マニアなあなたにおすすめ!下北半島には温泉もダムも鉄道もあるぞ!

下北半島と言うと、どの観光ガイドサイトを見ても恐山と海辺の観光地を中心に紹介しています。

もちろん、メジャーな観光スポットは海辺に集中していますし、美味しい物は大抵は海の幸です。しかし、下北半島は山も深く、思いがけない観光スポットも多いことが特徴とも言えます。

今回は、特に温泉マニア、ダムマニア、鉄道マニアに向けた心躍る楽しい観光スポットを紹介します。

温泉ソムリエで鉄道好きで大規模建造物好きのわたしが、地元出身者のウチのパートナーさえ知らないスポットも含めて、みなさんをマニアの世界にお連れします。

きっと、その懐深さに驚くと思いますよ。

下北半島では驚きの秘湯が堪能できる~山奥の秘湯と海辺の湯治場がおすすめ~

下北半島は山が多く、平地が少ないのが特徴です。下北半島の山地は火山活動によってできたもので、火山活動が活発であれば温泉が湧き出ていることが想像できますよね。

今回は、山の中にある秘湯と、文学作品を産んだ海辺の温泉を紹介します。どちらも歴史ある温泉で、もっとメジャーになってもいいのになぁ、と思っています。

1.薬研温泉郷

「秘湯」という言葉を聞くと、温泉宿が1軒あってひっそりと温泉を楽しめる場所、というイメージをお持ちではないですか?

薬研温泉は、かつては数件の旅館やホテルがありましたが、その多くが廃業してしまい、今では民宿1軒、旅館1軒が静かに営業しています。その影響か、宿泊施設を利用するよりも、キャンプ場や日帰り温泉施設を利用する人の方が多いようです。

昔を知っている地元の人は、「すっかり廃れちゃってねぇ」と言っています。

薬研温泉郷は、宿泊施設がある薬研温泉と、日帰り温泉施設がある奥薬研温泉の2つに分かれています。

薬研温泉の開湯は1615年まで遡ります。大坂夏の陣で敗れた豊臣側の落武者が、この土地まで落ち延びてきた時に発見したと伝わっています。個人的には、なぜ大阪から遠く離れたこんな北の果てまで逃げてきたのか、若干の疑問を感じます。温泉名「薬研」の由来は、湯口の形が漢方薬を作る道具「薬研台」に似ているため、その名が付きました。

実は、奥薬研温泉の方が開湯は古いです。862年に恐山を開山した円仁(慈覚大師とも言い、最澄の弟子)が大けがをした時に河童に助けられ、連れてこられた温泉がこの地であったため、この湯を「かっぱの湯」と呼ぶようになったそうです。

わたしのオススメは、奥薬研温泉にある2つの日帰り露天風呂の「かっぱの湯」と「夫婦かっぱの湯」です。大畑川あるいは湯ノ股川に沿ったヒバの原生林の中にあり、野趣満点なんです。「かっぱの湯」はかつては混浴で、とてもオープンな露天風呂でしたが、あまりにもオープンすぎたため、法令違反となってしまったことにより改装されました。

今では時間別に男女入れ替わり制となり、屋根もできました。入浴料金は、うれしい無料です。

「夫婦かっぱの湯」は、夫婦でお風呂に入りに来た時に「かっぱの湯」では夫婦のどちらか一方しか入浴できない問題点を改善し、男湯、女湯がそれぞれある施設として作られました。奥薬研修景公園レストハウスに併設されています。入湯料はレストハウスの券売機で買います。

わたしは「夫婦かっぱの湯」の方に入りましたが、脱衣場と露天風呂しかない、シンプルな造りです。内湯も無く、ボディーソープやシャンプーなんかはありません。ただただ、お風呂を堪能できます。

露天風呂の向うは、スグに大畑川です。見る角度によっては、インフィニティ温泉っぽい感じもします。爽やかな風に当たると、いつまでも入っていられるお風呂です。

かっぱの湯施設情報

【料金】
無料
【男性利用時間】
・7:00~9:00
・11:00~13:00
・15:00~17:00
【女性利用時間】
・9:10~11:00
・13:10~15:00
※脱衣所のみ男女別

