明治から現代へ。札幌市時計台が刻む140年の歴史を訪ねる


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北海道の中心都市、札幌市。人気の観光都市でもありますが、定番の観光スポットとして知られている「札幌市時計台」があります。

白い壁に赤い屋根が印象的な建物ですが、日本に西洋文化が入ってきた140年ほど前の姿を今にとどめています。そして時計台の鐘も建設当時のまま、現役で時を刻んでいます。

多くの人は、写真だけ撮って移動してしまうスポットでもありますが、もっと知ってほしい時計台の魅力があります。札幌のシンボルとして、大切に守られてきた時計台。その歴史もひも解きながら、知られざる魅力をご紹介します。


がっかりなんてしない!札幌市時計台で体感できる明治の面影

札幌の観光案内には、必ず登場する「札幌市時計台」。

ところが、“日本三大がっかり名所”と言われてしまうこともあります。その理由は、時計台がビル街のど真ん中にあること。北海道らしい、のどかな場所を想像していると、イメージと違ってがっかり…となってしまうようです。

しかし、赤い屋根がトレードマークのレトロな西洋建築は、ビルの合間でもしっかりとした存在感を放っています。

写真だけ撮って移動してしまうのはもったいないです!ぜひ建物内に入ってみてください。きっと素敵な空間に出会うことができます。

時計台は2階建ての建物で、1階は展示室になっています。展示室では、時計台や札幌の街の歴史が詳しく紹介されているので、興味のある方はこちらも楽しめると思います。

そして、ぜひおすすめしたいのが、2階にある「時計台ホール」です。

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140年前の建築当時の内装が再現されたホールになっています。

室内にはレトロな木製の椅子が並び、まるで教会のような雰囲気です。少しゆがんだ古いガラスから差し込む光も、とても柔らかく、優しい空間を演出しています。その雰囲気の良さが人気で、コンサートや結婚式の会場としても使われているそうです。

明治のころ、開国によって新しい時代への希望にあふれていた日本の空気を、感じることができる場所でもあります。

演武場から時計台へ。札幌時計台140年の歴史

1878年に建てられた時計台、それから140年あまり、ほぼ同じ場所で札幌の街の発展を見守ってきました。時計台の歴史をひも解くと、札幌の歴史、北海道の歴史と重なります。

時計台は、北海道大学の前身、札幌農学校の“演武場”として建てられます。演武場とは、屋内体育館のようなもの、1880年には、札幌農学校の第1回卒業式が行われています。

札幌農学校は、北海道開拓のための人材輩出を目的に設立された学校です。農学・土木工学・測量・英文などを教え、卒業生は全国で活躍して日本の発展に寄与しました。

“Boys, be ambitious”の言葉を残した、アメリカ人のクラーク博士が初代教頭を務めていたことでも知られています。

演武場(現時計台)が札幌農学校の生徒たちにとってどれだけ大切だったか、伝えるエピソードがあります。

1892年に札幌で大火が発生し、900戸近くが焼失しました。この時、演武場に火が移らないよう、生徒たちは屋根にも登って、必死に火の粉をはらったそうです。おかげで演舞場は類焼をまぬがれ、翌年まで仮の裁判所としても使われたそうです。

その後、1903年の札幌農学校の移転に伴い、演武場は当時の札幌区によって買い上げられます。場所も、100mほど南に建物ごと移動しました。

このころから、演武場に代わって“時計台”と呼ばれるようになったそうです。所有者が代わっても、図書館や公会堂として、市民のいこいの場として役割を担い続けてきました。一時は、壁がグリーンになっていたこともあるとか…。

140年の歴史を経た時計台、札幌のシンボルとして、市民の心のよりどころとして、今も大切に守られています。

札幌市時計台のおすすめ撮影スポット

時計台はフォトスポットとしても人気があります。敷地内にも、おすすめスポットに木製の撮影台が用意されています。SNSが普及してからは、撮影待ちの列ができるほどの人気ぶりです。

公式ホームページにも、正面や側面からなど、いくつかのおすすめのフォトスポットが紹介されているのでチェックしてみてください。

なるべく低めにカメラを構えて、建物と人物が入るように撮るのがコツだそうです。

「札幌市時計台」公式ホームページ

全体の撮影スポット

全体を撮影したい方には、向かいのMNビルがおすすめです。2階の「時計台撮影プラザ」は、自由に立ち入りできて、屋外のテラスになっています。

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季節によって、紫のライラックの花と撮影したり、紅葉したカエデと撮影したり、時計台の違った表情を楽しむのもおすすめです。

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穴場の撮影スポット

また穴場の撮影スポットとしては、札幌市役所本庁舎の「展望回廊」もおすすめです。上からのアングルで、トレードマークの赤い屋根がきれいに撮影できます。

守り伝えられてきた時計台の鐘の音

時計台の鐘の音、昔と変わらずに鳴らされているのをご存知ですか。昼も、そして夜も、毎正時に時を告げています。

時計台の鐘はアメリカのハワード社製で、時計機械は130年以上前の当時のままです。

鐘を鳴らすためには、重労働の重りの巻き上げ作業が必要です。そのため、世界の塔時計は電動に変えられつつありますが、時計台の時計は今でもアナログのまま残されています。それは、代々の担当者が大切に守り点検してきた結果でもあります。

