いではありませんか?」

そばが今の麺のスタイルである「そば切り」が普及したのは17世紀初頭であり、それまでは「そばがき」が主流でした。昔は「切る」という習慣は、そば自体に対しては無かったのですね。

もう1つの説として、生ねぎは蕎麦の味を出すためのものではなく、子孫繁栄を願ったものであり、婚礼等のめでたい席で宴たけなわとなった頃、料理番が「そば口上」をした後で客人にふるまったことが今の形になったというものもあります。

いずれにせよ、1本ネギは縁起物だったのです。この「ねぎそば」を「高遠そば」と呼ぶお店もありますが、「高遠そば」の由来については、次章でご案内しましょう。

もう1つ、もしみなさんが小腹が空いた程度の空腹だったら、「しんごろう」も食べ歩くのにいいかもしれません。

「しんごろう」とは、南会津地方の郷土料理で、ご飯を半つきにして握り、エゴマで作る甘味噌「じゅうねん味噌」を塗って串に刺して炭火で焼いたものです。

ちょっと五平餅に似ていますね。

この他にも、食べ歩きにちょうど良い食べ物が、多くのお店の店頭で売られています。

匂いにつられて、あれもこれも食べたくなるので、お腹が空いている時やダイエット中の人は要注意です。

ねぎそば?高遠そば? ~会津に残る「高遠そば」の由来と歴史~

前章でも触れたとおり、そばが麺の形態で食べられるようになったのは1600年代の初めです。それまでは、そばは粒のままお粥にしたり、そば粉にしてそばがきやそば焼き(そば粉を水で溶いて焼いたもの)などにして食べてきました。

麺の形態に加工したものは、「そばがき」と区別するため「そば切り」と呼ばれました。

そば切りの発祥は、長野県木曽郡大桑村の「定勝寺」や長野県塩尻市宗賀本山地区の「中山道本山宿」、山梨県甲州市大和町の「天目山栖雲寺」とも言われており、今のところ候補が3つほどあります。

大体、甲州、信州方面ですね。

このそば切りが会津に伝わったのは、信濃の国「高遠藩」出身の殿様である保科正之が、そば職人を連れて会津藩主としてやってきたことに始まるそうです。

このそば切りが高遠から伝えられたことにより、「高遠そば」と呼ぶようになりました。

「ねぎそば=高遠そば」ではありませんよ。

正確に言うと、保科正之は大根のおろし汁でそばを食べたておいしかったと喜んだことにより、その食べ方を指して「高遠そば」と呼んだそうです。

大内宿でも、鰹節をかけたそばを、大根おろしを入れただし汁につけて食べるお店があり、ここはネギ1本で食べるスタイルですが「高遠そば」と呼んでいます。

まだ、高遠そばが伝わった頃には「醤油」は無かったので、当時は味噌を利用していたそうですよ。

大内宿に行ったら要チェック! ~まだある見どころ、周辺の観光スポット~

塔のへつり

「塔のへつり」は、100万年にもわたる侵食と風化が生み出した奇岩が連なる景勝地で、大川の渓谷です。

この渓谷は、塔の形が立ち並ぶ断崖という意味から「塔のへつり」と名づけられました。

「へつり」とは地元の言葉で断崖のことです。

塔の形をした断崖まで吊り橋が架けられ、断崖内部の一部を見学することもできます。その特異な形から、1943年に国の天然記念物に指定されました。 

「塔のへつり」へは、大内宿の玄関口である湯野上温泉駅の隣の駅、塔のへつり駅から徒歩5分です。

観光時間は、30分~50分程度が平均的です。

湯野上温泉駅

「湯野上温泉駅」は、日本でも珍しい茅葺屋根の駅舎です。ココ以外では、豊後中村駅のみですから、日本でたった2つということです。大内宿の玄関口らしく、風情がありますね。

桜の名所としても有名で、撮影スポットとしても人気があります。

待合室には囲炉裏があり、火を焚いて茅葺き屋根に集まる虫を煙で追い払う役割を果たしています。無料でお茶も提供しているそうです。(囲炉裏の火は8:30-16:30まで焚かれています。)

駅売店では、名産品や地元のお菓子が売られているので、列車を待つ間についつい買ってしまいます。

駅舎に隣接して、「地蔵の湯」という足湯もあります。列車が来るまでの間、のんびり寛いで待っているのもいいですね。

駅の足湯だけでは満足できないみなさんには、「湯野上温泉」でどっぷり浸かって疲れを取るのもいいですよ。

湯野上温泉には、日帰り入浴ができるホテルや旅館がいくつかあります。「星乃井」さんや「にしきや」さん「清水屋旅館」さんなどの多くの施設で、500円程度で入浴が可能です。