夫婦かっぱの湯施設情報

【料金】
230円
【営業時間】
・4月1日~4月30日 8:30~18:00
・5月1日~8月31日 8:30~19:00
・9月1日~11月10日 8:30~18:00
・11月11日~3月31日 10:00~17:00
【休業日】
・12月30日~1月3日
・1月~3月の毎週火曜日
【TEL】
0175-34-2008
【ホームページ】
奥薬研修景公園レストハウスHP

★温泉データ

泉熱/63.5℃
泉質/単純温泉(弱アルカリ性低張性高温泉)
効能/胃腸病、皮膚病、婦人病、など

☆アクセス

・JR下北駅より車で約1時間
・むつバスターミナルから大畑バスターミナルまでバスで約30分
・大畑バスターミナルからはタクシーで11分(大畑バスターミナルにはタクシーがいつも停まっています)


弱アルカリ性ですが、お湯の感触はサラリとしており、無色透明で匂いもありません。川風も気持ち良く、お湯の成分も優しいので、湯あたりしにくいかもしれません。

でも、お風呂は水分をとって、ちゃんと休憩しながら入ってくださいね。また、夏の間は虫が飛んでいることもありますので、気を付けてください。

ここでうれしいのは、レストハウスで湯上りのビールが飲めることです。お食事メニューで個人的なオススメは、イカスミラーメンです。麺にイカスミを練り込んであるそうですが、あまりイカスミ感は強くありません。ガツンとした風味が好きな人には、ちょっと物足りないかもしれません。

なお、キャンプ場をご利用の際には、最近は熊が出るので注意してくださいね。

2.下風呂温泉

津軽海峡に面した港町にあり、小説のモデルにもなった温泉街です。

下風呂温泉は1340年頃には刀傷や槍傷に効果がある湯治場として有名で、昔から多くの人が遠方より訪れてきました。

「下風呂」の語源は、アイヌ語のシュマ(岩)、フラ(臭い)に由来すると言われており、その名の通り温泉街を歩くと硫黄の香りがしてきます。

ちなみに、アイヌは北海道を中心に居住していた先住民で、独自の文化や言語を持っていました。彼らは北海道だけでなく、北は樺太、東は千島列島全域、南は本州北端、つまり青森にも居住していました。そのため、アイヌ語に由来する地名は、下北半島にも点在しています。「恐山」も「オショルコツ」が変化したものという説もあります。

さて、ここ下風呂温泉は文豪・井上靖が1958年3月に訪れ、津軽海峡が見渡せる長谷旅館旅館で、小説「海峡」の終局を執筆したことで知られています。なお、長谷川旅館は今では廃業していますが、2020年夏に温泉施設の一部として井上靖が執筆した部屋を再現してリニューアルオープンする予定です。

井上靖は、小説の中でこのように記しました。

「ああ、湯が滲みて来る。本州の、北の果ての海っぱたで、雪降り積る温泉旅館の浴槽に沈んで、俺はいま硫黄の匂いを嗅いでいる。」

もう下風呂温泉の空気感、そのままです。この小説の中で、下風呂温泉は「漁り火の見える温泉」として紹介されています。

下風呂温泉には源泉として「大湯」と「新湯」の2つがよく知られていますが、実は海辺から湧いている源泉「浜湯」もあり、3箇所の源泉で3種類の泉質のお湯に入ることができます。

では、源泉別にご紹介しましょう。

①大湯系

泉質   :酸性・含硫酸-ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉(硫化水素型)
源泉の温度:66℃(季節や天候によって異なる)
効能   :切り傷、やけど、慢性皮膚病、虚弱児童、慢性婦人病、糖尿病、動脈硬化症、
筋肉や関節などの痛み、消化器疾患
宿泊施設 :まるほん旅館  1泊2食付き 8,790円~  TEL. 0175-36-2330
公式HP  http://maruhonryokan.com/
おおぎや旅館  1泊2食付き 8,000円~  TEL. 0175-36-2440
鮟鱇コース、大間マグロコースあり。事前問合せ要。

