屋久島の白谷雲水峡はジブリの聖地!

Photo by Hajime NAKANO - Shiratani Unsuikyo(Yakushima) 白谷雲水峡(屋久島)

「すごーい!木の根が生きているみたい!」

ここは鹿児島県屋久島にある白谷雲水峡の森の中。

あの宮崎駿監督が「もののけ姫」を製作した時に何度も訪れ、この森林からイメージを得たという作品の原点とも言える場所です。

確かに、森の中に一歩足を踏み入れると濃い緑に包まれて、周りから今にもおなじみのキャラクターが飛び出してきそう。木からシュルシュルっと腕が伸びて来て、ぐっ!と掴まれそうです。

こんな白谷雲水峡を満喫するにはトレッキングが一番!

今回はトレッキング初心者さんも安心な、7つのオススメスポットをご紹介します。

屋久島ってどんなところ?

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Photo by snotch – DSC5479.jpg

「そもそも屋久島って何処にあるの?」

そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。

屋久島は鹿児島県に属する島で種子島と沖永良部島に挟まれた位置にあり、周囲130.44㎞、淡路島より少し小さい、山手線の内側7個分の円に近い五角形の島です。島の位置は温帯から亜熱帯にかかる位置にありますが、ほぼ全域が山地で1000~1900m級の山々が連なり「洋上アルプス」とも呼ばれています。

島の中央には宮之浦岳(標高1.930m)が聳えていますが、日本百名山にも数えられる九州の最高峰です。この山々に海からの湿った風がぶつかるため、島では「月のうち35日雨が降る」と言われる程、大量の雨が降ります。

年間降水量は平地で平均4500ミリ、これは東京の約3倍近い量です。さらに山頂付近の平均気温は6~7度なので、冬は日本最南端の積雪が観測されます。

このような地理的気候条件から屋久島は流水や湧水が豊富で、特に宮之浦岳流水は日本名水百選にも選ばれています。

これぞ日本列島の縮図!

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Photo by Koichiro Ohba – 20110921-DSC_6321

植生も亜熱帯から亜寒帯までと幅広く、海岸近くはハイビスカスやガジュマルなど南国の植物ですが、山の中腹からは縄文杉を代表とするような温帯琳となり、頂上近くは高山植物に変化してゆきます。

このように島の90%が森林で豊かな自然を残す屋久島は、1993年に姫路城や法隆寺、白神山地などと共に日本初のユネスコ世界遺産として登録されました。

最近は国外からの観光客も増えていますが、海岸近くの温暖な気候と豊かな自然に魅せられて、屋久島にIターン移住をする方も多いようです。

白谷雲水峡渓谷はトレッキングの入門にピッタリ!

ShirataniUnsui-kyo, 白谷雲水峡, Yakushima
Photo by Akihito Fujii – ShirataniUnsui-kyo, 白谷雲水峡, Yakushima

白谷雲水峡は、屋久島の屋久島北部を流れる宮之浦川の支流、白谷川の渓谷です。

古くから景勝地として知られており、楠川歩道は江戸時代に設けられた歩道で、現在でも散策コースの一つとして活用されています。この入り口から出発するいくつかのコースが整備されており、気軽なハイキングレベルから本格的トレッキングコースまで、自分の体力と目的に合わせて選ぶことができます。

入口から一番奥の太鼓岩までは、距離としてはおよそ5㎞ですが標高差は450mもあります。

きちんとした装備をして普通の体力で往復5時間。休憩や見学を入れるともっと時間がかかります。

ここでは無理せず体力の余裕が残る範囲でコースを選ぶのが、楽しめるコツです!

まるで生きているみたい!原生林の不思議!

ShirataniUnsui-kyo, 白谷雲水峡, Yakushima
Photo by Akihito Fujii – ShirataniUnsui-kyo, 白谷雲水峡, Yakushima

イノシシ?それとも竜?

とても天然自然の樹木とは思えません。

森の中に一歩入ると、うっそうと茂る木々の間から木漏れ日がさして一気に森の空気に包まれます。あちこちに見られる苔むした木の切り株は、江戸時代に伐採された跡だそうです。

中にはこの写真のような動物や人の顔に見えるものもあり、トレッキング中の目を楽しませてくれます。

さらに屋久島と言えば「屋久杉」が有名ですが、この白谷雲水峡でもたくさんの杉の巨木を眼にする事が出来ます。

その中の一つが弥生杉です。

弥生杉
Photo by ajari – 弥生杉

なんて大きい!圧巻の迫力です。

弥生杉は遊歩道のすぐ側に聳えていますので、上を見上げると首が痛くなるかもしれません。

樹齢は3千年で高さは26.1m、幹回りは8.1mの堂々たる巨木です。

渓谷の入り口から弥生杉までは比較的近いので、初心者にもおすすめのコースです。

他にも奉行杉や二代大杉など、渓谷内にはたくさんの巨木があるので、屋久杉をメインで見たい方は事前に場所をチェックしておくと効率的に回れますよ。

吊り橋を越えて「もののけの森」へ

Shiratani Unsuikyo(Yakushima) 白谷雲水峡(屋久島)
Photo by Hajime NAKANO – Shiratani Unsuikyo(Yakushima) 白谷雲水峡(屋久島)