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街に響く、時計台の鐘の音、ぜひ聴いてみてください。何とも味のある優しい音です。

近くにあるオープンカフェでコーヒーを飲みながら、鐘が鳴るのを待つのも、おすすめです。

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「サッポロ珈琲館 時計台ガーデンテラス店」ホームページ


星“五稜星”を探して建物探訪

北海道は古くからアイヌ民族が暮らす場所でしたが、今からおよそ140年前、本州から多くの開拓団が入ってきました。

ちょうど日本は江戸時代から続いた鎖国をやめ、西洋から多くの新しい文化が入ってきた時代でもあります。開拓当時の建物には、西洋建築の影響を受けたものも多く、その時代の雰囲気が色濃く残されています。

そんな建物に、 “赤い星”のマークがあるのをご存知ですか。時計台も見上げてみてください。屋根の部分に赤い星があるのが分かります。時計台には、全部で17個の星があるそうです。

この星は「五稜星」と呼ばれ、北極星をイメージしたと言われます。北海道開拓使のシンボルとして使われていました。札幌の街でこの五稜星を探して歩くと、歴史的な建物を巡ることができます。

五稜星を探す建築探訪、おすすめのスポットをご紹介します。

北海道庁旧本庁舎

最初にご紹介するのは、札幌の定番の観光スポットでもある「北海道庁旧本庁舎」です。

愛称で“赤レンガ庁舎”とも呼ばれ、アメリカ風のネオ・バロック様式の美しい建物です。1888年に建てられ、現在は国の重要文化財になっています。

屋根の小窓の部分には、赤い星“五稜星”を見ることができます。建物のあちこちに五稜星が飾りつけられているので、ぐるっと周って探してみるのも楽しいかもしれません。

外観はもちろん、内装もクラシカルで美しく、フォトジェニックなスポットがたくさんあります。

明治時代の札幌市街のジオラマや、歴史資料の展示などもあって、楽しめます。

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また、敷地には庭園もあり、市民の憩いの場所になっています。特に若葉の初夏や、紅葉の時期が美しく、ベンチでゆっくり鑑賞するのもおすすめです。

Photo by AOI in December 15, 2015

豊平館

次にご紹介するのは、爽やかなブルーが目を引く「豊平館」です。

豊平館は、繁華街すすきのに隣接した中島公園内にあります。2016年にリニューアルオープンしたので、建物外装の白とブルーのコントラストが鮮やかに蘇っています。

洋風のホテルとして迎賓館、公会堂の役割を担った豊平館は、皇室や政府の高官が利用しました。現在は、国の重要文化財に指定されています。

建物の内装も品があって、当時の様子を今に伝えています。カフェも併設されているので、建物探訪の途中休憩に、立ち寄ってみてください。

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東京ドーム4.5個分もあるという中島公園も、散策におすすめのスポットです。園内の池ではボートも楽しめます。

「豊平館」公式ホームページ

清華亭

次に紹介するのは「清華亭」です。

屋根の部分に、五稜星をみることができます。

1880年、明治天皇が札幌を訪ねる時の、休憩所として建築されました。和洋折衷の建物で、和室と洋室がある室内は自由に見学できるようになっています。小さいながら、趣のある建物で、写真を撮りに訪ねる人も多い場所です。

サッポロビール博物館

最後に紹介するのは「サッポロビール博物館」です。

赤レンガの建物と煙突に、赤い星、五稜星が見えます。日本で初めてビールを作った大手飲料メーカー、サッポロビールの歴史がわかる日本で唯一のビール博物館です。サッポロビールのラベルの星マーク、この五稜星が由来になっています。

館内は自由に見学することができますが、おすすめは、開業当時の復刻ビールが飲める有料ツアーです。ホームページから予約もできますので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。

併設されたサッポロビール園では、北海道名物のジンギスカンと、できたてのビールを味わうことができます。明治の面影を残す赤レンガのホールで飲むビールの味は格別です。

五稜星を探す建築探訪、最後は美味しいもので締めるもの良いかもしれません。

「サッポロビール博物館」公式ホームページ

「札幌市時計台」のアクセス情報

施設情報

◇電車でのアクセス
・JR札幌駅南口から徒歩10分
・市営地下鉄南北線、東西線、東豊線「大通駅」から徒歩5分
「札幌市時計台」ホームページ

Photo by AOI in December 20, 2014

まとめ

札幌の街といっしょに歴史を重ね、多くの人の手で大切に守られてきた「札幌市時計台」。

140年前と変わらず時を告げる時計台の鐘の音は、そんな人々の想いをのせて、札幌の街に優しく響いています。時計台の歩んできた歴史を知ると、観光スポットとして訪ねるのとは、また違った一面が見えてきます。ぜひ、建物の中に入って明治の面影を感じてみてください。

また五稜星を探す建築探訪も、ひと味違った札幌観光を楽しめると思います。旅の参考にしていただければ嬉しいです。

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