②新湯系

泉質   :含硫黄-ナトリウム-塩化物泉(硫化水素型)
源泉の温度:95℃(季節や天候によって異なる)
効能   :切り傷、やけど、慢性皮膚病、虚弱児童、慢性婦人病、糖尿病、動脈硬化症、
筋肉や関節などの痛み、消化器疾患
宿泊施設 :さが旅館  1泊2食付き 9,870円~  TEL. 0175-36-2214
冬季限定で風間浦鮟鱇フルコースプラン 15,270円が楽しめる
坪田旅館  1泊2食付き 8,000円~  TEL. 0175-36-2456
活アワビプラン 12,000円が宿のイチオシ
かどや旅館  1泊2食付き 8,000円~  TEL. 0175-36-2520
特に夕食が評判のお宿
佐々木旅館  1泊2食付き 8,790円~  TEL. 0175-36-2525
ペット同伴可(ただし事前相談)青森ヒバの浴室が癒しの香り。

③浜湯系(2本)

泉質海辺地1号:ホウ酸-食塩硫化水素臭(緊張低張性高温泉)
海辺地2号:ホウ酸-含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物泉(硫化水素型)
(低張性弱酸性高温泉)
効能     :切り傷、やけど、慢性皮膚病、虚弱児童、慢性婦人病、糖尿病、
動脈硬化症、高血圧症
宿泊施設   :ホテルニュー下風呂 1泊2食付き 7,500円~ TEL. 0175-36-2021
公式HP  http://www.simofuro.co.jp/
つる屋さつき荘  1泊2食付き 8,500円~ TEL. 0175-36-2625
和モダンの宿。木の板を利用した浴室は素朴で秘湯感アリ。


温泉ソムリエ的なコメントをするならば、下風呂温泉は血行を良くする成分が多く、身体が温まりやすく、湯冷めがしづらいのが特徴です。硫黄が多く含まれた新湯系と浜湯系のお湯は、皮膚疾患の中でもアトピー性皮膚炎や慢性湿疹などに効き目があります。

温度の高い温泉に入る時には、湯船に2~3分入ったら出て休憩、を繰り返します。そうすることで、のぼせを防止しながら温泉の効果を享受できますよ。

スケジュール上、ゆっくり宿泊ができないのであれば、サクっと立ち寄れる公衆浴場「大湯」と「新湯」がおすすめです。

この2つのお風呂は、150mも離れていないのにもかかわらず、泉質も温度も違います。

「大湯」は、歴史ある下風呂温泉の中でも最も古い温泉施設です。下北半島のヒバで作られています。「熱い」と「普通」の2つの湯船はがあり、それぞれ白濁した湯が注がれています。でも、日によって少し透明にも見えます。お湯は全体的に熱めです。

一方「新湯」の方は、源泉が「大湯」よりも熱いだけあって、熱いお湯が入った大きめの湯船がドドーンと1つあります。こちらのお湯も白濁していますが、日によって透明になったりグレーっぽく見えたりします。

地元の人は、それぞれ贔屓にしているお風呂があり、2派に分かれているのだそうです。

どちらも正直、めちゃくちゃ熱いので覚悟して行ってください。

わたしは「普通」の湯船がある大湯に行きましたが、それでも結構熱かったですよ。でも寒い冬にからだを温めるには、手っ取り早くていいのかもしれません。

大湯

【営業時間】
・4月~10月 7:00~20:30
・11月~3月 8:00~20:30
【入浴料】
350円
【定休日】
月曜日
【TEL】
0175-36-2824

新湯

【営業時間】
4月~10月 7:00~20:30
11月~3月 8:00~20:30
【入浴料】
350円
【定休日】
火曜日
【TEL】
0175-36-2860

☆アクセス

・JR下北駅より車で約50分
・JR下北駅より「下風呂」まで バスで約70分

本州最北のダムもあれば、日本最古のアーチ式ダムもある。ダム好き集まれ!

