大人も子供も楽しめる 清流四万十川を遊びつくそう!

Iwama Sink Bridge
Photo by azumaya888 - Iwama Sink Bridge

あなたは川で遊んだことはありますか?

子どものころの私にとって、夏の一番の遊び場は、海でも街のプールでもなく、透き通った水の流れる一本の川でした。

高知県の西部を流れる四万十川。「最後の清流」とも呼ばれるこの川は、好奇心旺盛で無邪気だった子どものころの気持ちをいつでも思い出させてくれます。

今回はそんな四万十川の楽しみ方を紹介していきましょう!

船で楽しむ四万十川

まずは海や川の観光の定番、遊覧船をご紹介。

四万十川では、エリアごとに様々な遊覧船が運行しています。どれもそれぞれに魅力的なので、なかなか「これがオススメ!」とは言いにくいんですが(船好きの私としては、全部乗ってみてほしいくらいです!)、いくつか挙げてみるとこんな感じです。

舟母船(せんばせん)

観光遊覧船の中では下流を走るのがこの船です。この船のポイントは何といっても帆船であること!

この帆船は古くから四万十川の交通や流通に使われてきたもので、真っ白い大きな帆をかけた船が河口付近の緩やかな流れを進んで行く風情は、まさに他では味わえない特別なものです!

屋形船

四万十川には屋形船も運行しています。屋形船の醍醐味は、船内で食事をしながら川下りを楽しめることです。

実は、四万十川は水産資源の豊富さでも全国屈指の川なんです。日本で「漁師」というと、ほとんどの人が海で働く人を想像します。けれども四万十川では川の資源だけで生計を立てる川漁師が現存しています。これはとても珍しい事なんです。

アユやカワエビ、アオノリにウナギなど、四万十川自慢の幸を味わいながら四万十の流れを進んで行く時間は、これ以上ないほど贅沢な時間です!

もちろん食事なしでリーズナブルに楽しめるコースもありますよ。

屋形船を運行しているお店はいくつかありますが、お店によって運行するエリアが違っていたり、コースや食事の内容が違っていたりします。

夏の間はホタルを見に行く特別便を出しているお店や、川漁師さんの漁の実演が見られるお店、自分で漁の体験ができるコースを設定しているお店もあります。昔ながらの味のある船を使っているお店もあれば、車いすでも乗れる最新の船を導入しているお店もあります。

屋形船に乗るなら、旅行前にいくつかのお店をチェックして、自分の希望に合ったお店を見つけておくのがいいですよ!

下流から

川舟下り

四万十川の中流域で運行されているこちらの船は、川漁師さんが使うような小さな舟で四万十川を進んで行きます。この舟の魅力は何といっても水面が近いこと!最後の清流とも呼ばれる四万十川の美しさがひしひしと感じられます。

また、この舟から見える風景は、屋形船の走る下流とはまた違っています。四万十川の中流域は、四万十川の大きな特徴でもある大蛇行がいくつも重なっているエリアです。

これこそが四万十川という風景の中を、昔ながらの手漕ぎの舟でゆったりと進んで行く楽しみはひとしおです。

カヌー、カヤック

遊覧船も良いけど、もっともっと川を身近に感じたい。それならカヌーやカヤックに乗るのはいかがですか?

四万十川は、上流は直線的な急流、中流では大蛇行を繰り返し、下流は非常に小さな勾配でゆったりとした流れといった具合に、エリアによってさまざまに表情を変える川です。

小さなお子様や初めてカヌーやカヤックに乗るという初心者から、中級、上級の方まで楽しめるのが四万十川なんです。

こちらもいくつかのお店がガイドコースを設定しています。中にはキャンプをしながら数日かけて四万十川を下る本格的なコースを用意しているお店もありますし、これも気になる方は旅行前に要チェック!

足で楽しむ四万十川

もちろん、四万十川を楽しめるのは船ばかりではありません。

自転車で沈下橋巡り

四万十川
Photo by Kohei Fujii – 四万十川

四万十川の風景を語るのに欠かせないのが沈下橋(ちんかばし)です。

沈下橋というのは低い位置にかけられた欄干のない(または非常に低い欄干しかない)橋で、川が増水すると水の中に沈んでしまうところから、このように名づけられました。

欄干がないのは、水に沈んだどきに流木などが欄干に引っ掛かってしまうのを防ぐためです。比較的安価で速やかに設置できるので、かつては日本各地で見られた橋の姿ですが、老朽化や安全面の問題から、次第に撤去されていきました。

ですが、高知県はこの沈下橋を「生活文化遺産」として、沈下橋が残る風景の保存に取り組んできました。そして今では「沈下橋といえば高知の四万十川」と言われるほど、四万十川には欠かせない存在になっているんです

沈下橋には「佐田の沈下橋」や「岩間の沈下橋」など、有名どころがいくつかあります。アクセスがしやすかったり、ポスターやテレビで紹介されたりしたことで有名になったみたいです。

でも、四万十川にかかる沈下橋は当然ながらこれだけではありません。四万十川とその支流には、実に47もの沈下橋がかかっています。そしてそれぞれに橋の大きさや周りの風景と合わさった雰囲気が違ってくるので、ぜひ有名どころだけでなく、いくつかの橋を巡ってみてほしいです。

中には地元の子どもたちの飛び込みスポットになっているような橋もあるんですよ!いざ橋の上に立って川をのぞいてみるとなかなか足がすくんじゃうんですが、一度飛び込んだら病みつきになっちゃうぐらい楽しいので、これもぜひ挑戦してみてほしいです!

