東京の浅草から特急電車で約2時間、観光地として知られた日光に到着します。
中でも一番の人気スポットが、世界文化遺産にも認定されている「日光東照宮」です。江戸幕府を開いた将軍、徳川家康が眠る墓所であり、豪華絢爛な建造物と、自然と一体化した神秘的な空間が出迎えてくれます。
古くから、パワースポットとして多くの人が参拝に訪れていましたが、最近では海外からの観光客も増えています。京都よりも、日光東照宮のほうが好き!という人も多いようです。
その魅力はどこにあるのか、400年前の日本にタイムスリップできる「日光東照宮」をご紹介します。
Contents
建築・美術・工芸の粋を集めた「日光東照宮」、7つのおすすめスポット
徳川家康という人物は、日本の歴史上、大変重要な役割を果たしました。長く続いた戦国時代を終わらせ、江戸(現在の東京)に幕府を開きました。その後、およそ260年間も平和な時代が続いたのです。
その徳川家康が眠る「日光東照宮」。今から400年ほど前に建立されましたが、最高権力者の名前にふさわしく、当時の建築・美術・工芸、それぞれの分野で最高レベルの職人が集められました。
そのため、見どころもたくさんありますが、“国宝”や“重要文化財”にも指定されている、とくにおすすめのスポットを7つご紹介します。
自然の地形を生かして建てられた日光東照宮は、参道を歩いていると、山に向かって進んでいくような感覚があります。その順路に従って、おすすめスポットをご紹介していきます。
神厩舎・三猿
ひとつめのおすすめスポットは、「神厩舎・三猿」です。神厩舎では、神様にお仕えする白い馬に出会えるかもしれません。午前10時から午後2時の間、お仕事として神厩舎にいるそうなので、時間があえばぜひ会いに行ってみてください。
また、この厩舎には、有名な猿の彫刻があります。

「見ざる、言わざる、聞かざる」と言われる3匹の猿で、両手で目、口、耳を押さえています。子どものころは、悪いものを見たり、聞いたり、言ったりせずに、良いものだけを受け入れて、素直な心のまま成長しなさい、という教えが示されているとか。
厩舎の四方にほかにも猿の彫刻があって、人間の一生が、猿によって表されています。ぐるっと回って見てみると、面白いですよ。
陽明門
2つめのおすすめスポットは、「陽明門」です。

日光東照宮の紹介写真に使われることも多いので、ご存知かもしれません。500以上もの細やかな彫刻が施された美しい門で、いつまでも見ていても飽きません。“日暮の門”とも呼ばれるそうです。
2017年に改修され、400年前の極彩色がよみがえっています。空想上の動物など、面白い彫刻もたくさんありますので、ぜひじっくり眺めてみてください。
廻廊
3つめのおすすめスポットは、陽明門の左右にある「廻廊」と呼ばれる建物です。
廻廊の外壁には、極彩色の美しい“透かし彫り”を見ることができます。花や鳥、動物など、そのデザインは現代人から見ても斬新なもので、技術の高さがうかがえます。

龍の天井画
そして4つめのおすすめスポットは、陽明門の左手に「本地堂」という建物の中に。ここには、有名な絵師による龍の天井画があるのですが、なんと!この龍が鳴くのです。
天井画を見るだけでもかなりの迫力があるのですが、どんな風に鳴くのか、不思議な体験をしてみてください。
唐門
5つめのおすすめスポットは、陽明門の奥にある「唐門」です。

極彩色の陽明門に比べると、シンプルな印象の門ですが、ここも注目です。貝殻をすりつぶした白い粉でコーティングされた左右の柱に、黒い龍が彫刻され、コントラストが見事です。
また、屋根の上にも龍や唐獅子がいたりと、陽明門より多い600の彫刻が施されています。じっくり見てみると、面白い発見があるかもしれません。
眠り猫
6つめのおすすめスポットは、さらに参道を進むと、頭上に現れます。有名な「眠り猫」、家康の眠る墓所「奥宮」の入り口にあります。

思ったより小さい!と言う人が多いので、見逃さないように探してくださいね。
この眠り猫を彫ったのは、左甚五郎と伝えられています。この伝説の彫刻師は、とてもリアルな彫刻を彫るので、木彫りの動物たちが夜になると動き出した、とも言われています。
眠り猫のうしろには、雀が彫られていますので、通り過ぎたら振り返ってみてください。
奥宮
7つめのおすすめスポットは、眠り猫を通り過ぎて、さらに奥に進んだ「奥宮」です。日光東照宮で一番高い位置にあり、木々に囲まれた石段を上ったところにあります。徳川家康の墓所で、ほかの場所とは少し空気の違う、静かな空間です。昔は一般の人は入れなかった神聖な場所です。

このほかにも、五重塔や石の鳥居など、国の文化財になっている建造物が55棟あります。
受付で英語や中国語の音声ガイドの貸し出しもありますので、ガイドを聞きながらゆっくり散策してみてください。
また人気のスポットなので、土日など休日は混雑が予想されます。ゆっくり楽しみたい方には、平日の午前中がおすすめです。
大修理でよみがえった極彩色の姿
長年の風雨によって、侘びた姿も素敵でしたが、日光東照宮では2017年までに大修理が行われました。この大修理によって、極彩色が美しい400年前の姿を取り戻しています。
日光東照宮では、建立当時の姿を維持するため、50年に1度修理が行われています。繰り返されてきた修理には、職人たちの細やかな手仕事が欠かせません。今回の修理でも、“漆塗り”と“彩色”の作業が行われました。
修理の目的は、建立当時と同じ姿を保つこと。例えば彩色では、機能的には優れている現代の絵の具は使わず、天然のものを使っているそうです。だからこそ表現できる独特の色合い、訪ねた際はぜひ注目してみてください。