1.川内ダム

川内ダムは、本州最北のダムとして、ダム好きの中では有名です。

しかも2014年7月から、ダムカードが配布されるようになりました。配布場所は、隣接する川内ダム管理所と1kmほど上流にある「道の駅かわうち湖」です。行ったら忘れずにGETしてください。

1993年に完成したこのダムは、型式は重力式コンクリートであり、洪水調節と河川環境保全等のための河川流量の確保を目的とした、いわゆる多目的ダムです。

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ダム湖である「かわうち湖」はダム湖百選にも選ばれており、湖畔にある「道の駅かわうち湖」はドライブ中の休憩には絶好の場所です。もっとも、他には何もないので、ここでひとやすみするしかないのです。

わたしは残念ながら先を急いでいてスルーしてしまいましたが、ここには有名な食べ物があります。

ダムと言えば、「ダムカレー」がつきものですね。(ダムマニアではない人や海外のみなさんはご存知ないと思いますが、日本のダムの近くにある街では、ダムの形を模して作られた「ダムカレー」を提供するお店が多いのです。カレーを水に、ご飯を堰堤に見立てるケースが多くみられます。)

「道の駅かわうち湖」では、1日10食限定でダムカレーが食べられます。陸奥湾名産のホタテをフライにして、ダム湖に添えられています。お昼ご飯に困ったら、ダムカレーを試してみてはどうでしょう。

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川内ダムのダム湖には噴水が設置されており、キラキラと虹が見えることがありますよ。

☆アクセス

・JR大湊駅より車で約1時間

2.水源地公園

水源地公園は、むつ市の中でも桜がきれいで市民のお花見スポットとして賑わいます。

この水源地公園の中に、海軍専用水道施設として作られた「旧海軍大湊要港部水源地堰堤」があります。

1910年に旧海軍大湊要港部の水道施設として建設され、第二次世界大戦後は大湊町(現:むつ市)の水道施設として引き継がれて1976年まで使用された後、1978年からは公園として現在のように市民の憩いの場となっています。

ここの堰堤は、日本で初めて作られた重力アーチ式石造堰堤と言われており、背後にある釜臥山から切り出された安山岩を利用して作られました。有効貯水量は5,000tと、ダムとしてはとても小規模な施設です。

アーチ式ダムとは、アーチの持つ力学的な特性によって、水圧を両岸の岩盤に伝えることにより水圧を支える構造のダムです。

水源地堰堤は、建設当時の設計書等は存在せず、本当にアーチ式ダムの設計概念に基づく施設かどうかは不明なのだそうです。それでも、見た目はとても美しいので、動画でぼーっと眺めてください。

なお、桜を見に行くのであれば、4月下旬から5月上旬が見頃ですよ。

☆アクセス

・JR大湊駅より車で約10分
・JR大湊駅より「宇田」までバスで約10分 バス停より徒歩10分

鉄道好きなら行く価値アリ!~廃線と計画線の跡を見に行こう~

下北半島で唯一の鉄道であるJR大湊線は、全国のJRの中でも2か所しか存在しない「自社の路線と一切接続しない完全な飛び地路線」のひとつです。(他はJR西日本の七尾線です。)

しかし、かつてはこのJR大湊線の「下北駅」からさらに北へ延びる路線があり、その路線の先にも計画され、途中まで作られた鉄道がありました。

また他にも、山で伐採したヒバの木を運搬するための施設もありました。

1.大畑線

大畑線は、JR大湊線下北駅から大畑駅を結ぶ路線で、2001年3月31日に廃止されました。

1939年12月6日に大畑線下北 – 大畑間が開業しましたが、1985年7月1日に 国鉄大畑線が廃止され、下北交通に転換しました。不採算路線であったため、一時はバス路線に転換されそうになりましたが、地元の下北バスが運営を引き継いだという経緯がありました。