弥生大杉からさらに先へ進むと、さつき吊り橋にさしかかります。

この橋を越えていくと、うっそうと茂る照葉樹の原生林に入ってゆきます。

一面に張った木の根に足を取られないようにしながら一生懸命歩いていると、ふと、自分が何処にいるのかわからなくなりそうな幻想的な世界が広がります。

Shiratani Unsuikyo(Yakushima) 白谷雲水峡(屋久島)
Photo by Hajime NAKANO – Shiratani Unsuikyo(Yakushima) 白谷雲水峡(屋久島)

どうですか?何だか海の中のようにも見えますよね。

特に雨が降った後は、小さな水滴がキラキラして水煙が立ち込め、とても幻想的になります。

時々足を止めて思いっきり深呼吸してみて!

都会では絶対に味わえない体験です。森林浴を120%満喫して下さい。

あ、目があっちゃった!可愛い森の妖精たち

ShirataniUnsui-kyo, 白谷雲水峡, Yakushima
Photo by Akihito Fujii – ShirataniUnsui-kyo, 白谷雲水峡, Yakushima

「お猿さんだ!」

これはヤクザルという日本猿の一種です。

この他にも普通の日本シカより小さなヤクシカなど「森の妖精」に出会える事が、ここでのトレッキングではよくあります。

真ん丸な目で見つめられるとついつい餌をあげたくなってしまいますが、自然の体系を守るため決して与えないでくださいね。驚かさないようにそっとシャッターを切るだけにしましょう。

また屋久島は、奄美大島など他の南西諸島と違って毒蛇のハブは生息していないので、安心して山道を歩くことが出来ますよ。

太鼓岩でのお昼は最高!

Yakushima
Photo by Takeshi Kuboki – Yakushima

さらに頑張って奥深く分け入って登って行くと、突然目の前が開けて太鼓岩という巨大な一枚岩の上に出ます。

そこからは、屋久杉の森が一面に広がる壮大な景色を眺めることが出来ます。

長時間の山歩きの後、達成感と共にここで食べるお弁当は格別なので、早起きして調達しておくと良いですね。

初心者でも安心してトレッキングを楽しむためには

シューズ
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屋久島の中でも白谷雲水峡は温暖多雨地域ですから、傘やパーカーなどは必携です。

100円均一などにあるビニールカッパは止めましょう。通気性が悪いので、汗をかいてかえって体を冷やしてしまう原因となります。

靴もスニーカーではなく、しっかり足元を固めてくれるトレッキングシューズが最適です。

服装は季節に合わせてTシャツや山登り専用の吸湿速乾性のシャツと、その上に羽織るパーカーを持って行きましょう。ズボンもできればトレッキング用の軽いものがベスト!ジーパンは湿度が高い屋久島では動きにくいので、あまりオススメできません。

また森の中は湿度が高く汗が乾かずに体が冷えてしまうことがあります。念のための着替えは一式持って行きましょう。水分補給のための水筒や汗拭きタオル、日除けの帽子なども必要です。

さらに、リュックに雨除けカバーをかければ湿度対策は万全です。

「でも初心者なのに、初めからこんなに沢山アウトドア用品を揃えなきゃいけないの?

それに一人で森に行くのはちょっと不安…。」

大丈夫!屋久島にはアウトドア用品のレンタルをしてくれるお店があります。

例えば屋久島パーソナルエコツアーさんでは日帰り用のセットのレンタルをすれば、5300円で必要なものが一式(レインウエア トレッキングシューズ 約20リットルザック ザックカバー ストック)揃いますよ。

さらに沢山のガイド付きツアーもあり、自分の予定と体力に合わせて選ぶことが出来ます。

詳しくはこちらをご覧ください。

屋久島観光協会公式ウェブサイト

まとめ

白谷雲水峡でトレッキングに挑戦し「もののけ姫の世界」を満喫するには事前のリサーチと準備が大切です。屋久島の公式ホームページやガイドブックなどを参考にして、無理のない旅の計画をたてて下さい。

せっかく遠い島まで行くのですから、最高の思い出が残る旅にしたいですよね。

おまけ

最後にこれはおまけですが、屋久島には海中から湧き出る温泉があります。

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Photo by Toshimasa TANABE – P1010258

時間に余裕があれば、雄大な海を眺めながら旅の疲れを癒してください。

お風呂上りは、島特産の美味しい柑橘、タンカンジュースがお勧めです!