各ホテルや旅館等で源泉を持っているので、源泉かけ流しのお湯が存分に楽しめます。

時間があったら、是非楽しんでください。

大内宿へのアクセスと宿泊情報

正直に言いましょう。大内宿へのアクセスは、決して良くはありません。

もちろん自動車が便利なのですが、高速道路を降りてから一般道の走行距離が比較的長く、慣れていないと辛いかもしれません。

また、観光シーズンの週末には駐車場待ちの渋滞で山道が車で埋め尽くされることもあります。駐車場は近年増設されましたが、連休の昼食を大内宿で食べようとする人が多いので、渋滞を避けるためには時間をずらすと良いでしょう。

大内宿まで自動車でのアクセス

  • [東北自動車道] 浦和I.Cから白川I.C経由国道289号線【約3時間20分】
  • [東北自動車道] 仙台宮城I.Cから須賀川I.C経由国道118号線【約3時間】
  • [磐越自動車道] 新潟中央I.Cから新鶴スマートI.C経由国道131号線【約3時間】

駐車場代は普通車400円です。

トップシーズンに運悪く訪れる場合には、遠回りになっても国道131号線を利用するとラクチンだと思いますよ。

なお、冬季の旅行では適切なタイヤを履いてお越しください。

大内宿まで鉄道でのアクセス

東京から行く場合には、東北新幹線を利用する方法と、東武鉄道を利用する方法があります。

  • [東北新幹線] 東京駅 →郡山→(常磐西線)会津若松→(会津鉄道)湯野上温泉【約3時間20分】
  • [東北新幹線] 仙台駅 →郡山→(常磐西線)会津若松→(会津鉄道)湯野上温泉【約3時間】
  • [東武鉄道特急リバティ] 浅草→会津田島→湯野上温泉【約4時間】

東武鉄道では、特急リバティが断然乗り継ぎがラクチンです。

このほかに「快速AIZUマウントエクスプレス」がありますが、これは快速なので特急料金がかかりません。下今市駅や鬼怒川温泉駅で「特急きぬ」などから適宜乗り換えて利用すると早いです。

なお、浅草から会津田島までを全て快速で行こうとすると、なかなか時間がかかるのでオススメしません。

湯野上温泉からのアクセスは、タクシーまたはバスを利用します。

タクシーは、片道2,000円程度です。帰りは時間を決めて予約しておくと便利です。「猿游号」という名の乗り合いバスは、4月1日~11月30日の毎日運行されます。料金は、1日1,000円です。

★お得な切符情報

会津若松駅からも、会津田島駅からも、湯野上温泉駅までは「会津線」を利用します。

その会津線と、湯野上温泉から大内宿までの間のバス「猿游号」がセットになった、「大内宿共通割引きっぷ」があります。

会津若松、会津田島方面からそれぞれ1,900円でご利用頂けます!しかも有効期間が2日間なので、湯野上温泉や大内宿で宿泊しても大丈夫です。

また、会津線ではトロッコ列車が運行されていますが、それにも310円のトロッコ整理券を購入すれば乗ることができます。

新幹線とバスの意外な組み合わせによるアクセス

みなさんが土日祝日に大内宿を訪れるのであれば、新幹線とバスの組み合わせで最速のアクセスが可能となります。

例えば、東京からであれば
[東北新幹線] 東京駅 →新白河→(バス)大内宿【約2時間40分】と、とても早いのです。

ただし、新白河と大内宿間は1日2往復しかないので、乗り継ぎに注意が必要です。必ずバスのダイヤをチェックしてくださいね。

高速バスによるアクセス

東京から会津若松までであれば、高速バスが平日であれば1日に13便もあります。

約4時間30分と時間は少しかかりますが、運賃は2,500円~4,800円とリーズナブルです。

仙台から会津若松までは1日に8便あり、乗車時間は2時間25分、運賃は仙台駅東口から2,900円です。

会津若松から湯野上温泉までは、会津鉄道で53分です。

このエリア内の宿泊情報

前項でご案内した「湯野上温泉」には、23件のホテル・旅館、民宿があります。

湯野上温泉は、湯野上温泉駅から塔のへつり駅の間に点在しています。「単純温泉(低張性弱アルカリ性高温泉)」ですので、お肌がツルツルになる美肌の湯です。

のんびり寛いで、さらにキレイになって帰りましょう。

また、大内宿内にも民宿があります。茅葺き屋根の昔ながらの日本家屋で、現世を忘れて山里の時間を過ごしてみるのも楽しそうですね。夜はきっと星がきれいです。夏には、蛍が飛んできれいだそうですよ。