しかし、運営が苦しい状態が続き、2001年までは地元の足として頑張ってきましたが、車両や施設の老朽化もあり、結局は廃止されてしまいました。

現在、その大畑線を見られるのは旧大畑駅です。

Photo by Catherine in August 16, 2015

現在では下北交通のバスターミナルとタクシー乗り場として利用されていますが、駅舎は当時のまま利用されています。

この駅舎を抜ければ、昔と変わらない大畑駅のホームが残されています。

Photo by Catherine in August 16, 2015

ここは、大畑駅であり、元の大畑線の車庫でもあります。

現在、この施設では4月から10月までの毎月第3日曜日に運転会が行われています。

運営は「大畑線キハ85動態保存会」で行っており、旧国鉄のキハ22の「動態保存」を目的としています。

動態保存とは、機械を動く状態で保存することで、多くの博物館などで見学できる止まった機械とは異なる保存方法です。

また「キハ」とは気動車のことであり、ディーゼルエンジンなどの熱機関を動力にして自走する車両のことです。「キハ22」とは寒冷地仕様の古い機動車で、1958年頃から製造されていたものです。(運営する「大畑線キハ85動態保存会」の「キハ85」とは、旧国鉄から下北交通に譲渡された年が1985年だったことが命名の由来です。実際に「キハ85」の車両番号で営業していました。)

このような古い車両が、現在は他とは一切繋がっていない線路の上を走らせて保存していることは、もう奇跡か、あるいは道楽としか言いようがありませんが、素晴らしいことです。

この運転会には、全国から鉄道好きの人達が訪れます。希望すれば、休憩時間に車庫の中を見学することができます。車庫の中には、廃線当時の面影がそのまま残っています。

Photo by Catherine in August 16, 2015

運賃は1日中乗り放題で200円です。(1日会員)

車両は、今ではなかなか味わうことができない天井の扇風機や木の床など、独特の匂いがしますし、音も振動も古くて懐かしい感じがするので、五感で楽しんでください。

☆アクセス

・JR下北駅から車で約30分
・JR下北駅から大畑バスターミナルまで バスで約45分

★運転会の案内

大畑線キハ85動態保存会


では、走るキハ22をご覧ください。

大畑線の終点は、ここ「大畑駅」ですが、途中の「田名部駅」は現在のむつバスターミナルの近くにありました。今でも、その痕跡が残っています。ほら、ホームの跡がわかるでしょ?

Photo by Catherine in August 16, 2015

2.大間線

大間線は、前項の大畑線の終点である「大畑駅」から、マグロで有名な大間町の「大間駅」までを結ぶ計画であった「未成線」です。

「未成線」とは、鉄道路線で未だ完成していない路線のことを指しますが、鉄道ファンの間ではもっぱら建設途中で工事が打ち切られた路線のことを呼んでいます。

大間線は、大畑から大間を目指して建設していましたが、途中の下風呂温泉の少し先まで工事が進んだ頃に、工事が中断されました。この建設途中の建築物は、現在は観光資源として一部が利用されており、地元では幻の大間鉄道として知られています。

大間線の計画は、1922年まで遡ります。この年に施行された鉄道敷設法には、青森県田名部より大畑を経て大間に至る鉄道について記載されており、建設理由は下北半島の開発と対北海道連絡線でした。つまり、北海道まで(連絡船を使ってでも)つなげようと考えられていました。

この計画により開通まで至ったのが大畑線であり、それより先は第二次世界大戦中の物資不足により工事が中断されました。

そして、1943年に工事を中断してから一度も再開されることなく、現在に至っています。

わたしが初めてこの路線に気付いたのは、下風呂温泉に向かう途中に「いかにも線路がありそうな橋脚」を見たからです。

下風呂温泉には、下風呂駅予定地付近の連続アーチ橋をメモリアルロードとして整備し、橋中央には駅待合室をイメージして作られた足湯が設置されています。

足湯に入りながら、津軽海峡や北海道恵山岬を望むことができます。夜には、イカ釣り漁船の漁り火がキラキラと輝き、とても美しいです。

なお、足湯は冬季利用不可となります。(こんな高台の吹き抜けの施設に冬に来ても、津軽海峡を吹き抜ける北風で凍えてしまいますね。)

☆アクセス

・JR下北駅より車で約50分
・JR下北駅より「下風呂」まで バスで約70分

3.大畑森林鉄道(森林軌道)