そして、沈下橋巡りをするなら私は断然自転車がオススメ

「なぜかって。それは行ってみれば分かります。沈下橋を目の前に見たら、きっと車から降りて渡ってみたくなりますから!」

でも幅の狭い沈下橋の上で車を停めるわけにはいきません。付近に駐車場がないことも多いです。それなら、小回りが利いて乗り降り自由な自転車の方が便利だというわけです。

それに、勾配の小さな四万十川のサイクリングは、高低差が少なくて走りやすく、とても爽快感があります。これは車で通り過ぎるだけでは絶対に味わえない楽しみです。

ガイドさんと走る本格コースや、いくつかのターミナルで乗り捨てできるレンタサイクル、数百円で楽しめるお手頃レンタサイクルなんかもあるので、ぜひ活用してください。

支流や上流、源流域へ

ゆったりした本流もいいですが、少し足を伸ばして上流、支流に入っていくと、ひとあじ違った楽しみがあります。苔むした岩場や滝など、日本の渓流らしい風景が広がっています。

また上流や支流に入ると、川の水は本流よりさらに一層透き通って冷たくなります。

いわゆる「四万十川らしい」風景というと、やはり本流の中流・下流域かとは思うんですが、私が遊んでいた四万十川は支流や源流域の方が多かったので、「実はもっともっと水のきれいなところがあるんだぞ!」自慢したくなるのが、こういった支流や上流、源流域なんです。

「川が好き!」「山が好き!」「自然が好き!」という方なら、ぜひ支流や上流、源流まで足をのばしてみてください!

舌で楽しむ四万十川

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アユ、カワエビ、ウナギ、ウグイ、コイ……。四万十川が資源の豊富なゆたかな川だということは上でも紹介しましたが、本当においしいものだらけなので、四万十川に遊びに来たなら忘れずにご飯を食べていってくださいね!

どの魚も美味しいですが、やはり何より美味しいのは獲れたてで食べること!

「子どもの頃、自分で捕まえたエビや伯父さんが釣ってきてくれたアユを川原で焼いて食べるのは、私にとって最高のおやつでした。今でもアユの塩焼きは大好物のひとつ。やっぱり四万十川で食べるのが最高です。」

川釣り体験のできる施設も(中には四万十川の漁師の伝統的な漁法を体験できるところも!)ありますので、チャレンジしてみるのもいかがですか?その価値は十分にあります。本っ当においしさが全然違うんですよ!

お店の体験コースではなく個人で釣りを楽しみたい場合は、漁業組合の発行する許可証(遊漁券)を購入する必要があります。管轄する組合はエリアによって変わるので、必ず現地の観光案内所や釣具店などで確認をしてください。

最後に

さて、色々と紹介をしてきましたが、私が言いたいことは、

とにかく川に入ってみて!

ということ。

夏の暑い日でもひんやりと冷たい水の感触、足を入れるとたくさんの魚がぶつかってきてくすぐったい感じ、川の流れる音や、虫やカエルや鳥が鳴く声、山の緑と水の青のコントラスト、どれもこれも自分で体験してみないと絶対に分からないことばかりです。

できれば思いっきり飛び込んで頭まで潜って泳いで欲しいところですが、ちょっとふくらはぎぐらいまで浸かってみるのでも十分。

とにかく、自分自身で川に触れてみてください!

四万十川は大人でも子どもでもお年寄りでも楽しめる、最高の遊び場なんです。

そしてもう一つ。

決して侮らないで、無理はしないでください!

四万十川は基本的にはとてもおだやかで遊びやすい川ですが、それでも相手は自然です。思いがけない危険はたくさんあります。

急に深くなっている淵や、浅くても足を撮られるほど流れの速いところもあります。遊んでいる下流が晴れていても、上流で雨が降れば一気に水かさが増えることもあります。

「実際私もヒヤリとしたことが何度かあります。雨による増水で、すんでのところでテントが水に飲まれるところだったということもあるし、持っていた浮き輪が流され、あっというまに見えなくなったなんてことも。流されたのが浮き輪だったから良かったものの、それが自分自身だったらと思うと……。」

遊べる場所はたくさんありますが、どこでも飛び込んでいい、泳いでいいというわけではありません。危険を避けるために、川遊びの前には必ず現地の人に安全情報を聞き、警告や忠告には必ず従ってください

大好きな川だからこそ、安全に楽しく遊んでもらいたいなと思います!

日本の夏はじりじりと太陽が照りつけて熱いことのこの上ないですが、四万十川に来て遊べば、そんな暑さなんて忘れてしまいます。

さあ、この夏はあなたも四万十川でびしょぬれになってきてください!