次回、わたしが泊まろうと思ってチョイスしたのは、次のお宿です。ただし、どこも冬に訪れるのであれば、とっても寒いのは覚悟して行きましょうね。

湯野上温泉

一期一会のおもてなし 湯宿 にしきや TEL. 0241-68-2413

お食事とお風呂がとっても魅力的な民宿です。会津の郷土料理が評判です。源泉かけ流しのお風呂は、空いていれば貸切可。

1泊2食付き 一人9,500円~10,500円(税抜き)

会津湯野上温泉 こぼうしの湯 洗心亭     TEL. 0241-68-2266

こちらもお食事とお風呂がオススメの旅館です。プライベートな旅行にはとってもGoodな離れのお部屋は、もちろんお風呂付。

1泊2食付き 一人11,112円~46,297円(税抜き)

湯季の郷 紫泉 TEL. 0241-68-2508

1日1組限定で、専用お風呂を独り占めできるプランがあります(お風呂付のお部屋ではないです)。床暖房があったりウォシュレットがあったり、ホスピタリティの良さと和モダンな雰囲気が魅力的。

1泊2食付き 一人8,426円~11,600円(税抜き)

大内宿

蔵の民宿 本家扇屋 TEL. 0241-68-2945

会津の食材を生かしたお食事がイチオシ。「おばあちゃんちに来たみたい」というレビューが多いので、女将さんの笑顔に期待しちゃいます。

1泊2食付き 一人8,407円~8,871円(税抜き)
民宿  伊勢屋 TEL. 0241-68-2958

江戸時代から300年続く歴史ある民宿ですが、新米の女将さんがカフェや雑貨とあわせてお店を切り盛りしています。会津の郷土料理と囲炉裏で焼いた岩魚の塩焼きがいただけます。

1泊2食付き 一人8,333円~12,037円(税抜き)

まとめ

大内宿の歴史やグルメ、アクセスに宿泊情報と、いろいろなお話をしてきました。

最後に重要なポイントを整理しておきましょう。

  • 大内宿は、江戸時代に作られた会津西街道の宿場町で、当時の様子がそのまま保存された重要伝統的建造物群保存地区であり、小さなテーマパークのような町。
  • 豊かな自然の中にある大内宿では、その美しさや風情だけでな、季節ごとのベントも要チェック!
  • 大内宿の高遠そばは、由来が明確な歴史ある食べ物。ねぎそばのような楽しみ方にもチャレンジすると楽しみが増幅!
  • 周辺の観光スポットとしては、「塔のへつり」「湯野上温泉駅」「湯野上温泉」など、時間が許せばせっかくなので足をのばして!
  • 車移動の場合は、トップシーズンのお昼時は渋滞が心配。時間をずらしたり、国道131号線に迂回するなどの対策を。
  • 列車でのアクセスは、乗り継ぎを考えると東武鉄道の特急リバティは便利ですが、トータルの時間や、東武沿線までのアクセスによっては、新幹線などを利用したほうがベター。

先日行ったときは、東京からの往路はJRを利用して会津若松経由で、復路は東武鉄道の快速AIZUマウントエクスプレスを利用しました。

鉄道好きな人であれば、往路と復路で異なる交通機関でも楽しいのではないでしょうか。

また、巡回バス「猿遊号」を利用しましたが、トップシーズンだったので通常の道路を利用すると大渋滞に巻き込まれるということで、地元の人御用達の抜け道で大内宿まで難なく行けました。

このバスは、会津鉄道のダイヤにあわせてスケジュールされているので、帰りに足湯に浸かる時間が少ししかありませんでした。

「大忙しです!」

次回のわたしの旅は、雰囲気タップリの大内宿の民宿か湯野上温泉に宿泊して、大内宿と会津若松を観光したいと思っています。

できれば、防災の日に行って一斉放水を見るか、雪まつりに参加したいですね。

みなさんも、大内宿でタイムスリップしたような特別な時間を過ごしてみてください。