下北半島には日本三大美林のひとつ、青森ヒバの原生林が広がっていますが、大規模なヒバの生産も行っています。

薬研温泉の周辺にはヒバの実験林などもあり、その中にかつて使われていたトロッコ用の線路が残っています。

Photo by tsuda Yagen

薬研渓谷は川の両側に遊歩道がありますが、夏は虫がいるので、歩き始める前には念のために虫よけをスプレーした方がベターです。

また、熊も出没するので、鈴などの音が鳴るものを身につけていると安全ですよ。

Photo by tsuda Yagen

熊よりも、下北半島では頻繁にニホンカモシカが出没します。わたしの義父も、庭仕事をしていた時にちょっとした気配を感じて振り返ると、ニホンカモシカが結構な至近距離にいたと、昨年帰省した時に言っていました。

薬研渓谷にもニホンカモシカは出没するので、運が良いと出会えるかもしれません。

☆アクセス

・JR下北駅より車で約1時間
・むつバスターミナルから大畑バスターミナルまでバスで約30分、大畑バスターミナルからはタクシーで11分

下北半島へのアクセス

詳細はここをクリックしてください

1.下北半島までのアクセス

下北半島に行くのであれば、車や鉄道のほかにも飛行機と船という選択肢があります。

飛行機であれば、三沢空港か青森空港を目指しましょう。空港から先の交通手段は、レンタカーが便利です。バスと鉄道を利用するなら、大湊線で下北駅を目指してください。

青森への飛行機代は、なかなかディスカウントされません。東京からであれば飛行機を利用せずに、迷わず新幹線を利用した方が安くて時間がほぼ同じです。

移動費用を安く済ませたいなら、高速バスがおすすめです。

むつまで行くなら、東京(新宿)から木・金・土曜日運行で片道12,000円(時期によってはディスカウント料金で8,200円から)です。

3列独立シートなので、居住性は良いと思います。寝ている間に目的地に着けるので、交通費を節約して観光や宿泊にお金を使う旅には最適かもしれませんね。下北半島内では、「横浜町道の駅」「下北駅」「むつ市役所」に停車しますが、到着後のバスでのアクセスやレンタカーの借りやすさを考えると、下北駅で下車するのが一番良いと思います。

船でのアクセスは、

1. 函館から大間まで約1時間30分、1日2便
2. 青森から脇野沢まで約55分、佐井までは約2時間25分、どちらも1日2便
3. 蟹田から脇野沢まで約60分、1日2~3便

があります。

冬の間は海が荒れることが多いので、特に津軽海峡を渡る①のコースは、船酔いする人には強力なダメージを与える可能性があります。

でも、函館と下北半島を両方楽しめる利点を考えると、天候の良い日や春~秋であれば①のコースはオススメです。

JR東日本公式HP : http://www.jreast.co.jp/
国際興業バスHP : http://5931bus.com/
日本航空HP : http://www.jal.co.jp/
津軽海峡フェリーHP : http://www.tsugarukaikyo.co.jp/
シィライン株式会社HP : http://www.sii-line.co.jp/
むつ湾フェリーHP : http://www.mutsuwan-ferry.jp/

2.下北半島内のアクセス

下北半島内の各観光スポットは、かなり距離が離れています。そして、バスの本数も少ないことから、レンタカーが一番便利です。

大手のレンタカーであれば、大湊線下北駅の近くにトヨタレンタカーが、6分程歩いたところにタイムズレンタカーがあります。

また、函館から大間までフェリーを利用する場合に使えそうな大間埠頭に、オリックスレンタカーがあります。

でも、飛行機をご利用の場合、または東北新幹線で「七戸十和田」または「新青森」まで行く場合は、空港や新幹線を下車した駅でレンタカーを借りた方が便利だと思います。レンタカー屋さんも揃っていて好きな車が借りやすいです。むつ市内まで、約1時間30分で到着です。