修理には熟練の職人さんはもちろん、若手の職人さんも参加しています。修理の過程で、昔の職人さんたちの技術の高さや、心意気にふれることがあると言います。
50年に1度の修理というのは、職人さんの技術の伝承のためにも意味があることなのかもしれません。
職人さんの技で繰り返し蘇ってきた日光東照宮、その心意気も感じながら見ると、また違った感慨があります。
帰り道は散策がおすすめ。夏は天然氷のかき氷が絶品!
日光東照宮までは、最寄り駅から歩くと20分ほどかかります。
駅にロッカーがあるので、スーツケースは預けるのがベストです。日光東照宮内も、砂利道なので、スーツケースは歩きにくいかもしれません。
行きは路線バスを利用して、帰りはゆっくり散策しながら駅に戻るパターンがおすすめです。
帰り道は下り坂で歩きやすく、参道に並ぶショップに立ち寄りつつ、街歩きを楽しめます。
日光のおすすめグルメは、「ゆば料理」です。伝統的な料理で、昔から僧侶たちの精進料理として食されてきました。東照宮ができてからは、参拝客の食事として定着していったようです。

ゆばは、豆乳を煮てできるうすい膜を引き上げたものです。良質のたんぱく質やカルシウムをたっぷり含み、低カロリーでヘルシーな料理です。
おさしみで食べたり、てんぷらで食べたり、色々な食べ方ができるのも、ゆばの魅力です。ランチ定食で、色々なゆば料理が食べられるお店も多いので、ぜひ立ち寄ってみてください。
そして、もし夏に日光を訪ねたら、ぜひ「天然氷のかき氷」を食べてみてください。日本の暑い夏には、氷を削ったかき氷が人気ですが、天然氷のかき氷は格別です。ふわふわとしてやさしい食感は、感動するレベルです。日本でも、最近注目を集めています。

“天然氷”は、わき水などを自然の寒さを利用して作ったもの。作るのに手間と時間がかかるので、日本中で作っているのは5軒のみになってしまいました。そのうち3軒が日光にあります。日本にいてもなかなか食べられる機会がないので、ぜひお試しを!
もう少し観光したい方へ、おすすめのスポット
日光は、昔から避暑地としても有名で、各国大使館の別荘や老舗のホテルなども多くありました。
田母沢御用邸記念公園
そんな中で、東照宮からも近いおすすめの穴場スポットが、「田母沢御用邸記念公園」です。天皇家の御用邸だった場所で、国の重要文化財にも指定されています。

100年前の趣ある建物で、皇室文化にも触れることができます。特に庭が美しく、桜や紅葉など、季節ごとに違った趣があります。
東照宮などに比べて観光客も少なく、とても静かな時間を過ごすことができます。

田母沢御用邸記念公園ホームページ : https://www.park-tochigi.com/tamozawa/
日光金谷ホテル
もう1か所のおすすめは「日光金谷ホテル」です。

“現存する日本最古のリゾートホテル”といわれるクラシックなホテルです。1873年に始まり、外国王室がご宿泊されるなど、社交の場にもなってきました。
アインシュタイン博士、ヘレン・ケラー、アイゼンハワー、インディラ・ガンジーなど多くの著名人が宿泊したことでも知られています。
建物も趣があり、彫刻や調度品など、当時をしのばせるものがたくさん残っています。レストランの食事も美味しいと評判ですので、食事がてら、館内を散策するのがおすすめです。

日光金谷ホテルホームページ : http://www.kanayahotel.co.jp/nkh/
「日光東照宮」のアクセス情報、入館料など
車でのアクセス
東北自動車道「宇都宮IC」から日光宇都宮道路を経て、「日光IC」でおりる。日光ICから約2km。
東照宮大駐車場(普通車600円、200台駐車可)
電車でのアクセス
- 浅草駅から「特急けごん」に乗車、東武日光駅で下車 (約1時間50分)
- 浅草駅から「特急きぬ」に乗車、下今市駅で各駅停車に乗り換え、東武日光駅で下車(約1時間50分)
- 浅草駅から「東武鉄道快速」に乗車、東武日光駅で下車(約2時間5分)
- 新宿駅から「JR特急日光」に乗車、東武日光駅で下車(約2時間)
- 宇都宮駅から「JR日光線」に乗車、日光(約45分)

入館料
- 大人・高校生1,300円
- 小・中学生450円
- 未就学児は無料
拝観時間
- 4月1日~10月31日 8:00~17:00 (最終受付16:30まで)
- 11月1日~3月31日 8:00~16:00 (最終受付15:30まで)
まとめ
日本にははっきりとした四季がありますが、「日光東照宮」はいつ訪れても、季節ごとの美しさがあります。
自然の中にたたずむ荘厳な建造物群は、ここでしか見ることができない特別なものです。どこを見ても、世代を超えて大切にされてきたことが分かると思います。
東京からも日帰りで行ける距離です。また、日光東照宮以外にも、日光には観光スポットがたくさんあるので、1泊してゆっくり楽しむのもおすすめです。ぜひ日本に旅行した際は、訪ねてみてください。


東京生まれ、栃木育ち、仕事で北海道にも住んでいました。旅行先では、地元の人の生活を知りたくて、必ず市場を訪ねます。毎回、新鮮な発見があって面白いです。地域の魅力を伝えるイベント企画などの仕事をしていたので、知られざる日本の魅力をもっとお伝えしたい!と思っています。