路線バスなら、「下北駅」または「むつバスターミナル」を中心に、下北交通、あるいはJRバスを利用します。

「むつバスターミナル」は、田名部という街の中心地にあり、下北駅からはバスで10分程度です。鉄道の駅がメインターミナルではないので、注意が必要です。

どこに行くにしてもバスの便数はとても少ないので、綿密にスケジュールを立てて挑みましょう。

路線バスではなく、ツアーバスを利用して効率よく観光地を回る方法もあります。

その名も「ぐるりんしもきた号」。

コースは、次のとおりです。

大湊駅→むつ市内→大間崎→佐井(仏ヶ浦)→恐山→下北駅→尻屋崎→むつ市内→大湊駅

この中から、自分の行きたい部分だけを選択することもできます。(例:大間崎と佐井(仏ヶ浦)、恐山だけに行きたい場合には、下北駅で下車可)

料金は大人で4,300~9,600円です。

仏ヶ浦遊覧船や昼食(お弁当)、恐山の入山料も含まれています。自分のペースで観光できないのは難点ですが、とりあえず一周してみようかな、と考えている方には便利だと思います。

運行日が春から秋までの土日が中心なので、詳細や予約は「しもきたTABIあしすと」までお問い合わせください。

しもきたTABIあしすとHP : http://gururin-shimokita.com/

まとめ

今回は、強いこだわりを持った人向けに下北半島の観光スポットを案内してきました。かなりキワモノ的なスポットもありましたが、興味を持っていただけたらうれしいです。

では、ここでまとめてみましょう。

  • 下北半島には、王道の温泉だけではなく、ダムや鉄道などの中でもレアな観光スポットがある。
  • 秘湯に行くなら、野趣あふれる「薬研温泉」と文豪の愛した「下風呂温泉」は特におすすめ。
  • 本州最北端の川内ダムと、日本最古のアーチ式ダムの水源地公園は、ダム好きにはたまらないスポット。
  • 廃線「大畑線」は、今でも月に1回は乗車することができる楽しいスポット。計画線「大間線」や廃線「薬研森林鉄道」などの古い鉄道施設も散在する。

今回はご紹介できませんでしたが、青森には有名なお祭り「ねぶた祭り」があります。実はねぶた祭りは、青森県内の各地で催されています。それぞれ地域の特性があり、「弘前のねぷた」は「ねぷた」と呼ばれる山車の絵柄や掛け声も「青森ねぶた」とは異なり、「五所川原立佞武多」などは背が高い山車です。

下北半島にもねぶた祭りがあり、大湊ねぶたが有名です。規模は青森ねぶたには及びませんが、小ぶりなねぶたをお囃子に合わせて子供が引く姿はかわいらしいです。また川内町のねぶたは、結構飛び跳ねて激しいというウワサなので、この夏には是非見に行ってみたいと思っています。

大湊ねぶたは、毎年8月の第一金曜日から日曜日まで開催されます。(ねぶた祭りは夜のお祭りなので、宿泊必須です。)

また、夏祭りと言えば田名部祭りも有名です。町内毎の大きな山車を引きまわす様子は西日本から松前船で伝えられた文化で、特に京都八坂神社の祇園祭りが近江商人によって伝えられたものだと言われています。(西日本は山車と引きまわすお祭りが多く、東日本は神輿をかつぐお祭りが多いです。)

こちらのお祭りは、夜は迫力があって山車もライティングされてキレイですが、お昼に見ても整然と進む山車の装飾を近くで見る事ができるので、どちらもおすすめです。

毎年8月18日から20日にかけて行われますが、18日には「おしまこ流し踊り」があり、大勢の下北美人が盆踊りを踊りながら通りを練り歩く姿を見ることができます。

ちょうどお盆休みが終わった頃に開催されますが、地元出身の人は田名部祭りの日にあわせて帰省する人もいるくらい、地元で愛されるお祭りです。わたしも何度か見に行きましたが、人出の多さと迫力に、気持ちが高ぶってしまいます。

みなさんも、北国のお祭りを見に行ってみませんか。本当にオススメです。

わたしの今年の夏休みは、8月の第3日曜日が18日なので、大畑線の運転会に参加しながら田名部祭りを楽しみたいと思っています。

みなさんも、一緒にどうですか?